チェアやスツールをチェリーで揃えるメリットは
2021.2.6
家具材として人気のチェリー材。
毎日使うチェアやスツールをこのチェリー材で製作する方も多くいます。
特に最近はコロナウイルスの影響でテレワークや在宅時間が増えたことで、ますますチェリー材のチェアやスツールの人気も上がっています。
それでは、そもそも何故チェリー材が家具材として人気があるのか、そして、チェリー材にはどのようなメリットがあるのかを、今回はこのページで深堀りしてみたいと思います。
チェリーとは
主な産地は、アメリカ東部全域(ペンシルベニア、バージニア、ウエストバージニア、ニューヨークの各州)に及びます。
現在、北米大陸には約30品種のサクラ類がありますが、その中でも家具材として最も有名なのがアメリカンブラックチェリーです。
ブラックチェリーの木は高さ15~30mほどにもなるので、森の中で堂々とした雰囲気を漂わせています。
もともとチェリーはアメリカの原住民であったネイティヴ・アメリカンたちにとって家具などの加工用というよりは、食料としての実を重要視したり、樹皮を薬として活用したりと、生活に密着させていた樹であったようです。
その後は、その加工性の良さにより工芸細工に使用され、中でもその手触り感・艶の美しさからパイプ材として世界各国の愛好家から絶賛されている時代もありました。
アメリカの初代大統領であるジョージ・ワシントンの入れ歯にも使われたことがあるようです。
また、ローマに誕生したオーディトリアム音楽公園。
その中にあるヨーロッパ最大級のコンサートホールの内装を彩っているのがアメリカンブラックチェリーです。
設計はパリのポンピドゥーセンターや銀座メゾン・エルメスなどを手掛けた世界的な建築家レンゾ・ピアノ。
天井は優美で華麗な曲面でデザインされ、チェリーの光沢のある美しい色合いがホールを華やかに彩っています。
さらに、木片は燻製の時にチップとして使うと、まろやかな味に仕上げることができます。
木には直径1cm程の果実「アメリカンチェリー」が実り、赤から黒く熟し、食用になります。
この種は、日本のヤマザクラなどと同じくバラ科に属しています。
チェリーの属しているバラ科は約100属3000種を超える樹種が含まれています。
そのため、バラ科の植物はほぼ全世界に分布しており、サクラ属だけに限っても亜属や園芸品種が多く、多種多様な樹種がこの中に含まれています。
サクラ属に含まれるウメ、サクランボ、モモ、プラン、アンズなどの果物はさまざまな品種があり、これだけでもかなりの数に上ります。
家具材としてのチェリーの特徴 その1.滑らかな質感
チェリーはきめ細やかな繊維構造を持っているため、質感がとても滑らかです。
アームチェアにチェリーを使うことで、手のひらでその質感に直接触れ、触り心地の良さを楽しむことができます。
長時間座っているためにはこの質感の良さは非常に重要です。
家具材としてのチェリーの特徴 その2.美しい経年変化
無着色でつくる無垢材家具は時間の経過とともに色味が変化します。
チェリーの場合は当初の薄桃色から3~5年ほどで濃い赤褐色になり、色の深みが増していきます。
その変化がとても分かりやすい材といえます。
このチェリー特有の経年美化が味わいとなり、チェアやスツールといった長期にわたって使用することも多いものを長く愛用できる要因の一つになっています。
家具材としてのチェリーの特徴 その3.可愛らしいキャラクターマーク
木材にはしばしばキャラクターマークと呼ばれる、立木だった際の環境がわかる痕跡が入ります。
チェリーの場合、有名なものはいわゆる「樹液だまり」。
チェリーは樹液が豊富な木で、しかも美味なので、様々な生き物がチェリーの樹液を目当てに集まってきます。
生き物が樹皮を傷つけ、樹液を染み出させるわけですが、このまま放置しておくと傷つけられた部分から菌が入り傷みが生じます。
そのため、樹液を硬質化し、傷口を塞ぐことで菌の侵入を防ぐのがチェリーの特性です。
これが成長過程で内部に取り込まれ、製材した際に黒い模様として現れるのが「樹液だまり」です。
ビスフレック・ガムポケット等、樹液がたまった場所によって名称が異なります。
もうひとつ有名なのが「さざなみ紋(リップルマーク)」。
チェリーは成長中に雨風に煽られたり、雪の重みで夏場に成長した部分を抑え込まれたり、傾斜地に生息したことによって繊維が捻じれることがあります。
この繊維の捻じれが製材した際に出てくることで、波打っているような木目に見えることがあります。
これをさざなみ紋(リップルマーク)と呼びます。
経年変化により深みが出ることで浮き上がって見えたり、見る角度によって表情の変化が楽しめるので、人気の高い杢目です。
このようなキャラクターマークが入ると個性が生まれ、それが世界に一つだけのもの、として愛着にもつながります。
家具材としてのチェリーの特徴 その4.優れた強度と加工性
チェアやスツールに必要な要素は座り心地とデザイン性、そして強度です。
どれか一つが欠落するだけでも長く愛用することは難しくなるでしょう。
チェリーはいわゆる「広葉樹」に属します。
チェアは人の身体を支え、暮らしに必要な作業を支えるもの。
そこに必要なのは「強度があり傷がつきにくい」ことであり「揺れに強い」ことです。
広葉樹は強度があるので重量のあるものを支え、中身の組織の密度の濃さから揺れにも強いので、椅子のフレームに最適です。
世界中の名作椅子の素材は広葉樹であることがほとんどで、チェリーもそこに属します。
加工性にも優れているので、買い替えの原因となるぐらつきが出にくく、様々なデザインのチェアを作ることが可能になります。
様々なデザインを作ることができる、ということは座り心地の良いチェアを追求することも可能になるのです。
このような優れた特徴があることで、チェリーはチェアやスツールなどの、毎日見て触れる家具の材料として人気があります。
また、経年変化で生まれる赤みの強い、暖かで温もり感のある色調は住まいのアクセントにもバッチリです。
今後長く愛用することのできるチェアやスツールをお探しであればチェリー材のものを候補にしてみてはいかがでしょうか。
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