ソファは「どこを見て」選ぶべきか
2020.2.1
私たち家具蔵の店舗で、ソファをご検討のお客様からよく伺う質問があります。
「いろいろなソファがあるけれど、種類や選び方の違いってあるのですか?」
というようなものです。
生活の中で家具をご検討の機会は意外に少ないもの。実際に考えてみようという時にその種類の違いやそれぞれの違いがわからない、というわけです。
ソファに限らず、物理的にも金銭的にも「大きな」ものを購入する際には失敗は避けたいもの。
今回は「その時」の参考になるよう、一般的なソファの種類や私たち家具蔵で使用しているものをご案内します。
ソファの張地の種類
ソファを覆っている張地には、素材の違いや色の違い、また手触りや質感の違いなど実に様々な張地の生地が存在します。
●人工皮革(合成皮革)
ファブリックと合成樹脂を混ぜ合わせた素材で、見た目がレザーのような質感をもつ生地です。
「ソフトレザー」や「ビニールレザー」と呼ばれることも多い人工の素材で比較的安価に手に入ります。
加工や着色もしやすい反面、高級感や強度の面では他の素材に劣ってしまうこともあり、家具蔵では取り扱っていません。
●ファブリック(布張り)
布素材ならではのあたたかみと柔らかさを感じさせてくれる素材です。
カラーバリエーションも豊富で、繊維の種類や混紡の比率、織り方で雰囲気や印象も変わります。
ファブリックは表面の加工が簡単なため、汚れに強く、革などに比べるとお手入れは簡単です。
家具蔵では、肌触りの良い日本製・イタリア製高級布カバーを110種類にわたり御用意しています。
●天然皮革(本革)
ソファに使われる天然皮革は牛革が多く、しっとりとした肌触り、特有の温もりと高級感が魅力です。
同時に座り心地と質感も楽しめるのが特徴です。
また他の素材と比較しても耐久性が高く、同時に使えば使うほど徐々に革が馴染み味わい深さがでてきます。
家具蔵で扱っている牛革はグレードが細かく分類されている中でも最高級のものを使用しており、厚みのある革を使っていいます。
その分摩擦による劣化にも強く、長期に渡ってご使用いただけます。
3人掛けの大きなものでも、一枚物の革を惜しみなく使い、その縫製もダブルステッチにして頑強なものにするなど、品質と耐久性については多大な手間暇を要しています。
しなやかさと強さにこだわり、選び抜いた全6色の厚革は存在感抜群です。
ソファのカバーの種類
ソファカバーには「張りぐるみ」のものと、「カバーリング」の2つのタイプがあります。
「張りぐるみ」とは、ソファ全体がカバーで完全に包まれ、固定されているソファのこと。
「カバーリング」とは、ソファ本体のクッション部分などに被せる張地を取り外しができるものです。
それぞれに特徴がありますが、長く使用していくことをふまえて検討を進める場合、それぞれの特徴も把握しておくことが大切です。
●張りぐるみ
一般的に多くのメーカーのもので見ることができる「張りぐるみ」のソファ。
生地自体の中身とのずれや、生地そのものの型崩れなどが起きにくく、どの角度から見ても、見栄えがするのが特徴です。
たた、張地の交換時にはメーカーの工場などに預けなければいけません。
同時にバネ点検やウレタンの補充なども含めて点検をしてもらい、状況に応じたメンテナンスを行うことも可能ですが、この「預ける」というのが経済的な面も含め、意外とハードルが高いもの。
また、カバーを外すことができないため、クリーニングに出したり、洗濯を行うなどのケアは難しく、自宅では部分ごとの染み抜きなどのメンテナンスに留まります。
●カバーリング
ソファ本体のカバーは当然、自宅でも取り外しを行うことができます。
つまり、汚れてしまった場合でもクリーニング(ドライクリーニングなど)や洗濯といったケアが可能です。
季節に応じてインテリアの雰囲気を変えるために張地を変えるといったことも気軽に行うことができるのは大きなメリットです。
「張りぐるみ」のもので生じる「交換の際に本体を工場などに送ってメンテナンスする」手間とコストが軽減できる良さがあります。
またメンテナンスの容易さは、汚れやほこり、ダニ等の対策がし易いことにも繋がり、常に清潔に使用することが可能です。
家具蔵のソファはこの点を重視し、メンテナンスや空間の雰囲気を変える楽しみを存分に味わってもらうためにも、本革・ファブリックともにフルカバーリングのものにしています。
交換やストックも容易に行うことができるよう、ソファカバーセットもラインナップされています。
スプリングの種類
座った時に衝撃を吸収して体圧を分散し、支える役割となるのがソファの土台になる「スプリング」の役割です。
このスプリングによって座り心地も耐久性も異なります。
同時にクッション材とのバランスも重要です。
このスプリングにはどのような種類があるのでしょう。
●ポケットコイル
コイルを1つずつ袋(ポケット)で包み、独立した弾力性が発揮できる構造のクッションです。
一つずつのコイルが体を支えるため、座る人の体形や座り心地に合わせて「点」で沈み込み、弾力性がよく、体にフィットした座り心地があります。
また独立したバネなので高密度に配置することができ、長時間座っていても疲れにくいスプリングといえます。
ただし、ポケットコイルは通気性に要注意です。
ポケットコイルは不織布でできた袋の中にバネが入っており、いわば中身は「布だらけ」です。
そこで通気性の点で疑問符がついてきます。
また、1つ1つが袋に入れられていて製造の手間もかかるので、価格も総じて高くなることがままあります。
●コイルスプリング
渦上のバネを丈夫な鉄線で横方向に連結したものです。
上下に反発する性質のある構造で反発性が豊かになり、どこに座っても同じ座り心地になる特徴があります。
バネへの負担が分散されるので木枠への局所負担も減り、バネ自体も耐久性が高いと言えます。
構造上、座面にボリュームのあるデザインになりやすくなるところは否めません。
●Sバネ
S字状のバネを連結させたスプリング。
最も多く使われているスプリングですが、ポケットコイルやコイルスプリングに比べると弾力性に劣ります。
通常は山なりに張って、いわゆる「へたり」を防止しています。
そのため座面中央は弾力性がありますが、端にいくに従い硬くなっていくのが特徴。
材面を薄くできるうえに軽量化もしやすい構造なので、デザインの幅が広がる構造です。
また、他のスプリングよりもコストがかからないため、比較的低価格のソファで多く使用されています。
構造上、「線」でクッション材を支えているので、その点でクッション材に傷みが起こりやすいのは要注意です。
●ウェービングテープ
布製のクッション材となり、糸に巻いた細いゴムを編んだもので、この布地を交互に貼り付けることで、テープがスプリリングの役割を果たします。
コイルスプリングやSバネと異なり金属を使用しないため、軽く・音がしない・場所をとらないと利点が多くあります。
家具蔵のソファでは、ウレタンフォームとフェザーの多重構造のクッションに対して、このウェービングテープでしっかりと支えるつくりになっています。
そのため毎日の暮らしの中で荷重がかかるクッションをしっかりとサポートしてくれるウェービングテープは柔らかい座り心地を実現するだけではなく、クッション材のへたりを軽減し、クッションの劣化を防いでくれる役割を担っています。
いろいろな種類のつくりがある中で、自分自身に合っているものは何か、心地いいものは何か考える際には、まず座って体感すること、そしてこうした細かいつくりやメンテナンス性を確認しましょう。
そのことが「失敗しないソファ選び」への近道となります。
家具蔵でも各店で無垢材ソファが展示されています。
座って、聞いて、ソファ選びのコツを体感してください。
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