横浜で出会うウォールナットの一生ものの家具
2020.12.13
都心や空港からのアクセスも良く、みなとみらいや赤レンガ倉庫などでは週末のイベントも多く開催され賑わう街、横浜。
その昔、長い間ほとんどの諸外国と交流をしてこなかった日本が神奈川や横浜を開港の地に選んだのは、江戸から一番近い港であったことが理由とされています。
当時の横浜は、港の施設がほとんどない小さな漁村でした。
開港後、現在の大さん橋付近に2か所の波止場が作られ、現在では国際的な貨物コンテナを扱うターミナルとして、また国際船客ターミナルとしても機能し日本の海の外交の窓口として欠かせない存在となっています。
家具蔵横浜元町店のある横浜元町ショッピングストリートに家具店が多いことも、実は開港に大きな由来がありました。
洋家具発祥の地横浜元町
江戸時代は外国との交流がなかった為、人々の往来は国内に限られていました。
江戸と東海・関西地方へはお互いを結ぶ東海道を徒歩で行き来することが主でした。
小さな漁村であった横浜よりも現在の東神奈川のあたりとなる神奈川宿を中心に人が集い、活気の溢れた土地として位置づけられていました。
しかし、開港の際、幕府は人々が多く集う場所と外国から来た人々を遠ざけようと考えます。
そこで白羽の矢が立ったのが横浜でした。
開港当初は日本人と外国から来た人々の住まう地域を分けており、港からほど近い横浜山手には外国人居留地として多くの外国から来た人々が住まい、過ごしました。
現在、横浜山手は「西洋館めぐり」がみなとみらいや横浜中華街と並ぶ、横浜有数の観光スポットにもなっており、横浜の名建築として当時の外交官や貿易商の邸宅が無料で公開されています。
開港後、横浜山手に住まう外国から来た人々は慣れない土地に、自分たちの土地で共に長く過ごした家具を持ち込み横浜での生活を始めます。
そのなかで壊れてしまったり、日常の中で不具合が生じた家具。
海を渡った日本では買い換えようにも当時の日本には洋家具は存在していなかったため、補修して使う道が必要となります。
そこで、横浜元町の職人に自分たちの持ってきた家具の補修を依頼したことがきっかけで洋家具が日本に広まっていくこととなったと言われており、これが横浜が洋家具発祥の地と呼ばれる所以です。
開港から遡り、ヨーロッパ、主にイギリスでは17世紀頃からウォールナット材が普及していたと言われており、ウォールナット材が持つ独特の木目が高貴な印象を醸し出していることから、「富の象徴」として王族や多くの貴族の中で重宝されていました。
横浜開港当初、日本へ来る外国人は外交官や貿易商など富裕層が大半であり、当然ウォールナット材の家具も多くあったと想像できます。
日本ではウォールナットのような濃い色素を持つ木は生育しておらず、当時家具材として使われていたヒノキやケヤキとはまた違った魅力を持つ木目や色合いのウォールナットの家具は当時の職人たちの目に新鮮に映ったことでしょう。
一生モノの家具としてウォールナットの家具が選ばれる理由
日本に住み始めた欧米人が持ち込んだ家具の中でも豊かな色合いと美しい木目を持ち、高級材として目を惹いたウォールナット材の家具。
日本では木製家具といっても着色を施しているものや、薄くスライスしたシートを貼っているものが多く見受けられます。
本物の木をそのまま使った無垢材無着色のウォールナットの家具は使い込むごとに味がでてきます。
使い始めは黒褐色と言われ、やや青み掛かった濃い色をしています。
一般的にウォールナットが濃い色という印象であり、そのイメージを基にした「ウォールナット色」という着色をした家具もほとんどがこの黒褐色を指します。
黒褐色は紫外線などの影響を受け、次第に青みが抜けることで赤や黄の色素が残るようになります。
そうすることでまろやかな色合いへと変化し、明るくなった色合いに本来ウォールナット材の持つ美しい木目がよりはっきりと表れるのです。
時が経つとともに違った表情を見せ、長く使っても飽きのこないところが一生ものとして使い続けたくなるウォールナットの家具の魅力の1つです。
木目が美しいだけでは一生ものとは呼べません。
一生使いたいと思っても、長く使い続けられる耐久性が必要です。
ウォールナット材は木材の中でも耐久性に優れています。
ものをぶつけたり、落としたりしても傷がつきにくく、衝撃に強い木材でもあります。
こういったウォールナット材の持つ特徴に加え、その高級感や木目の美しさで目を楽しませてくれます。
そのうえで長く使うことができるという安心感を与えることで、一生ものの家具としてたくさんの人から長きにわたり支持を得ているのです。
横浜と洋家具、ウォールナット材ははるか昔に出会いを果たし、今もなお、手入れをされながら家具として活躍しているものもままあります。
ウォールナット材とも縁の深い横浜の地で一生モノの家具と出会えば、きっと思い入れのある家具として愛着を持ってお使いいただけることと思います。
洋館を巡り、そんな洋家具の歴史の1ページを紐解いてみてはいかがでしょうか。
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