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箪笥とは?チェストの選び方とは?

2021.1.8

 

 

箪笥(たんす)とは


 

 定義として、「抽斗(引き出し)」のあるものを箪笥と呼びます。

「抽」は「引き出すこと」。

「斗」は「柄杓や枡」をさし、つまり柄杓や枡のような形の器を引き出せる家具が箪笥です。

箪笥の誕生は、収納方法がいわゆる「つづら」のような「箱」に入れて蓋を開けてモノを取り出すものから「抽斗」へと変化した江戸時代中期。

この頃に一般的に庶民の生活用品として使用されるようになりました。

社会も安定し商業・工業が共に発展した時代。

庶民の生活も向上し、全国的に商工業活動が盛んになり、様々な分野で生産力が高まりました。

中でも木材はその最たるものです。

伐木、製材技術が向上し、同時に流通機構の整備が進み、配給量が飛躍的に増大したことが要因です。

例えば箪笥を作るには板材が多量に必要ですが、伐木から運搬、製材(江戸初期の台切鋸、大鋸の普及、その後の改良等)、販売に至る技術と流通が発達し、木材をふんだんに使える環境が整いました。

箪笥に収納する着物についても、綿織物、絹織物の生産が急増し、小売店も発展したことで呉服の大衆化が進みます。

仕舞っておく衣類や小物を所持するゆとりが町人達の間に生まれ、こうした条件が重なることで、「箪笥」という新しい木工製品の登場を喚起し、次第に普及しました。

 

箪笥の発展


箪笥には日常生活用、商業用、公用の他、武家、職人、商人などのそれぞれの仕事上の必要に応じた専用の箪笥がありました。

また、日常生活用の衣装箪笥や水屋箪笥(水屋箪笥とは現在の食器棚のこと)、茶箪笥、側箪笥、手元箪笥、階段と収納スペースが一体となった階段箪笥(箱階段)などがあります。

箪笥は当時の法律に縛られデザインは限定されており、画一的でした。

従って箪笥のデザインが発展するのは、明治に入ってからになります。

地域の環境、歴史、美意識を反映して、地元の材料と技術を使い各地域で、特色のある和箪笥が生み出されていきました。

主に明治時代から地方によっては昭和初期まで製作は盛んで、用いられた木材の種類は地元の木材がほとんど。

キリ、スギ、ヒノキ、ケヤキなどが主流でした。

代表的なものは、新潟県佐渡地方の佐渡箪笥、山形県では庄内地方の庄内箪笥、米沢地方の米沢箪笥、岩手県奥州地方の岩谷堂箪笥、宮城県仙台地方の仙台箪笥、福島県二本松地方の二本松箪笥、長野県松本地方の松本箪笥、福井県三国地方の三国箪笥、滋賀県近江地方の近江水屋箪笥等があります。

箪笥は主に木材、金具、漆の三つの部材で構成され、その部材のどれをとっても手間をかけて形作られ、風土や暮らしの中で職人の技によって生み出されたものでした。

一方、日本に住む外国人が木造の西洋館を建て、母国から現地の家具類を持ち込んだことをきっかけに、明治後期から大正期の洋風建築の普及によって洋家具も需要が拡大し著しく発展しました。

時代を経ながら衣・食・住の面で暮らしの様式が変わり、洋家具へと移行が進みます。

しかし、国内でこの洋家具作りを支えたのも、伝統的な箪笥づくりで培われた技術を持った職人でした。

 

 

箪笥の変遷


少し前までは嫁入り道具として持たせた婚礼家具3点セット。

そのなかにいわゆる「洋服箪笥」もありました。

今の住まいには、大抵クローゼットが備え付けられていますので、これらは必需品ではなくなりましたが、現実的にはクローゼットだけでは収納が足りないという方も多く、プラスアルファの機能として箪笥、すなわちチェストを使用している方が多いでしょう。

チェストとは、衣類などを整理するために用いられる整理タンスのことで、高さや形状によってローチェスト、ハイチェストなどのバリエーションがあります。

ローチェストは高さ900㎜位までの腰高のもので圧迫感が無く、衣類や小物の出し入れがし易い為、最も人気のあるタイプです。

一般的にチェストといえばローチェストのことをイメージされるでしょう。

 

 

チェストの選び方


素材は様々ですが、大切な衣類を収納するということを念頭に選ぶようにしましょう。

まずは引き出しの素材です。

伝統的な箪笥作りは風土や暮らしに合うよう、職人が手間をかけて作っていました。

風土といえば、日本は梅雨があり、衣類にとっては厳しい環境です。

これに対応する生活の知恵が「桐を引き出しに用いる」ということです。

女の子が生まれると桐を植え、お嫁に行く時はその桐で箪笥を作るという話を耳にしたことがあるのではないでしょうか。

桐は成長が早いだけでなく、調質作用があり、伸縮等の狂いが少なく、発火温度が270度と高く燃えにくいという特性があるので、高温多湿で、木造家屋で火災の危険を抱える日本人が昔から桐を好んだ所以です。

他にもパウロニン、セサミンと云う成分が含まれているので、ノミ・ダニなどの虫がつきにくく、また抗菌作用のある柿や茶に代表される渋味成分タンニンを含んでおり抗酸化性成分があります。

他の用途では米櫃や茶箱にも使われているので、酸化による味の劣化を抑制する効果もあります。

目当てのチェスト(または洋服箪笥)の引き出しの素材がどんなものか。

衣類の収納に相応しいものかの確認を忘れないようにしましょう。

 

「無垢材・無着色」のチェストを


チェストは単に衣類を収納するだけではなく、空間のイメージに大きな影響を与えます。

無垢材でつくられ、且つ無着色のチェストは使えば使う程、表情が深くなり、愛着や使う喜びを日々実感できます。

また、無垢材を使う比率が高いほど、木組みの要素も強くなるので接着剤の使用量が軽減され、衣類や小物を安心して収納することも可能です。

チェストに限った話ではありませんが、家具を選ぶ際にはこうした安全面や健康面についても考慮しましょう。

チェストに収納するものは大抵の場合洋服など。

直接身に着けるものですから、ずっと安心して使えるものを選ぶのが良いですね。

 

チェスト1台を選ぶにも素材、サイズ、使い方、トータルコーディネート、健康面、耐久性等様々な視点からの検証が必要です。

かつて、日本では風土や暮らしに合った箪笥が作られていました。

その思いや技を継承し、現在の住まいに合うデザインで人に環境にやさしい家具を使いたいものです。

家具蔵でも伝統の木工技術、日本独特の風土や文化を考慮した無垢材チェストを多数用意し、サイズや仕様の変更も承ります。

一生ものになる使いやすく、美しいチェスト。

そんなチェストを思い立ったらお気軽にご相談ください。

 

 家具蔵の無垢材チェストのラインナップはこちらから

 


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