ウォールナットの特徴と世界のウォールナットの種類
2022.2.14
家具蔵でも人気の高いアメリカンブラックウォールナット材はクルミの実をつける木です。
独特な色素と、流れるような杢理、そして加工性の良さから家具材としても最高級材の一つに数えられます。
ウォールナットの種類は200種以上あると言われており、アメリカンブラックウォールナットの産地である北米以外にも世界には様々なクルミの木があります。
今回はウォールナットの歴史を踏まえながら、世界各地のクルミの木について掘り下げていきましょう。
人類と深い関わりを持つ木
元々ウォールナットはクルミ科クルミ属の落葉広葉樹ですが、このクルミと言えば紀元前7000年頃から人類が初めて食したと言われている最古の木の実です。
代表的なものがペルシャグルミで、このクルミは2000年以上前から人の手で栽培をしていたと言われています。
クルミの学名Juglans(ユグランス)は、ラテン語で「ジュピターのどんぐり」を意味します。
ジュピターとは古代ローマの全知全能の神の事を指し、かつて古代ギリシャ・ローマではジュピターにクルミの実を捧げていた事に由来します。
また日本でも昨年11月に、福島県南相馬市で縄文時代後期の地層から籠に大量に入れられたクルミの化石が発掘されました。
日本にも古くから自生していたのがオニグルミやヒメグルミの木です。
古くからクルミを食していた痕跡がこの日本でも化石として見つかっている事から、クルミの木は北半球の温暖な世界の各地に存在していたことがわかります。
またクルミは実を食するだけではなく、実から採れる油を食用などで活用したり、樹皮を染料にしたりとクルミの木は人と深い結びつきを持っていました。
ウォールナットのルーツ
上述の様に最古と言われるペルシャグルミは、現在のイラン(ペルシア)が原産地です。
そこから地中海を渡ってヨーロッパへと流れていき、ヨーロッパ各地に定着をしていきます。
総じてヨーロピアンウォールナットと呼ばれるクルミは産地によって、イングリッシュウォールナット、イタリアンウォールナット、ターキッシュウォールナット等、様々な名前で現在流通をしていますが全てこのペルシャグルミがベースとなっています。
他方、東回りで中国、朝鮮から日本に渡ってきたクルミはテウチグルミと言われています。
一般的に今でも食用として用いられる別名「カシグルミ」の木のことです。
アメリカンブラックウォールナットについて
日本でウォールナットと言えば、一般的には北米産のアメリカンブラックウォールナット材のことを指します。
このアメリカンブラックウォールナットは名前の通り、ヨーロピアンウォールナットに比べ濃い色素を見せる樹種です。
主にアメリカ東部~中部に掛けて南北に連なるアパラチアン山脈一帯に分布し、高級家具材の代名詞の一つとして世界中で人気を集めました。
特に16世紀後半から17世紀前半はヨーロッパを中心に「ウォールナットの時代」と言われる程、貴族がこぞってウォールナットを用いた建材や家具を使用していきます。
何よりも深い色素と硬さ、そして加工後の寸法安定性の良さからアンティーク家具としても現存しているものも多くあります。
また北米産のウォールナットでも北西部のオレゴン州で取れる「オレゴンウォールナット」は、特に高樹齢のものが良くみられます。
胸高計2.26メートル、高さ34メートル、樹冠広さ44メートルとアメリカ最大級のウォールナットは、このオレゴンウォールナットです。
もう一つアメリカ西海岸カリフォルニア産の「クラロウォールナット」も銘木中の銘木です。
世界のクルミ生産量の約3分の2は、このカリフォルニア産のクルミです。
このクルミの実をおいしくさせるために、人工的に作り出した木が「クラロウォールナット」です。
ベースとあるアメリカンブラックウォールナットの台木に、イングリッシュウォールナットを挿し木し培養をした、言わばハイブリッド樹種です。
結果的にはおいしいクルミの実をつけることはできなかったのですが、挿し木による培養の結果、材面は透き通るようなマーブル模様の杢理が現れ、その奥深い模様とも言える材の表情は世界中のウォールナット愛好家から垂涎の的となりました。
ただ成長がゆっくりであり、また高く育たない性質上、大きな材面を取ることが難しい木でもあります。
「クラロ」とはスペイン語で「クリア」という意味に由来する通り、多様な杢理が生み出す魅力的なグラデーションを見せてくれる希少な樹種です。
いかがでしたか?
ウォールナットは元来、その果実の方が私たちの暮らしに欠かせない存在でした。
やがて材としての魅力が、暮らしに高級感とグレードの高いインテリアつくりに欠かせない存在となっていきます。
家具蔵では、一枚板のテーブルをはじめ、様々な家具をこのアメリカンブラックウォールナットで作っています。
お近くの店舗で、ウォールナットの魅力的な杢理と質感を体感してみて下さい。
ウォールナット材の家具納品事例はこちらから
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