一枚板天板の「素材」の選び方とは
2021.3.12
テーブルに求められる素材の特性とは
数あるテーブルの中でも憧れの存在という人も多い、一枚板ダイニングテーブル。
一枚板とはいうまでもなく、巨大な1本の木から取り出される1枚の大きな板のことです。
樹齢200年から300年ほどの、その圧倒的な生命力と天然木の持つ独特の質感が感じられる一枚板の家具は、使うほどに味わい深い変化があり、その温もりは、家具を使う者に安心感を与えてくれます。
こうした一枚板は装飾品ではなく、あくまでも日常に使用する家具であり耐久性や使いやすさを求められる道具です。
その観点から、その一枚板天板が長年愛用できるもの足りうるか、というチェックポイントが3つあります。
・ダイニングテーブルとして使いやすいサイズであること。
・日常生活において強度や耐久性に優れている木材であること。
・木目(杢目)や色合い、手触りなど使う人の心を癒すことのできる木材であること。
この3つは当たり前のように思えるかもしれませんが、とても重要なことです。
では、この3つのチェックポイントを踏まえてどのような素材を選んだらよいのか。
今回は「広葉樹」と「針葉樹」という分類で解説していきます。
広葉樹と針葉樹
「広葉樹」と「針葉樹」。
皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
簡単に言えば、葉が広く平たいものが多い木は「広葉樹」で、先がとがり針のような細い葉をもつ木が「針葉樹」です。
その名の通り、「葉の形」に特徴的な違いがあります。
ただし、街路樹でよく見かけるイチョウのように、葉がとがっていないのに「針葉樹」という木もありますので、葉の形だけでの判断には注意が必要です。
樹形もまた、特徴的な違いがあります。
広葉樹の樹形は樹種によっての差もありますが、枝分かれして大きく樹冠を広げてゆきます。
葉が広い為、効率的に日を浴びられるように、幹を太くしていきながら太い枝を左右へと伸ばし成長していきます。
その為、成長はゆっくりで80年から150年程かけて家具が作れる太さとなっていきます。
樹形は全体的にこんもりと丸い形になります。
針葉樹は、上に向かって真っすぐ成長する性質があり、スッと太い幹が伸び、枝を広げます。
葉が細いことが多い為、雪や風などの自然環境の影響を受けづらく、陽光を求めて上へ、上へと成長が出来るのです。
成長も早く、40年から60年程で建築材料に使用できるほど成長します。
その為、樹形は円錐形になります。
このように、外見では「葉の形」と「樹形」に大きい違いがあるのです。
一枚板テーブルなら広葉樹を選ぶ理由は
先の項で
「広葉樹は0年から150年程かけて家具が作れる太さに」
「針葉樹は40年から60年程で建築材料に使用できる」
と記載してあることに「おや?」と思って人もいるでしょう。
何事にも「適正」は存在します。
この場合、家具材に向いているのは広葉樹野の方が断然有能といえます。
針葉樹の特徴のひとつに「柔らかく軽量」というものがありますが、ダイニングテーブルは毎日のあらゆる暮らしに必要な作業を支えるもの。
そこに必要なのは「強度があり傷がつきにくい」ことであり「揺れに強い」ことです。
広葉樹は強度があるので重量のあるものを収める可能性のある収納家具や長期に渡って使用することになり、そのなかで傷などがつく可能性も高い(つまり傷がつきにくいものが良い)ダイニングテーブルに向いているのです。
そして、中身の組織の密度の濃い広葉樹は揺れにも強いので、やはりテーブルへの適正があるのです。
広葉樹である「ウォールナット」「チーク」「マホガニー」が「世界三大銘木」と呼ばれているのはその美しい色味や木目の表情、加工性や剛性も勿論ですが、そうした理由もあります。
特徴を活かして適材適所に
「適材適所」という言葉を皆さんも使ったことがあると思います。
現代では、会社などの組織で適切な人材の配置を行なう際に使用されることも多いこの言葉。
この言葉は実は元々、建築現場で木の特徴を見定めて、昔の大工さんの木材の使い分けが語源となっていたのです。
土台には腐りにくく耐久性のあるヒノキやクリを。
内装の一部の柱には木目が美しく優しい肌合いのスギを。
また屋根や梁には強靭なマツを。
タンスに落葉広葉樹のキリ材が最適とされるのも同様です。
もちろん硬さや見た目だけでなく、断熱性能にも違いがあります。
断熱性能は空気の隙間である空隙が多いほど、その性能は良くなります。
そのため空隙の多い針葉樹のほうが、断熱性能に優れているものが多くみられます。
針葉樹のスギやヒノキを使った無垢フローリングは、冬も足元が冷えにくく、夏は素足で過ごしたくなるほど快適です。
一方で、人肌に触れる生活空間での内装材には、ゆらぎ感を与えてくれる杢理があり、硬くキズが付きにくい材料として広葉樹が主流といえます。
その面から床材にもウォールナットやチーク、メープルやオークといった広葉樹材を使用することが増えてきました。
一枚板テーブルは「暮らしのパートナー」
日々目に触れ、触り、実際に様々な作業の場となる一枚板テーブル。
そこではたくさんのことが起こり、その過程で生まれる表情もあるでしょう。
それらの時間を共にすることは、まぎれもなく家族それぞれのパートナーであるといえます。
一枚板でダイニングテーブルを作るとなれば、高樹齢の原木から材を採ることになります。
一枚板ダイニングテーブルを選ぶ際は、知名度やイメージだけでなく、自分のライフスタイルや感性に合った樹種を探してみるのもひとつです。
そうしたことでより自身の暮らしへの親和性が生まれ、愛着も湧いてきます。
検討中の一枚板天板があって、その樹種の生まれ育ちを知りたい方は、ぜひスタッフにお声がけください。
この樹がどんな素材でどんな生き方をして来たのか、ご案内いたします。
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