トイレの変遷と選び方
2020.5.5
日本国内でいわゆる和式トイレに代わって、便座に腰かけるタイプのトイレ(洋式トイレ)が主役になったのは1970年代後半のことです。
1980年代に温水洗浄便座が普及したことでさらに洋式トイレが広まっていきました。
座ることができるようになったことで、より快適性が求められるようになったトイレ。
日本人のキレイ好きな性分もあり、清潔感を求める要求が高まり、汚れにくい便器や汚れを落とす水の流し方などの研究が進みました。
その結果、トイレ掃除も簡単になり、従来の約1/3で流せるなど節水性も進化しました。
家庭用温水洗浄便座の誕生
もともと温水洗浄便座は、欧米で医療用として開発されたもので、便座を温める機能はありませんでした。
それを日本の家庭向けに便座暖房機能を備え、おしりを洗浄する機能を備えた温水洗浄便座が登場したのは1967年のことです。
この温水洗浄便座の普及と発展により、現在では日本のトイレが海外からの旅行者をあっと驚かせ、感動させるほどのものにしています。
節水性の向上とタンクレストイレの誕生
1990年代になると水の流し方の工夫で、少ない水でもしっかりと汚れを落とす技術の開発が進んでいきます。
便器内で渦を巻くように水を流して汚れを落とす技術。
この技術により、従来の1/3の水量で洗浄できるようになりました。
タンクにためた水で流す従来のトイレではなく、水道管の水で流すタンクレストイレが登場したのは1993年。
住環境的にどうしても狭くなってしまう日本のトイレ空間で、圧迫感を与えない低く構えたスタイルは、その後のトイレのデザイン性を高めることにつなげました。
洗浄力と除菌の時代へ
表面をツルツルにするなど、便器に汚れがつきにくい技術開発により2000年代には掃除がグンと楽になり、有機ガラス系のトイレなど、さらに汚れが付きにくい便器素材も開発されました。
さらに、汚れを付きにくく、落としやすくするだけでなく、使用していないときも清潔に保つ技術の開発が進みます。
洗浄ノズルや便器内の定期的に自動除菌してくれるものなども一般的になっており、洗浄機能や汚れをつきにくくする技術は現在もまだまだ進化中。
掃除のしやすさや節水性も大幅に向上し、2017年にTOTOが発表した「ネオレストNX」は、丸みのあるシンプルなフォルムが美しく、吐水口の工夫で洗浄機能が強化され、便器のフチがなくなり清掃性がアップしました。
デザイン性の向上
常に清潔感を保つことのできる現代のトイレは、インテリア性への要求も高まっています。
間接照明を入れることでリラックスした空間を演出したり、壁や床などを好みの素材や柄でコーディネートしたり、壁床に合わせて便座のフタの柄を選ぶことができるトイレもあります。
どういったものを選ぶべきか、そのポイントは?
以上のように、トイレは掃除のしやすさ・洗浄力・節水性・デザインなどの面で様々な進化を遂げ、ライフスタイルにあったものを選べるようになりました。
いざ、自身が新築やリフォームなどを行う際には下記のポイントをもとに、適切なデザイン・機能を選んで快適性を高めたいものです。
●便器の形と機能を選ぶ
快適なトイレ空間を実現するためには便器のサイズもポイントとなります。
便器には大型サイズと標準サイズの2種類があるため、スペースにあったサイズのものを選びましょう。
通常のトイレはタンクのスペースが必要ですが、ゆとりを持たせたい場合はタンクを無くしたタンクレストイレがおすすめです。
タンク付きより13~14cmほど奥行が減り、開放感が生まれます。
ただし、別途手洗いスペースが必要になることを踏まえて検討しましょう。
●掃除のしやすさをチェック
トイレの掃除のしやすさは日々のストレス軽減のためにも大切なポイント。
従来の陶器に加えて、水垢の付きにくいセラミックの新素材など、汚れにくく掃除しやすく工夫された便器が増えています。
洗浄方式は、水流を旋回させて汚れを落としたり、2種類の泡洗浄で隅々まできれいにできるものがあります。
また、前述したように汚れが溜まりがちなフチをなくしたものや、便器本体や便器外側の隙間・凹凸をなくしたものなどフォルム自体に工夫を凝らしたものも。
便座やふたが電動で持ち上がる機能が付いたものは、なるべく手を汚さずに掃除できるのも利点です。
●インテリア性
便器のコンパクト化で広さにもゆとりが生まれたトイレを、より楽しくハイセンスな空間にしようとする動きも高まっています。
その一つがカラーバリエーションです。
基本的に白が一般的だった便器。
これまで黒や茶などのダークカラーはありましたが、ブルーやオフホワイト、パステルピンクなど様々な色から選ぶことが可能です。
床材や壁材、照明器具の検討と共に、トイレ空間を好みに合わせて豊かに演出してはいかがでしょうか?
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