木造建築について ~床と壁~
2020.5.27
目次
一般の戸建て住宅は現在も、木造建築がほとんどです。
今回は木造建築の中でもいくつか項目をピックアップし、項目ごとにその施工方法とポイントを解説します。
床組と仕上げについて
床組には、大きくわけて「根太床(ねだゆか)」と「剛床(ごうしょう)」の2種類があります。
近年では、耐震性や施工性の面でメリットがある剛床=根太レス方式を採用するケースが増えています。
床組の基本とともに、代表的な床の納め方を紹介します。
床組(剛床)の施工手順について
①床束を立て、大引きを設ける
鋼製や合成樹脂製の床束を立て、90mm角の大引きを910mm間隔で配置します。
大引きには、強度の高いベイマツやスギ、ヒノキを使用します。
②構造用合板を張る
断熱材を入れ、構造用合板を土台や大引きに千鳥に張り、釘で打ち付けます。
床のたわみを防ぐため、合板の厚みは24mmか28mmが一般的です。
※上階の床組の場合
床剛性を確保する必要がある上階の床は、接地かいの床組の方式とは関係なく、地震などの横揺れに強い根太レス(剛床)方式を採用する事が多くなります。
根太がないと高さの調整が難しくなるので、仕上げに複数の素材を用いる場合には、バリアフリーに仕上げる為の工夫が必要になります。
構造用合板が実(さね)ありの場合、実継ぎの下に受け材は不要となりますが、施工順がプレカット時に決定してしまうというデメリットもあります。
設置階では土台や大引きに構造用合板を打ち付けますが、2階以上では構造用合板を張りや胴差しの受け材に固定します。
150mm間隔でN75釘、またはCN75釘を四周に打ち付け、構造用合板を張ります。
接地床組(根太床)の施工手順について
①床束を立て、大引きの上に根太を施工します。
設置階の根太には45mm角のベイマツなどを使用します。
根太床、剛床ともに近年では束石を設けず、鋼製や合成樹脂製のプラ束を使用する事が多くなっています。
床組が出来上がったら、捨て貼り合板の上を実際に歩いてみるなどして、設置状況を確認しましょう。
②床下地板を張る
根太の間に断熱材を入れ、床下地板を張ります。
下地に構造用合板を使う場合は、12mm厚以上のものを使用します。
防湿・機密シートを採用する場合、床下地板を断熱材の間に挟み、根太で固定します。
断熱材は近年では金属製のクリップを根太に取付、断熱材を固定する方法が普及しています。
上階床組(根太床)の施工手順について
①床張りに根太を掛け渡し、固定する
根太ピッチは303mmで配置します。
床梁の断面寸法は支えている下階の柱の位置により変わります。
②床下地合板を張る
下地には12mm厚以上の構造用合板を使用します。
意匠的な理由からスパンを飛ばしたい場合、根太は45×105mmを使用します。
※根太による高さ調整について
根太床は梁の根太彫りの深さで高さを調節出来ます。
上階の根太の場合、45×105mmが標準です。
大入れ0mmから転がし105mmが標準なので、その高さに応じて根太彫りの高さを決めます。
根太を連続させることで、床の剛性を増す事が出来ます。
床の施工と納まりのバリエーション
●根太床∔フローリング
フローリングは根太と直行方向に張ります。
N50またはCN50釘で12mm厚の構造用合板を根太に打ち付けます。
●根太床+シート系
下地合板の不陸が仕上げ材の表面に表れる恐れがある為、下地にはラワン合板などの表面が平滑な合板を使用します。
●根太床+フローリング+床暖房
床暖房を使用する場合、フローリング材は床暖房専用のものを使用する。
●剛床+フローリング
設置階の床を根太レスとすると施工性は高まるが、上棟前に合板を敷く場合、事前に配管を終わらせる必要があります。
●根太床+タイル
下地の合板が強度を保つため、12mm厚以上の合板を2重の千鳥張りにします。
目地割れを防ぐために、根太の間隔は303mm以内が望ましいです。
●根太床+畳
本畳を使用する場合、下地を15mm厚などのスギ板にして湿気を抜くと良いとされます。
●剛床+フローリング
上階の床は床剛性を確保する必要があるため、
28mm厚の構造用合板で根太レス工法とする事が多くなります。
床の仕上げと納まりのバリエーション
●畳+フローリング
畳の和室とフローリングの洋室の「場」を切り替える為には、床の仕上げに合わせて床レベルを変えるとより効果的です。
この高さをとることで、畳下を収納にするなど有効に使えます。
床下を収納にする場合、構造用合板を床下まで延長して張ります。
場合によっては、床下までフローリングも張り、将来的に上げた床部分を撤去しても良い状態にしておきます。
●タイル+フローリング
框を設けて場を切り替えます。
玄関の階段などをタイル張りにする場合、45×105や2×4の角材を使って強度を確保します。
現場では上記の様な内容も確認するようにしましょう。
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