無垢材家具を無着色で選ぶ理由とは
2020.11.28
家具選びをする際に、丈夫で木本来の木目の表情を感じることのできる無垢材のものを選ぶ人が増えてきています。
無垢材とは、原木(丸太)から切り出したままの自然な状態の木材をさしたものです。
その良さを最大限に引き出すのが「無着色仕上げ」つまり色を着けずにクリアに塗装する仕上げです。
今回は、無着色の無垢材家具の良さ、無着色の無垢材家具をおすすめする理由をお話しします。
無垢材とそれ以外の「木質系加工材料」の違い
無垢材は、わかり易く言うと丸太の木から伐り出した板材のことです。
つまり、「木そのまま、木そのもの」なのですが、それと比較対象になるのが「木質系の加工材料」と呼ばれるものです。
木質系加工材の代表である合板は、ベニヤ(木材から薄く剥かれた「単板」のこと)を何枚か積層して接着したもののことです。
その表面に化粧シートや、突板を圧着し加工した工業製品のことを「木質系の加工材料」と呼びます。
木質系の加工材料を使用している家具はコストパフォーマンス、量産を目的としています。
ただ、耐久性に難があり、表面材を芯材に貼りつけたものは購入した時が一番良い状態で、表面材が剥がれてくるなどの劣化が進むと次第にみすぼらしくなってきます。
無垢材はこの「貼ったものが剥がれてくる」という概念はありません。
傷がつくことはありますが、それも削りなおしてきれいに直すことができます。
無垢材は非常に耐久性に優れた素材なのです。
そして、その良さをさらに高めるのが「無着色」で家具をつくることに他なりません。
なぜ「木の家具」には着色をするのか
家具を選ぶ際には、家具を置いた実際の空間を多かれ少なかれ頭の中でイメージするはずです。
どんな空間にしたいか、内装との相性は、ラッキーカラーや風水、家族の好み…。
一方でどんな世界にもいわゆる「人気の高いもの」があります。
家具の世界でいうならウォールナットのような濃茶系やチェリーのような赤褐色、メープルやナラに代表されるようなナチュラル系などが人気です。
こうした「人気のあるもの」に安価に手っ取り早く近づけるには安価な木材を着色することが一番です。
先述の木質系加工材料はもちろん、無垢材で作るものにもこうした手法で「違う木」をそのように見せることがあります。
それはひとえに見栄えが良いから、そして仕入れの問題があるためです。
まず、人気のある銘木は仕入れ自体が困難です。
仕入れが困難ということは人気のある銘木で家具を製作したくてもできない=それに寄せて着色しよう、となります。
しかし、こうした方法は無垢材であっても、傷が生じた際に中の「地の色」が見えることを意味し、それは無垢材本来の良さである「傷みも味になる」要素がなくなり、「削りなおして直すことができる」という良さも無くしてしまうことになります。
無着色の無垢材家具をお勧めする理由
無垢材の家具は無着色でつくってこそ、その良さが活きる。
その最大の理由は「経年変化を楽しむことができる」点にあります。
無着色の無垢材はすべからく、使い込むうちにその色合いを変えていきます。
深い飴色になるものもあれば、明るくなって木目が際立つものも。
その変化は長く使うことで価値を高めるものでもあり、家具という長い年月を共にするものの良い楽しみ方でもあります。
また、人が一人一人違うように、天然木も表情や生き様はそれぞれ違います。
木が大きく育つまでの歴史は木目の表情や素材に刻まれ、長い年月を経て育った木は、年輪や木目が同じものは一つとしてありません。
ですからその表情を生かし、そのままを味わえるように無着色で仕上げたものは時間の経過とともに深みや味わいを増し、使うほどに愛着を感じることができるのです。
家具蔵が無着色の家具作りを行う理由
私たち家具蔵が無着色の家具作りにこだわる理由もまさにそれです。
木目までもデザインと考え、長く使用できるものを提供したい。
無垢材は家具になるまでに数十年、数百年という年月をかけて育った樹木を使う材料です。
百年生きてきた木を使うのなら百年使えるものを。
そんな姿勢で家具作りを行っています。
そのために家具蔵は目利きの者が国内外の各地まで赴き原木を仕入れ、「製材立ち合い」「乾燥」「木取り」「組み立て」「仕上げ」とすべての工程を自社で行います。
そうすることで着色を行わずともクオリティの高い家具を製作することができるのです。
すべては「長く使うことのできる家具作り」のため。
そこにこだわるからこそ、無着色という手法にたどり着いたのです。
家具蔵各店には無着色の無垢材家具を多数展示しています。
作りたてのものから経年変化したあとのものをその場で見比べて頂くことも可能です。
着色ではない、自然の色合いの持つ美しさを一度体感してみてください。
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