奥深き「オーダーキッチン」の世界 ~その2~
2019.12.18
家族という単位、家という単位の中でキッチンは非常に重要な意味を持つ設備であり、空間です。
そこに求められてきたのは、いわゆる「使いやすさ」。
煩雑且つ、毎日何度も行われる、料理という作業。
時間に余裕のある方もそうでない方も、料理が得意な方もそうでない方も、作業を効率的に行うために求められてきたのは「使いやすさ」にほかなりません。
そこから生まれたのが「システムキッチン」という考え方です。
最大公約数的なアプローチでモノをつくることは、多くの人がそれに満足する可能性が高くなります。
また、高いレベルで画一化・均一化されたものはモノをつくる側にとっても効率化を生み、それはいわば需要と供給の双方に「Win-Win」の関係性をもたらす、と今までは信じられてきました。
また、多くの方が「キッチンはそういうもの」と考えていた節もあります。
しかし、時代は進み、暮らしのスタイルも多様化してきました。
女性の社会進出が進み、料理は女性が行うもの、という考えはすでに過去のものになりつつあります。
そして、キッチンは家族皆が集まり、使用するコミュニケーションの場へと変化しています。
必然、住まいの空間においてその「主役度」は高まり、そこには多くの方がこだわりを持って「自分だけの」「我が家だけの」使いやすさ+アルファを求める時代です。
簡単に様々な情報を得ることができるようになった現代、そのこだわりや自分でも気づかなかった嗜好をカタチにすることも非常に現実的になってきています。
そんななかでも非常に人気が高いのが天然素材、例えば家具蔵でも使用する無垢材などをふんだんに使用した木のキッチン。
使い込むほどに味わいを増し、暖かみやぬくもりにあふれる木のキッチンは、家族が集まり料理をする、というシチュエーションにぴったりのものです。
毎日使うものは、見て、触って、リラックスできるような、まるでお気に入りの普段着のようなものでなくてはいけません。
着飾ったものではなく、丈夫で、愛着が湧き、いつもの日々に欠かせない、「身に纏うもの」。
家具蔵は長年の無垢材家具作りのノウハウをふんだんに活かしながら、そういった「ここにしかない」キッチンをご案内しています。
2回目となるこのシリーズ連載“奥深き「オーダーキッチン」の世界」“、建築家により丁寧に設計された珠玉の住宅建築に於ける、木のキッチンリフォームのお話から、無垢材キッチンの魅力を深堀りしていきます。
歴史を刻む家に品格を添える端正なL型キッチン
閑静な住宅街の中にあり、その外観から内部は窺い知る事ができない住宅にも様々なタイプがあります。
要塞のように完全に外界をシャットアウトするような家もありますが、I邸はコートハウスとしてしっかりとプライバシーを守りながらも絶妙に配された庭やテラス、窓や外構のデザインから、内部で営まれる豊かな暮らしがイメージされるような素敵なお住まいです。
そんなI邸に家具蔵の家具とキッチンを迎え入れることになったきっかけは、意外なことに冷蔵庫の不調でした。
本来であればその冷蔵庫だけを交換すれば良いのですが、特殊なサイズの冷蔵庫がビルトインされていたためそれも叶わず、I様は途方に暮れてしまいます。
そんな事情もあり、たくさんのお客様をおもてなししてきた外国製のシステムキッチンも、ついに替え時が来たと感じた奥様は、お嬢様の紹介で家具蔵を訪れます。
現地での綿密な打ち合わせとヒアリング、施工を担当する工務店、大工さんとの詳細なやりとりは家具蔵の得意とする部分でもあり、そうして生まれたのが写真のようなキッチン空間です。
淡いナラ材でつくられたL型の無垢材キッチンには、これまで離れたスペースにあった冷蔵庫の置き場を近くに設け、一般的なサイズの冷蔵庫を将来に渡って選択できるように設計しました。
またキッチン内部に小ぶりな無垢材アイランドカウンターをデザインしたのですが、このカウンターは便利な作業台であるだけでなく、全周の4方向から機能的に使用できるように特別な配慮をしています。
そのおかげもあり、このカウンターはよくお問い合わせを受ける隠れた人気商品となりました。料理を盛りつけたり、大人数で作業をしたり 「ここがあるだけで本当に料理が楽に」 とI様にも絶賛していただいています。
キッチンに隣接したダイニング空間にはキッチンと同材の丸い無垢材テーブルを誂えました。
普段はキッチンとの境にある引き込み戸を開けて過ごす事が多いため、空間全体が統一感のあるバランスの良いインテリアとなりました。
ダイニングの円形のトップライトと折り上げ天井は、この住まいのシンボルスポットでもあります。
その真下に直径1500㎜の丸い無垢材テーブルを置いたことで、空間に求心力が生まれました。
照明は「スノーボール」や「トルボー」など、北欧のデザインを取り入れほっとするような穏やかな空間に。 ずっと前からそこにあったように自然に調和しています。
「夫婦で過ごす時間が増えた今は、キッチンをもっと落ち着いた場所にしたいと思い始めました」
とリフォームの検討開始当時を振り返る奥様。
そんな気持ちもあり、せっかくキッチンをリフォームするなら、一見キレイでも少し冷たい印象になりがちなシステムキッチンではなく、木のキッチンが良い、という発想はごく自然なものでした。
輸入家具から日本の工芸品、美術品まで、日常的に優れたものに触れてきた奥様は、キッチンにも同じ意識を持って、良いものを探していました。
折しも家具蔵ユーザーであるお嬢様が家具蔵を紹介。
「木綿のように気取らず、丈夫で、でも端正で美しい、そんなイメージをオーダーしました」
そのお気持ちが見事に形となったI邸の木のキッチン。
家具蔵のオーダーキッチンでしか実現出来ない世界でひとつの木のキッチンと無垢材家具が、I様の家の歴史に加わったのです。
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