「ウィンドウトリートメント」に詳しくなろう ~後編~
2019.10.22
『「ウィンドウトリートメント」に詳しくなろう~前編~』では、トップトリートメントやウィンドウトリートメントの「カーテン」・「シェード」などについてお話ししました。
後編は、その続きである「シェード」「スクリーン」「ブラインド」の種類や、ウィンドウトリートメントを取り入れる際に気を付けたい色の選び方についてご紹介していきます。
ウィンドウトリートメントの種類を知ろう
●ローマンシェード
仕立てた生地を、昇降器具を利用して垂直に開閉する『ローマンシェード』。
ローマンシェードの種類には『プレーン』『シャープ』『バルーン』などのスタイルがあり、昇降器具や生地の仕立て方によってシンプルからデコラティブまで、様々なイメージに仕上げることができます。
下げるとフラットな形状になる『プレーンシェード』なら、ドレープカーテンのようなヒダが無いため、コンパクトに収まってスッキリした見た目になります。
シェードの裏にバーが通っている『シャープシェード』は、バーの横ラインが強調され、スタイリッシュで洗練された印象に。
シェードを上げていくと左右の裾が風船のように丸く変形していく『バルーンシェード』は可愛らしさや華やかさを演出できます。
その他にもバルーンシェードにデザインを加えて更にゴージャスな雰囲気に仕上げる『オーストリアン』や、シャープシェードの裾の部分が孔雀の羽のような半円形になり優雅さを醸し出す『ピーコック』などの種類があります。
柄や素材、シェードの種類にこだわることで自分らしいお部屋作りができそうです。
●スクリーン
スクリーンは、日射などの光や視線を遮ることはもちろんのこと、透過や反射して映像を映し出すほか、可動の間仕切り、店舗の閉店サインなど私たちの暮らしに幅広く用いられています。
ウィンドウトリートメントとしては、巻き上げ式の『ロールスクリーン』や横にスライドさせる『パネルスクリーン』、折りたたみ式に昇降開閉する『プリーツスクリーン』、プリーツを貼り合わせてハチの巣のような5~6角断面とし保温性を高めた『ハニカムスクリーン』などがあります。
紙素材や不織布を生地に使い、遮光性の高い厚手のものから透過性の高い薄手のものまで豊富な種類が存在します。
それに加え、その両方を組み合わせて採光の度合いを細かく調整できる「調光式スクリーン」もあるため、空間をすっきりと軽やかにしながらも、光の取り入れ方を細部に渡ってこだわることができます。
素材に和紙や籤を使うことで、和室にも最適なウィンドウトリートメントが取り入れられるでしょう。
●ブラインド
羽根板の回転や移動により、調光・開閉するものを『ブラインド』といいます。
回転の度合いで羽根板の角度を細かく調整できます。
ブラインドというと、ドラマで刑事がブラインドの隙間からにらみを利かす、なんてシーンが頭をよぎってしまいますが…。
そう、外からの視線を遮り完全に閉め切っていても、採光できたり隙間から窓の外を眺めることができるのは、他のウィンドウトリートメントにはないブラインドの良いところです。
刑事もののドラマで出てくるブラインドは、水平羽根で昇降・開閉する『ベネシャンブラインド(横型ブラインド)』と呼ばれるもの。
しかし従来の古臭くて野暮ったいイメージとは違い、現在では素材やカラーバリエーション、羽根板の幅などの種類が増え、ブラインドは、おしゃれなウィンドウトリートメントの代名詞にもなっています。
横引き開閉式の『バーチカルブラインド(縦型ブラインド)』では、羽根が連続して縦方向に伸びるので、天井が高く見えモダンな印象になります。日が差した際に室内にできる縦ラインの影もまた美しく、シックな印象を与えます。
素材もアルミやプラスチック、木や布など幅広いのでインテリアのスタイルや掃除のしやすさなどお好みに合わせて選びましょう。
陽射しや目線を遮りながら景色を楽しむことができるので、タワーマンションの高層階などでもお薦めです。
