オーダーキッチンの天板は何を選ぶか? その2
2021.7.27
前回はワークトップの素材の中でも『石』を中心とした素材、天然石・人造石・セラミック・人工大理石についてお伝えしました。
今回は、定番中の定番『ステンレス』について、そして少ないながらも個性的なキッチンとしての印象を決める『塗り』『メラミン化粧板』そして『タイル』のワークトップについてその特徴と、どんな人に向いているかという視点でお伝えしていきます。
ステンレス
システムキッチンが誕生してからこれまで、長年に渡り人気の絶えないステンレス。
ただ、その作りや仕上げのトレンドは時代と共に変わり、仕上げだけをみても当初のプレス成型されたエンボス加工のワークトップは今では少なくなり、厨房機器などで多く見かける『No.4』、スタイリッシュな印象
『ヘアライン』、更に高級感のある『鏡面仕上げ』、キズが目立ちにくく敢えてくすんだ表情を表現した『バイブレーション』など、同じ素材でもその表情は大きく変わります。
また、形状についてもセクショナルキッチンやシステムキッチンの初期のステンレスカウンターは、水返しと言って手前部分に少し立ち上がりがありましたが、最近ではシンプルなフラット形状が多かったり、エッジ
極力カーブをつけずにシャープに曲げていたり、中には表面材としてのステンレスではなく、無垢のステンレスをそのまま厚みを魅せるデザインとして取り入れたりと、ただ一口に『ステンレス』と言ってもその意匠性は多岐に渡ります。
その仕上げにもよりますが、価格を抑えながらも耐久性・耐水性・耐熱性に優れていることは大きな特徴です。
一方で気を付けなければいけないことはL字・コの字型などのキッチンの場合、エルボーの部分に溶接のラインが入ってしまうこと。
シンプルなアイランドキッチンやI型キッチンであれば問題ないですが、ワークトップの形状によっては意匠性が損なわれてしまいます。
コストパフォーマンスを求める場合や、毎日使う場所だから細かい事を気にせずに使いたいという方にはステンレスがオススメです。
塗り
キッチンがLDKの中心になる中、アースカラーでのコーディネートやインダストリアルなインテリアを好む方も増えています。
無機質な印象の空間では床・壁とシームレスにつながるキッチンは建築と一体化し、広々とした印象とインパクトを与えてくれます。
モルタルで仕上げた床や壁はいわゆる「クール」な空間となります。
キッチンのサイドやワークトップもそうした建築の一部として同材で仕上げることがありますが、水を使うキッチンにおいては防水コーティングなどを施す必要があります。
また、使ううちにクラックが入ることもあり、長期使用するなかではメンテナンスの必要性があります。
そこで最近注目されているのがモルタル系の左官素材でも樹脂を含んだもの。
モールテックス・アートテックス・コンティニューオ・デコリエなど、メーカーはいくつかありますが、特徴としては樹脂を含むことで厚みが1~3ミリ程度と薄く仕上げることができるため、平面に限らず曲面や複数の面にも対応でき、床・壁・造作家具などシームレスに同素材で仕上げることができます。
外装材としても使える素材のため、水を使うキッチンのカウンターにも使うことが可能。
モノトーン系の配色だけでなくカラー調整が出来るのも魅力のひとつです。
インテリアのテイストとして、インダストリアルな空間が好きな方や、落ち着いたトーンの空間にしたい方、人とは違う素材でキッチンを作りたいという方に向いている素材です。
メラミン化粧板
カラー・和柄・木目調・金属調・石目調・レザー調など、プリント柄をメラミン樹脂の基材に貼って、上からコーティングを施したもので、そのバリエーションの豊富さから店舗の什器や家具まで幅広く使われている素材です。
最近ではコーティング部分にエンボス加工をして、さらにその質感にまでこだわったものもあり、木目調のものでいうと、写真だけでは突板と見分けがつかないくらいに洗練されています。
メラミン樹脂は固いため、もちろんキッチンのカウンター素材としても用いられています。
ただ、エッジ部分(カウンターの厚み部分)も同じ化粧板を貼る場合にはどうしても素材の厚み1ミリ前後木口が見えるため、遠目ではリアルな素材に見えても近づいてみると『貼っている』というのは分かります。
また、キッチンの場合、シンクとのジョイント部分が綺麗に収まるかどうかという部分も気をつけて選びたいポイント。
上から被せるオーバーシンクであればよいですが、そのタイプは限られてきます。
アンダーシンクの場合はカウンターとの接着がどうなるかで、見た目だけでなくお手入れのしやすさも変わります。
価格としては比較的他の素材よりも抑えることができるので、コストは抑えたいけれども色や柄にこだわりたいという場合には良いでしょう。
メラミン化粧板のワークトップに特化したキッチンメーカーなどもあるので、どれを頼むかというよりどこに頼むかも気にしながら選ぶと良いでしょう。
タイル
ずばり個性的なキッチンを目指すならタイルが一番オリジナリティを発揮できるでしょう。
色・柄・艶・サイズ、そして貼り方によっても大きく表情を変えるタイルはユニークなものも多く、誰も見た事のないオリジナル天板として印象的なキッチンに仕上がります。
小さいタイルを組み合わせればカジュアルな印象に、大判のタイルは広々とした大きなキッチンに向いています。
ただ、日々のお手入れは少し気を使うかもしれません。
乱雑に扱ってしまうとタイルが割れてしまうこともあり、またタイルは生産が継続的なものが少ない為、一部だけ交換をしようと思っても同じモノが手に入らないことが多いのが難点です。
またタイルには目地が入りますが、目地についた汚れは落としにくいのが一番の困り事。
タイルの色などにもよりますが、いまは目地材の色もたくさんあるので汚れが目立ちにくい色を選ぶなど工夫が必要です。
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