収納家具に見る和洋の違いとは
2022.2.10
暮らしの必需品として使われてきた収納家具。
これには和洋東西、様々な地域性が見られることがあります。
実際、日本と欧米の収納家具には、さまざまな違いが見られます。
和箪笥の種類
日本の収納家具の代表とも言えるのが、和箪笥です。
桐などの木材を使った衣装用の和箪笥は、日本では江戸時代ごろから着物の収納に用いられてきました。
和箪笥には、衣装用の箪笥のほかにもさまざまなバリエーションがあります。
刀を収納する刀箪笥、台所などで使われてきた水屋箪笥などは、ポピュラーな和箪笥の1つです。
階段のステップを収納スペースに活用した階段箪笥や船箪笥も、日本ならではの箪笥と言えます。
水屋箪笥は、食器などを収納するために使われてきた箪笥です。
この箪笥は、どっしりとした重厚な雰囲気があるのが特徴になっています。
水屋箪笥には複数の引き戸や引き出しなどがついており、現代の食器棚のようにしまう品の種類をわけて収納ができます。
天然の木が素材になっている水屋箪笥は適度な通気性があり、内部に湿気がこもりにくい構造になっています。
船室などで使われてきた船箪笥は、小さい箱型の箪笥です。
この箪笥は、内部が少し複雑な構造になっているのが特徴。
貴重品などを保管することもあった船箪笥には、からくり箱のような構造になっている品もあります。
ちなみに、和箪笥が普及する前の日本では、長持という収納家具が広く用いられてきました。
長持は大きな長方形の箱で、上側のふたを開けて中に入った品を出し入れする仕組みになっています。
「チェスト」の歴史
欧米の収納家具では、チェストなどがよく知られています。
チェストも、日本の和箪笥と同じ箱型の形をしているものが多いです。
手掛けがついた引き出し、取っ手つきの開閉扉などがあるところも、日本の和箪笥と似ています。
ヨーロッパでは、17世紀ごろから貴族階級を中心に引き出しがついたチェストが使われるようになったと言われています。
このようなチェストは「チェストオブドロワー」と呼ばれ、応接間や寝室などを飾る重要な装飾品の1つになりました。
「チェストオブドロワー」には、さまざまな装飾が施されているものも見られます。
象嵌などで凝った装飾を施した品は、富の象徴としても重要な役割を果たしていました。
アンティーク品などの欧米のチェストには、曲線を描く猫脚や金色の手掛けがついた品も見られます。
繊細でエレガントな雰囲気のチェストは、18世紀のロココ時代に流行しました。
こういった欧米のチェストも、使用する目的は衣服などの身の回りの品の収納です。
ヨーロッパで使用されていたチェストは、後にアメリカでも広く利用されるようになりました。
アメリカのチェストも、手掛けつきの引き出しや開閉扉などがついているのが特徴です。
ウォールナットなどは、アメリカのチェストにも多く見られる素材の1つです。
アメリカでは比較的シンプルなデザインが好まれることが多く、衣服などを収納する実用品としてチェストが使われてきた傾向があります。
日本の和箪笥とチェストの違い
日本の和箪笥とチェストは、高さに違いがあるケースが多いです。
日本間で使用されてきた和箪笥は、高さも日本のライフスタイルに合わせた仕様になっています。
座った状態で出し入れがしやすいような高さに調節されているのが、日本の伝統的な和箪笥の特徴と言えるでしょう。また、畳の上などに置くことを想定している和箪笥には、脚がついていないのも特徴です。
欧米で制作されているチェストは、概して欧米人の体型に合った高さに作られています。
室内でも靴を履く欧米のライフスタイルでは、立った状態でチェストから中身を出し入れするのが一般的です。
そのため、チェストも脚をつけるなどの方法で、高さがやや高めに設計されていることが多いです。
引き出しや開閉扉などは、和箪笥、欧米のチェストのいずれにも広く取り入れられています。
ただ、和箪笥に多い引き戸は、欧米のチェストにはあまり見られません。
ヨーロッパやアメリカのチェストには、取手つきの開閉扉などが多く使用されています。
腰より低い位置にあるチェストの引き戸は、立った姿勢で開閉するのが少し困難です。
引き戸がついたチェストが欧米に少ないのには、このようなライフスタイルも少なからず関係しています。
引き出しの幅も、日本の和箪笥と欧米のチェストで異なる点です。
着物用の和箪笥の多くは、着物を折りたたみ、畳紙などに包んだ状態で保管するのに適したサイズに設計されています。このような和箪笥は横幅が広く取られていますが、高さが余りなく、平たい形状の引き出しになっています。
引き出しの段数で大きさを表す習慣があるところは、日本の和箪笥ならではです。
家具蔵では洋風、和風のいずれのライフスタイルにもあった収納家具を提供しています。
ウォールナット、チェリー、ハードメープル、ナラなどの無垢材を使い、自由設計のスタイルで仕上げた収納家具を提供しています。
家具蔵の収納家具は、引き戸、開閉扉といった開閉場所のスタイルはもちろん、取手や内部の仕切りのデザインも自由に決めてオーダーできるのが特徴です。
テレビボードとチェストを一体化させたり、キッチンボードを水屋箪笥のような和テイストのデザインに仕上げたり。
一言で「箪笥」「チェスト」といっても様々なニーズや求めるスタイルがあります。
そんな要望に応えるべく、経験豊富なプロスタッフがお話をお伺いします。
お気軽にお声がけください。
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