ダイニングチェアがもたらしてくれるもの
2020.8.27
私たちの毎日の生活に必要不可欠で身近な存在であるチェア。
仕事用のチェア、寛ぎ用のリクライニングチェア、マッサージチェアなど様々な種類がありますが、最も私たちに身近な椅子はダイニングチェアではないでしょうか。
ダイニングをコーディネートする時、私たちは空間の広さや、空間に対する占有率の高さから、ついテーブルを先に決めてしまいがちです。
しかし、ダイニングチェアは、作業に適したダイニングチェアもあれば、食後の寛ぎまでゆっくりと楽しめるダイニングチェアなどその「得意とする」機能は多岐にわたり、デザインだけでなく座り心地はひとつひとつ異なります。
そんな個性豊かなダイニングチェアがわたしたちの生活にどのような変化をもたらしてくれるのか。
今回はダイニングチェアから考える空間コーディネートについてご紹介していきます。
チェアから選ぶと居心地が良くなる、という考え方
ダイニングテーブルを先に決めてから、そのテーブルに合う椅子を選ぶ。
一見当たり前のようなこの順番。
決して間違っているわけではないですが、場合によっては選択肢が狭まることを意味します。
つまり気に入ったダイニングチェアを選ぶことができないということもあるのです。
チェアは身体を預けるものであり、その座り心地に対する好みや感じ方も人それぞれ。
家族の中で立ち座りが多い人やそこでゆっくり寛ぐなど、過ごし方も異なるかもしれません。
テーブルから決めると、その大きさなどの関係から、それぞれの好みを完璧に反映することが難しくなることもあります。
また、テーブルの高さとチェアの座面高のバランスはたいへん重要です。
さらに、チェアに座った際には足の裏が床にしっかり接地することも重要。
そうすることで自重による体圧の負担をよりバランスよく分散できるので疲れにくくなるのです。
この場合、家族の中で一番小柄な人が基準になり、すべてのチェアの座面高を揃えながら、それに合わせてテーブルの高さを決めるのが一番良い方法です。
テーブルよりチェアを先に決めることで、より使いやすい、快適なダイニングが出来上がる可能性が高くなることがわかります。
チェアで決める空間コーディネート
自室や自宅の空間に使い勝手もよく、見た目も自分好みのチェアがあることは素晴らしいことです。
インテリアですからやはり見た目も重要ですよね。
その結果、それが空間の雰囲気に合っていれば、見た目にも心地良いダイニングスペースが完成します。
家具蔵の無垢材チェアはシンプルなデザインの中にある柔らかさが特徴。
座り心地だけでなく、落ち着いた雰囲気を生み出します。
モダンで落ち着いた雰囲気ならダークな色合いのダイニングチェアを選べば空間全体が締まった印象に。
空間全体がオークやナラといったナチュラル系の空間にはやはり同じような素材でつくったものが合います。
その一歩先のテクニックとしては、そのようなナチュラルな空間と家具にダイニングチェアのみウォールナットなどのダーク系の素材をチョイスすると部屋のアクセントカラーになり、空間にメリハリがついて雰囲気が良くなります。
モダンなイメージにしたい、でも無機質な印象は避けたい。
という方はウォールナットやサペリなどで作ったものを選ぶと、モダンな中にも温かみが生まれます。
家具蔵の無垢材チェアづくり
木のチェア、すなわち木目のある椅子の材料を簡単に分けると、「無垢材、天然木」と 「木質系の加工材料」の2種類があります。
無垢材は乾燥・加工に時間と手間がかかります。
木を知り尽くし、木を扱える熟練の職人でなければ、木の動きを読むことができません。
従って、扱いが非常に難しく、かつ現存する保有数からも極めて希少性の高い材料です。
一方、木質系加工材の代表である合板は、大量生産が可能で扱い易く、同じものを安価に作ることを目的としています。
合板とはベニヤ(木材から薄く剥かれた「単板」のこと)を何枚か積層して接着したもののことです。
無垢材チェアは言うまでもなく「木の椅子」ですが、木には「広葉樹」と「針葉樹」という違いがあります。
針葉樹の特徴のひとつに「柔らかく軽量」というものがありますが、無垢材チェアは人の身体を支え、暮らしに必要な作業を支えるもの。
