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「ナラ材」はどんな家具に向いているか

2021.1.10

 

 

ナラという木は昔から日本人にとって、とても馴染みのある木です。

コナラ、オオナラ、ミズナラと様々な種類がありますが、いずれも「どんぐりのなる木」として知られており、そう聞くと親近感も湧くのではないでしょうか。

古くから人の暮らしに関係の深いナラですが、家具材としても(その仲間含め)世界中で親しまれています。

今回は私たち日本人にとって馴染みのあるナラがどのような家具に向いているかまとめていきます。

 

 

ナラとはどんな木か


クヌギ・ブナ等と共に「どんぐりのなる木」として親しまれているのがナラです。

主な原産地は日本、中国、ロシア、アメリカ等。

ナラは放射組織という養分を中心から樹皮に通す組織がとても発達しているので、「最も進化した木」と言われています。

この発達した放射組織はナラの生命力の強さに直結しています。

例えば、山や森を歩いていると倒木した木や切り株から芽が出ているのを見たことがあるでしょう。

この芽が出ている木のほとんどはナラです。

実は元気なナラが倒れた木に根を伸ばし、発達した放射組織を用いて養分を送ってあげているのです。

皆で助け合いながら成長していくことが出来る木なので純林を形成し、森を作ることが出来ます。

また、ナラは落葉樹の為、冬になると多くの葉を落とします。

この落とした葉がやがて腐葉土となり、森の土壌を豊かにしていきます。

そして、この土壌のおかげで他の植物や樹木が生き生きと成長することが出来るだけでなく、雨水が濾過されて河川や海に流れ込むことで水を綺麗にしていきます。

ナラの存在は生態系に大きな好影響を与えているのです。

 

広葉樹の特性


木には「広葉樹」と「針葉樹」という違いがあります。

「広葉樹」はわかりやすく言うと「平たくて幅の広い葉を持つ木」のことで、街中でよく見ることができるのはケヤキ、ポプラ、サクラ、ブナ、カシなどがそれにあたります。

ナラもその広葉樹のひとつです。

一方「針葉樹」は「針のように細長い葉を持つ木」で代表的なものはマツやスギなどがすぐに思い当たります。

家具に使用するなら広葉樹が断然有能です。

針葉樹の特徴のひとつに「柔らかく軽量」というものがありますが、家具は人の身体を支え、暮らしに必要な作業も支えるもの。

そこに必要なのは「強度があり傷がつきにくい」ことであり「揺れに強い」ことです。

広葉樹は強度があるので重量のあるものを収める可能性のある収納家具や長期に渡って使用することになり、そのなかで傷などがつく可能性も高い(つまり傷がつきにくいものが良い)ダイニングテーブルにも向いています。

そして、中身の組織の密度の濃い広葉樹は揺れにも強いので、ソファーや椅子のフレームに最適です。

当然、ナラもその特性をふんだんに持っており、丈夫な、人の暮らしに寄り添う材として活躍しています。

 

日本と欧米の「ナラ観」の違い


欧米では古くから家具材としてナラ材(向こうではオーク材ですが)は重宝されてきました。

マホガニーが登場する1700年頃まで、ヨーロッパでは家具を製作する上での主流となる材料でした。

特に1500~1600年頃を「オークの時代」と呼び、イギリスではチューダー様式、エリザベス様式、ジャコビアン様式という様々なスタイルの家具が生み出されました。

それでは日本におけるナラの位置付けはどうだったのでしょうか?

どんぐりは確かに食用ですが、普段から口にするには様々な工夫が必要です。

また、スギやヒノキ、ケヤキが家具材として主流だった日本では、明治になって、欧米の価値観が国内に入ってきてから、ようやく注目を浴びるようになりました。

北海道を開拓するにあたり、現地のナラ材を伐採し、破格の値段でヨーロッパに輸出していたところ、それまでにも定評のあったオーク材の中でも北海道産のナラが最高品質だとヨーロッパの職人の中で認められたことにより、今日の「ジャパニーズオーク」というブランドが世界的に認められるきっかけとなったのです。

 

家具材としてのナラ


ナラの優れている特性として以下の4点があります。

・加工性が良い

・強度がある

・安定している

・木目が美しい

全て家具作りにおいて必要な要素です。

4点目の「木目が美しい」の例として、虎班(とらふ)、英名ではシルバーグレインという杢があまりにも有名です。

ナラは養分を根から幹や枝葉全体に行き渡らせるための繊維構造(放射組織)がとても発達しています。

この繊維構造を柾目に挽くことで独特の美しい杢が生まれます。

そして虎斑は使い込むほどに渋い輝きを出し、味わい深くなっていきます。

これが何十年と愛用したくなるナラ材の家具の魅力の一つとなっています。

ただし、全てのナラ材に虎斑が表れるわけではなく、天然木で高樹齢の木でないと出てくることはありません。

そのため、存在するだけで価値があるとされ、世界的にも有名な建築家フランク・ロイド=ライトもこの虎斑に魅了されていました。

 

ナラと相性の良い家具


多くの家具にふさわしい特性を持っているナラ材。

その中でも特に相性の良い家具はなんでしょうか?

それは前述のように「強度があり傷がつきにくい」ことであり「揺れに強い」ことに答えがあります。

まずはテーブル。

他の家具に比べて作業をする場所ですから傷もつきやすく、ガタガタ揺れていては話になりません。

ナラはそうした条件をすべてクリアします。

チェアもそうでしょう。

日々人の体重を支え続け、立ち座りの際の前後左右の移動にも耐えるためには高い強度が必要です。

また、座り心地の良い椅子を製作するためには人の体に寄り添う曲面を作らなければなりません。

ナラ材の加工性の良さで人間の複雑な体のラインに寄り添った椅子を作ることが出来ます。

ソファやベッドも同じく強度と揺れの強さは必要ですからナラ材はぴったりです。

また、収納家具もしかりです。

長期に渡って使用することが前提のうえ、重量のあるものを収める可能性のある収納家具にもナラ材は適しています。

そのうえでナラ材の持つナチュラル感、なんともいえない素朴でやさしい雰囲気は合わせる空間を選びません。

異樹種・異素材との合わせも抜群です。

こうして見ると、ナラ材家具が人気を博している理由も見えてきますね。

 

家具蔵でもおおよそすべてのカテゴリーでナラ材の商品をご案内しています。

キッチンでさえ、ナラ材で製作することが可能です。

無垢材のメリットをすべて網羅し、そのうえで空間を選ばない万能性を持つナラ材。

家具蔵各店でも様々なものが展示されています。

気軽に足をお運び下さい。

 

ナラ材の無垢材家具のある暮らしの事例はこちらから

 

 

 

 


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