広葉樹と針葉樹の違いと適正
2022.3.13
広葉樹と針葉樹
「広葉樹」と「針葉樹」。
皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
葉が広く平たいものが多い木は「広葉樹」で、先がとがり針のような細い葉をもつ木が「針葉樹」と、学校でも習ったことがあったと思います。
実は木を多く使う、家具や建材では「広葉樹」と「針葉樹」の特徴を活かして使い分けがされているのです。
今回はそんな「広葉樹」と「針葉樹」の違いと特徴のお話をさせて頂こうと思います。
外見の違い
まずは、先述の通り「葉の形」に特徴的な違いがあります。
ただし、街路樹でよく見かけるイチョウのように、葉がとがっていないのに「針葉樹」という木もありますので、葉の形だけでの判断には注意が必要です。
樹形もまた、特徴的な違いがあります。
広葉樹の樹形は樹種によっての差もありますが、枝分かれして大きく樹冠を広げてゆきます。
葉が広い為、効率的に日を浴びられるように、幹を太くしていきながら太い枝を左右へと伸ばし成長していきます。
その為、成長はゆっくりで80年から150年程かけて家具が作れる太さとなっていきます。
樹形は全体的にこんもりと丸い形になります。
有名な「♪この~木なんの木~」というCMに出てきた木をイメージして頂けると分かりやすいのではないでしょうか。
針葉樹は、上に向かって真っすぐ成長する性質があり、スッと太い幹が伸び、枝を広げます。
葉が細いことが多い為、雪や風などの自然環境の影響を受けづらく、陽光を求めて上へ、上へと成長が出来るのです。
成長も早く、40年から60年程で建築材料に使用できるほど成長します。
その為、樹形は円錐形になります。
モミの木が使われることの多い、クリスマスツリーが特徴的なかたちとなります。
このように、外見では「葉の形」と「樹形」に大きい違いがあるのです。
では、枝葉、樹皮等の取られた木材ではどのような違いがあるのでしょうか。
細胞、組織の成り立ちの違い
広葉樹の組織構造は複雑で、細胞の種類が多く、また細胞ごとの機能も専門化しています。
水分の通り道となる「導管」をもち、木を支えるのは主に「木部繊維」が担っています。
また、養分の貯蔵機能をもつ「柔組織」も発達しているため、木目も複雑になります。
反面、針葉樹の細胞組織は主にストローを束ねたような「仮導管」を主にしていて90%以上を占めています。
仮道管とは、水を根から樹幹を通して葉へ送る通路のことで、また木そのものを支える役割も担っています。
その為、細胞の構成は非常に単純で、配列は整然としているため木目も明瞭になるのです。
この木を構成する細胞と細胞の間に無数の空気を通す穴が空いており、針葉樹には細胞の密度が低いために穴が多く軽く柔らかで、広葉樹の大半は細胞密度が高い為、穴が少なく重く硬いのです。
そのことを裏付けるように、英語では針葉樹を「Softwood」、広葉樹を「Hardwood」と呼びます。
名前が硬さに着目しているほど、両者の違いは明確です。
では、そのような木材はどのように使い分けられているのでしょうか。
特徴を活かして適材適所に
「適材適所」という言葉を皆様も使ったことがあると思います。
現代では、会社などの組織で適切な人材の配置を行なう際に使用されることも多いこの言葉。
この言葉は実は元々、建築現場で木の特徴を見定めて、昔の大工さんの木材の使い分けが語源となっていたのです。
土台には腐りにくく耐久性のあるヒノキやクリを。
内装の一部の柱には木目が美しく優しい肌合いのスギを。
また屋根や梁には強靭なマツを。
タンスに落葉広葉樹のキリ材が最適とされるのも同様です。
もちろん硬さや見た目だけでなく、断熱性能にも違いがあります。
断熱性能は空気の隙間である空隙が多いほど、その性能は良くなります。
そのため空隙の多い針葉樹のほうが、断熱性能に優れているものが多くみられます。
針葉樹のスギやヒノキを使った無垢フローリングは、冬も足元が冷えにくく、夏は素足で過ごしたくなるほど快適です。
一方で、人肌に触れる生活空間での内装材には、ゆらぎ感を与えてくれる杢理があり、硬くキズが付きにくい材料として広葉樹が主流といえます。
その面から床材にもウォールナットやチーク、メープルやオークといった広葉樹材を使用することが増えてきました。
家具蔵の家具は基本的に扱う広葉樹8樹種は、全て硬くて丈夫な広葉樹です。
北米産のアメリカンブラックウォールナットやアメリカンブラックチェリー、アフリカからやってきたサペリ、国内でもみることのできるケヤキなど世界中の家具材における銘木を取り揃えています。
このように、木で何かをつくるとき、それぞれの木の特性を活かして、目的に合った材料を選んでつくられています。
さて、みなさんの家の近くにある木は針葉樹、それとも広葉樹でしょうか。
わたしたちのまわりにはたくさんの種類の木があって、ここであげたこと以外にも、いろいろな違いや特徴があります。そんな違いも含めた木の話、家具選びの観点にも繋がりますので、店舗で直接お話しできる機会があれば幸いです。
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