そこに必要なのは「強度があり傷がつきにくい」ことであり「揺れに強い」ことです。
広葉樹は強度があるので重量のあるものを収める可能性のある収納家具や長期に渡って使用することになり、そのなかで傷などがつく可能性も高い(つまり傷がつきにくいものが良い)ダイニングチェアにも向いています。
揺れにも強いのもダイニングチェアに向いている理由です。
世界中の名作椅子の素材は広葉樹であることがほとんどです。
家具蔵は目利きの人間が現地まで赴いて細かな観点で原木を選定し、製材を経てそれぞれを一本ずつ天日の下で自然乾燥させながら国内材・輸入材でも日本の気候に馴染むようにじっくりと水分を抜いていきます。
含水率(木の中の水分の保有量)が12~13%までになるまで自然乾燥しながら、その間は風通しを良くするための桟棒を挟み、積み重ねて保管。
さらに、現代の気密性の高い室内でエアコンや床暖房などにさらされる木にとっての過酷な使用状況を考慮して、含水率を6~7%になるまで機械乾燥及び養生を行うのです。
家具となった後の環境に適応できるよう管理を徹底しています。
そもそも「板座」つまり、木の座面の椅子は世界的にも圧倒的に少なく、それは製作が難しいからに他なりません。
板座チェアはそもそも張地の張替えなども不要で、ランニングコストの面でも非常に有益です。
では何故そんな椅子が少ないのでしょうか?
実際に高耐久で長期の使用に耐えるものをつくろうとするとき、さきの乾燥を含め、ここまでの手間と技術を持って椅子づくりを行うことができる、というのが非常に少ないからです
家具蔵の無垢材チェアはパーツの切り出し、大まかな面取りなどの部分には機械加工も取り入れ加工効率をアップさせながら日本が誇る伝統の木造建築の工法を家具作りに活かしています。
「機械のスピードに頼るところ」と「手間をかけるところ」をバランス良く振り分けることで長く使うことのできる高品質な製品のコストダウンを図っているのです。
木目の流れを活かしながら各パーツを木取りし、それぞれのパーツは絶妙で滑らかなラインへと削り込んでいきます。
曲木では実現できない個性豊か年輪の表情が美しく現れ、彫刻のような複雑な造形を可能にします。
木目もデザイン、と考えるが故の製法です。
そして日本が誇る伝統の「木は木で締める」木造建築技術を応用した木組みにより接合していきます。
安易に釘などの金物に頼らないことが強度を確保し、何世代にも渡って使い込むことのできる丈夫さに繋がるのです。
そのうえで、パーツ同士の接合に強度が必要な部分は材を厚くした「持ち出し」を用いて、そのお互いの接合部は手仕事による「さすり仕上げ」で有機的なアートラインを描きます。
また、何といっても大きな特徴はその座面の削り込みの深さ。
圧倒的に「深い」それは、臀部から太股にかけて着座時の体圧が分散されるようになっており、板の座面とは思えないほどの優しい座り心地です。
それを含めた人間の体型を考えた曲線の数々は美しさを持って「座り心地の究極」を表現しています。
昔ながらの製法へのこだわり。
いくつもの道具を細かく使い分けること。
生産性の向上を理由に機械化が進む中、あえて手仕事を残そうとするのは機械では出せない滑らかで絶妙なラインや接合技術、また、木が本来持っている美しさを引き出せるからです。
原木仕入れを行うことから始まり、ひとつひとつが丁寧な作業でつくられる家具蔵の無垢材チェア。
木目もデザインとするようなこだわりの製法と手間を持って長く使用することのできる無垢材チェアづくりを行っているのです。
こうしたぱっと見の情報だけではわからない、多くの秘密をその躯体に収めながら家具蔵のチェアはこれまでも20年以上の間、日本中の多くの方に愛用されています。
メンテナンス体制も工場直営ですから、しっかりと体制を整えています。
そんな家具蔵の無垢材チェア、豊富なラインナップからきっとあなたにぴったりの一脚が見つかるはずです。
無垢材チェアは「見て美しいこと」「座り心地が良いもの」「それでいて丈夫であり、メンテナンスも可能なもの」から選ぶのが正解です。
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