食器棚は「耐久性」と「機能美」で選ぶ
2020.8.15
食器棚、キッチンボードは昔から「水屋箪笥」とも呼ばれ、家庭内に無くてはならない家具として重宝されてきました。
「水屋」というのは水を扱う場所という意味で、今でいう所のキッチンにあたります。
水周りで使われる家具なので、通常のリビングダイニングで使用する家具よりも耐久性が求められます。
最近では食器収納としてだけでなく、オーブンレンジやトースター、炊飯器といった調理家電を置く機能を持った食器棚も多く、そういったものを区別してキッチンボードと呼んだりもします。
また、近年の住宅の間取りではキッチンとダイニングが部屋として別れることなく、一続きのLDKになっていることがよく見られます。
そういったオープンキッチンは、食器棚やキッチンボードはダイニングテーブルから非常によく見える場所になります。
毎日の食事の度に目に入る家具ですので、その見た目にもこだわりたいところです。
ただ見た目にこだわるのではなく、食器や調理家電を収納する機能をしっかり持ったうえで、見た目にも美しい機能美を兼ね備えたものがおすすめです。
今回は「耐久性」と「機能美」という観点から、食器棚、キッチンボードの選び方をお伝えします。
食器棚に求められる耐久性とは
水屋箪笥と呼ばれるように、水周りで使われる家具なので水気に強い事はもちろん大切です。
更に、油汚れや調理家電から出る熱などにも強くないとなりません。
金属製の調理器具がぶつかってもボロボロにならない耐久性も求められます。
一般的な食器棚、キッチンボードの素材は天板や扉、引出の前板などに水、油、熱、衝撃に強い樹脂製のシートを貼って作られたものがよく見られます。
こういったシート自体の強度は非常に高く、撥水性や撥油性があり傷や熱にも非常に強いのですが、シートを貼り付けている芯材と呼ばれる部分に木材チップを固めたパーティクルボードや木材繊維を圧縮したMDFを使用していることが多く、これらの芯材は水気に対しては弱いという弱点があります。
長く使っていると心材に水気が入り込み、膨張収縮をした結果、表面のシートが剥がれたり浮かび上がってきてしまうことがあり、注意が必要です。
例えば材質として、乾燥がしっかりと施された無着色の無垢材であれば、心材と表面材といった構造ではなく、たとえ傷がついても表面が浮かび上がってきたりするなどの不具合は起こりえません。
また、万一傷がついてしまったり、汚れがついてしまった場合でも、削り直しなどのメンテナンスを行いながら、長年使い続けていくことができるものとなります。
食器棚に宿る機能美とは
使いやすいもの、というのはそのものが持つ機能性ゆえのシンプルな美しさがあります。
食器棚でいうと、下台部分の引き出しの高さはカトラリーやキッチン小物が十分に収納出来て、なお必要以上に高くないか。
扉内の奥行きは大きめの皿まで収納できるスペースが確保されているか。
その家具が持つべき機能が備わっていると、そこには自然と機能美が宿るのです。
また、表面だけシート貼りした家具と比較した際に、水気や傷に強い特性を持つ無垢材を使用した食器棚は、その素材自体が持つ強さや表情、風格が機能美として宿るものです。
食器などの重量物を入れる引き出しは、開閉するたびに取手の部分に大きな荷重がかかります。
それを金属製のレールやつまみで作ると、金属よりも軟らかい前板の素材はだんだんと弱っていき、いずれ取手がガタガタとしてきます。
取手自体を前板と同じ素材の無垢材で削り出して作り、金具を使わずに接合することで、同じ固さ同士の素材なので、それぞれが傷つけあうことがなく、永く使い続けることができる。
これも一つの機能美といえるでしょう。
どんな家具を選ぶ時も、「美しさ」と「耐久性」は重要な要素となります。
装飾性があって、どんなに見た目がきれいで美しくても耐久性がなければ、長くは使えません。
逆に耐久性だけ高くても、日常の生活に使う道具である家具としてはあまりに無骨で重厚な、生活から浮いた存在になってしまいます。
家具を購入する理由は様々。
引っ越しや出産など、ライフスタイル、ライフステージの変化によるものが多く、その次に多いのは
「まだ使えるけど、見た目がボロボロで買い替えたい」
という理由です。
最初だけ美しくても、人工的に着色したり、表面材だけ丈夫にした家具は、使い始めがいわばピークで、経年で傷みが出て、いわゆる「ボロボロ」になっていき、そういったものは愛着を失いがちです。
逆に、私たち家具蔵がおすすめする無着色でつくる無垢材の家具であれば、傷の一つ一つも味となり、自然の色は暮らしの中でやさしく空間を彩ってくれます。
使い始めより10年後のほうが美しく、そうしたものには愛着が湧いてくるものです。
本当の意味で「耐久性」と、それに伴う「機能美」を兼ね備えた家具、是非家具蔵各店にお越しいただき、見て触れて体感してみてください。
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