無垢材のサイドボード、その樹種の選び方とは
2020.12.5
目次
サイドボードとは?その歴史は?
「サイドボード」とはダイニングにおけるテーブルに対して、補助的な役割を担う収納家具を指します。
その「補助的な役割」とはすなわち「食器の保管を管理する」役割です。
サイドボードは17世紀初頭のヨーロッパで頻繁に登場するようになったのがその始まりです。
配膳の際に食器を一時的に置ける小型のテーブルとしての役割を果たしてきました。
しかし、現在では食事のための棚だけではなく、テレビやオーディオを置くための収納台などのこともサイドボードと呼んでいます。
俗にいう「キャビネット」と比べると、総じて高さが低いことも特徴と言えます。
さて、今回のコラムではそんなサイドボードを無垢材で作る際にどのような木の種類を選べば良いのかご紹介していきます。
サイドボードの樹種の選び方は
家具を選ぶ際に基準となるもの。
サイズや用途はもちろんですが、「色や素材感」はとても大切です。
私たち家具蔵のように「無着色」で家具をつくるメーカーのものを選ぶのであれば、それはすなわち「樹種選び」となります。
無着色のものは経年で色が変化していくので厳密に「この色」というのにはならず、細かいカラーコーディネートとはまた違った考え方が必要になりますが、それぞれ空間での見え方・その好みというものはある意味で決まってきます。
使い勝手が良く、見た目も美しいサイドボードのある暮らしは「心地よく」「眺めの良い」毎日に直結します。
ポイントは、「バランス」。
そして、どのような「空間」にしたいかという点です。
それでは、実際にどのように選ぶと良いのか紐解いていきましょう。
「色合いのバランス」を考える
空間のカラーコーディネートは3つの要素で構成されます。
「ベースカラー」と呼ばれる床や壁・天井などお部屋の大部分を占める色。
「アソートカラー」と呼ばれる家具やラグ、カーテンなど2番目に広い面積を占める色。
最後にクッションや観葉植物など小物にあたる「アクセントカラー」があります。
この割合を「7:2:1」にするとバランスも印象も格段に良くなる、と言われています。
その為、基本的には同じ空間に置く家具は、その色合い=樹種を揃えることが王道で、一番間違いのないコーディネーションとなるでしょう。
一続きの空間なら、例えば片方を明るい色合いの樹種・もう片方を落ち着いた色合いの樹種にするなど、あえて違う樹種同士をそれぞれの場所に置くことで「ゾーニング」をする、といった方法もあります。
例えば、リビングダイニングの場合、リビング側はウォールナットなどの落ち着いた雰囲気に、ダイニング側はナラなどの明るい色合いのものにすると、その違いが「見えない壁」をつくり、間仕切りの役目を果たします。
この場合、大事なのは今回の主題である「サイドボード」をダイニングテーブルの近くに置くのであれば、やはり同じ樹種を持ってくることです。
そうすることで統一感のある、洗練された空間が演出できるようになります。
また、樹種を統一することで「色」や「素材」をより楽しむことができるメリットも生まれます。
柄や色の組み合わせを楽しむことも面白いでしょうし、鉄やガラスなど異素材のものを置くのも良いでしょう。
統一感のある「ベース」があれば、こうした「遊び」の要素も取り入れやすくなり、それが上手くアクセントとなることで「好きなものを適当に置いているけどスッキリ見える」という、ワンランク上の空間ができあがるのです。
樹種の違いで空間のイメージを変える
サイドボードに使われる樹種は数多く存在しますが、まずは「広葉樹」のものを選びましょう。
木には「広葉樹」と「針葉樹」という違いがあります。
「広葉樹」はわかりやすく言うと「平たくて幅の広い葉を持つ木」のことで、「針葉樹」は「針のように細長い葉を持つ木」です。
サイドボードのような収納家具に使用するなら広葉樹が断然有能です。
毎日の暮らしで使用する家具、それも収納家具に使うのであれば「強度があり傷がつきにくい」こと、そして「揺れに強い」ことがたいへん重要です。
中身の組織の密度の濃い広葉樹は揺れにも強く、強度があるので重量のあるものを収める可能性のある収納家具にたいへん向いています。
今回のコラムでは家具蔵でも多くの支持を集める「ウォールナット」と「チェリー」をピックアップしてお話ししていきましょう。
ウォールナットのサイドボードで作る空間
世界的に高い人気を誇るウォールナット。
世界中に様々な種類がありますが、北米大陸産の「アメリカンブラックウォールナット」が最も有名且つ美しいものとして知られています。
その名の通り、「黒」に近い深い色合いで美しい木目をもつウォールナットは、木の温もりがありながらも、非常に落ち着いた雰囲気を持つので、モダン且つシックで洗練された空間づくりに最適です。
ラグジュアリーでありながら耐久性に富み、それでいてコーディネート性も抜群。
空間を選ばないその素材感は気負いなく導入できるので、入門編としてもお勧めです。
美しい木目と落ち着いた色合いは、家具として成型されてもなお存在感を放ちます。
ウォールナットを住まいに取り入れた瞬間、空間の表情がグッと引き締まり、上質な安らぎの空間になるでしょう。
チェリーのサイドボードで作る空間
チェリーの木肌はきめ細かく、すべすべとした質感は使い込むごとに光沢を増してきます。
それでいて、赤みの強い色合いは強く滋味をたたえ、やさしく温かみのある空間づくりに貢献してくれる素材です。
なんといっても一番の魅力は劇的に起こる「経年変化」ではないでしょうか。
初めの明るい色味から、時が経つほどに深い飴色へと変貌を遂げていくその様は、無着色の無垢材家具の醍醐味を存分に味わうことができます。
年月とともに色合いが変わるその様子は、家具と一緒に年を重ねるような感覚を得ることができる、とても魅力的な樹種です。
チェリー材の家具は、とても温かく家庭的な印象を持ち、どんな空間にも品よく収まります。
ワンランク上の空間を演出してくれる存在です。
いかがでしたか?
「高級感」「癒し」「安心」「温もり」など、樹種によって様々な空間を作り上げる事ができます。
家具を選ぶ際に樹種選びは大切な基準となります。
家具は早々買い替えるものではありません。
だからこそ、色々な視点からのモノ選びが重要になってきます。
また、サイドボードはやはり収納家具ですので、その収納性や使い勝手ももちろん大事。
家具選びに迷われた際は、プロの意見を参考に「使い勝手良く」「眺めのいい」ものを選びましょう。
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