「通」が選ぶ一枚板天板とは?
2021.3.5
テーブルなどに使用する一枚板。
それらを選ぶ際に思い浮かぶ樹種というと、ウォールナット、ケヤキ、ナラ、トチ、クス…。
様々なものが思い浮かびます。
二つとして同じ木目のものはなく、1本1本生きてきた環境や年数が表情として現れます。
どの樹種をとっても、とても魅力的です。
誰しもが知っているメジャーな樹種を使用するのもひとつの良さではありますが、いわゆる「通」と呼ばれる人たちはまだ日本ではあまり知られていない、しかしながらとても良材である天板を選んでいます。
多くの人にまだ知られていない良材を選ぶことは、ダイヤの原石を手に入れたような喜びがある、という声も。
今回は「通」といわれる人たちが選ぶのはどのような一枚板があるのかお話していきましょう。
「通」が注目するのはアフリカの樹
アフリカといえば日本人である私たちは大草原のサバンナ、熱帯雨林、樹が生い茂り沢山の動物が暮らすジャングルと豊かな自然や太陽の光を想像します。
自然豊かなジャングルにはたくさんの巨木が生育しています。
一方でインフラの整備が遅れており、材を流通する道路はもちろん、内陸国の多くは自国の港を持てず、他国の港を借りるほかなく、貿易が遅れてしまっているのが現状です。
それゆえ今までは良い材があると知りながらも、なかなか内陸の奥地から他国へ出荷することができずにいました。
21世紀に入り、ようやく状況が整い始めたことでアフリカは今や資源国として世界中から注目されており、約10,000㎞離れた日本にもアフリカの大地ですくすく育った大きな樹が入ってくるようになりました。
アフリカは雨季と乾季に分かれており日本の四季とは大きく異なる環境で木が育ちます。
流通自体は整い始めたものの、これらを使って商品を開発するには長い年月と労力を要しました。
環境の違いからくる素材の特性を日本の四季に合わせたものにするための乾燥方法の研究や調整を繰り返し行い、ようやく家具材として世に出すことができるのです。
そこまで時間と手間をかけてでも多くの方に見てもらいたいほど、美しい木目を持つ木が多い「アフリカ材」。
では、はるばる遠いアフリカからやってきた木はどのようなものがあるのでしょうか。
煌めく杢目が見る人を魅了するサペリ
サペリはコンゴ・ウガンダ・コートジボワールなど赤道付近の熱帯雨林地域に生育しています。
樹高もおおよそ40メートル、大きいものでは60メートルにもなると言われており、熱帯雨林の中でも一際大きい木のひとつです。
同じセンダン科である日本のセンダンは5~15メートルであることからにサペリの大きさが分かります。
太さもおおよそ1~1.5メートルあり、これだけ大きな樹を支えるにはしっかりと根を張ることが必要です。
そんな雄大な樹であるサペリの木目は製材すると縮み杢やリボン杢というとても魅力的で美しい木目が現れます。
この杢は順目と逆目が交互に縦模様になり現れる現象でストライプの濃淡が見る角度により煌めき、なんとも美しい木目で人々を魅了するのです。
この木目は同じ場所を見ながらテーブルをゆっくり一周すると波をうつようにキラキラと濃淡が変わって見えます。
例えば毎日同じ場所に座っているとしても、朝窓の光によって自然光で照らされる表情と夜照明が上から照らされた時の表情の変化を楽しむことができます。
まだ日本では知名度の高くないサペリですがこの魅力的な木目は高級家具の他、楽器などにも使用され、特にギターのフロントパネルやグランドピアノの内材にも使われています。
楽器を演奏される方はご存知の方も多く、そんなところも通好みと言われる所以ではないでしょうか。
楽器をお持ちでしたらぜひ調べてみてください。
サペリは意外と身近にいるかもしれません。
繊細な木目と光沢の美しいボセ
北米のアメリカンブラックチェリーと似た色を持つことから別名「アフリカンブラックチェリー」と呼ばれることもあるボセ。
製材時は淡い桃色をしていますが、経年変化で茶褐色に変化していきます。
経年変化もアメリカンブラックチェリーと同じような色合いをたどりますが、実はチェリーはバラ科、ボセはサペリと同じセンダン科と色合いは近いものの、全く異なる木なのです。
木目でいうとアメリカンブラックチェリーは比較的小径木であり、繊細なやさしい木目が特徴ですが、ボセは大径木ならではの力強いダイナミックな木目を持っています。
ボセという名前はフランス語で瘤(こぶ)という意味です。
熱帯雨林の過酷な環境の中で時に細菌に感染しながらもしっかり根を生やし生き抜いてきたボセ。
家具材として使用する私たちにも多くの力を与えてくれるようです。
また、その意匠性が高く、美しい木目は芸術家にも愛され現代彫刻家のバーバラ・ヘップワースはその美しい木目を彫刻の作品に使用し6つの作品を残しています。
日本でも、その貴重な作品の一部が箱根彫刻の森美術館や和歌山県立近代美術館で観ることができます。
芸術作品としても数多くの人を魅了する木目、これも通好みであると言えますね。
そのような木目を自宅で毎日味わえるのは、毎日名高い美術品を愛でるのと同じくらい価値があると言えるのではないでしょうか。
深みのある色合いが見る人を引き付けるブビンガ
ブビンガは「世界で最も太くなる樹」と言われており、直径2~3メートル、樹高は20~30メートルになる、まさにアフリカにおける木の王者のような存在です。
水分の多い土地で育ち、現地ではその雄大な立ち姿から「神の宿る樹」として崇められています。
日本で身近なところでは、和太鼓の胴面に使用するものとして出会うことができます。
中でも明治神宮の直径1.5メートル、府中市の大国魂神社の直径2.45メートルの大太鼓が有名です。
色合いは深みのある紫かかった赤褐色でその深い色合いの美しさからギターやスピーカーナイフの柄など小物などにも幅広く使用されています。
ダイナミックな立木と裏腹に葡萄杢など華やかな木目が現れ、複雑な木理は見るものを飽きさせず、経年変化の味わいとともに深みが増し、ますます魅力的な表情を見せてくれるブビンガ。
自然の生み出した、まさに神様からのギフトであるこの美しい木目を楽しむことができるのは一枚板テーブルの醍醐味であると言えます。
通をも魅了する美しい木目だけでなく語りどころも多いブビンガ。
ゲストを呼んだ際にもその美しさから来る話も尽きないことでしょう。
アフリカ材は雨季と乾季、強い日差しなどの過酷な環境を耐え抜くなかで、灼熱の大地にしっかりと根を下ろして生き抜いてきた強さがあります。
同時にその木目からは力強さと、個性が混ざった独特の美しさを感じることもできます。
通を魅了する一枚板の数々。
家具蔵各店にてご覧いただけます。
希少な一枚板テーブルをぜひ一度ご覧ください。
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