ここまで、ウィンドウトリートメントの種類を大まかにご紹介しました。
次にウィンドウトリートメントを検討する上で気を付けたい「色選び」についてお話していきます。
家具蔵にご来店されるお客様でも、
「ソファカバーやカーテンを何色にしたらいいのか分からない」
「どんな樹種が、カバーやカーテンに合う?」
とお悩みの方が多くいらっしゃいます。
そんな時、木は木同士で、ファブリックはファブリック同士で色のバランスを考えると良いでしょう。
無着色の無垢材は、自然の色味なので、基本的に互いが喧嘩してしまうようなことはありません。
そのうえで統一感を出したいのであれば、周囲の家具と同じ樹種で揃えたほうが良いでしょう。
それに比べソファやラグ、カーテンなどのファブリックは、色によっては空間の印象を大きく左右するものになります。
組み合わせや面積比を考えながら検討する必要があります。
色の配分と配置の基本
インテリアの色彩計画を立てる時、まず全体の配分を考えることが大切です。
床や壁、天井などインテリアの中で大きな面積を占める『ベースカラー』。
次にベースカラーを特徴づけたり変化を出したりすることを目的にした建具や造作家具など中面積を占める『アソートカラー』。
最後に、空間全体の引き締め効果のある少量使いの『アクセントカラー』とされています。
アクセントカラーはクッションや絵画など比較的簡単に変更ができるものを選ぶことが多いですが、最近ではアクセントウォールのように壁一面をアクセントカラーとする事例も増えています。
中面積を占めるカーテンやソファは、上記で言うところの『アソートカラー』に当たります。
色相環
配色のテクニックをお話する前に「色相環」について説明します。
5つの基本色相である赤・黄・緑・青・紫に、各色の補色を加えた10色を基準色相と言い、これらを環状に並べたものを色相環と言います。
この色相環を彩度と明度によって複合的にとらえた概念を『トーン』と呼び、有彩色で12種類、無彩色で5種類のトーンに分けることができます。
それを踏まえたうえで、同系色でまとめたい場合のテクニックとして以下のような方法があります。
テーマカラーとなる色のトーンを組み合わせる方法
テーマカラーが黄色の場合、その1色に対してのトーン色となるため統一感を強く感じさせます。
テーマカラーとなる色に近い色味を組み合わせる方法
テーマカラーが黄色の場合、隣り合ったオレンジや黄緑を使用することでまとまりを得やすくなります。
色が持つイメージが同じもの同士で組み合わせる方法
同じイメージを持つ色同士を組み合わせることで、空間の持つ雰囲気を統一させることができます。
イメージが近いもの同士で組み合わせる方法
ペールやライトグレイッシュなど、色が与えるトーンのイメージが近いもの同士を使用することで共通したイメージを持たせることができます。
次に、空間に変化を出したいときのテクニックです。
反対色と呼ばれる配色や、明度・彩度の差が大きいトーンを組み合わせる方法でコントラストのある配色となります。
躍動感や華やかさを表現するのみぴったりです。
テーマカラーとなる色の反対色を組み合わせる方法
色相環で反対側になる色との組み合わせです。
明度、または彩度方向に離れた位置にあるトーンから色を組み合わせる方法
白系と組み合わせる場合、グレイッシュやダークグレイッシュ、ダークなどの離れたトーンから組み合わせます。
ただしこの方法はバランスが崩れると不調和になりやすいため、適度な秩序が必要となります。
このような基本が分かれば、色選びは非常に楽しいものになります。
「でもやっぱり難しそう…」という方や、「無垢材の自然な色や風合いを活かした空間にしたい」という方は、無彩色をベースに有彩色を1色ポイントとして入れるだけで簡単に空間づくりが可能です。
この方法は、誰にでも受け入れられやすいインテリアに仕上がるので、ぜひ試してみてくださいね。
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