無垢材テーブルは「染み」ができやすいのか
2022.4.8
目次
テーブルに生じた染みは気になる?
長い期間検討を重ね、ようやく届いた無垢材家具。
汚れや傷などが付いたとしてもそれが「味」になる、そしてそれを修復することもできるものである、とはいってもやはり最初に生じた傷みを見つけたときはショックを受けるという人は多いでしょう。
特にテーブルは「面」で見える部分が大きく、目にも留まりやすいので、染みなどが発生するとやはり気になる、という人もまた少なくないはずです。
無垢材テーブルの水染みの発生は仕上げ塗装次第
無垢材テーブルを検討しているお客様からよく頂く質問に「水染みができませんか?」というものがあります。
結論から言えば「仕上げ塗装次第」であり、どういった塗装を選択するかで染みや汚れの付着の有無や程度が異なります。
現実的にはあまり例はありませんが、無垢材の表面に何も手を加えずに製作した家具があるとします。
そのようなものは水分が付着すると表面や内部に染みこみ、乾いた後もその跡(=染み)が残ってしまうことがあります。
しかし家具を製作する際には、木の表面に何も施さない、ということはほぼありません。
塗装にはいくつかの種類がありますが、家具を製作する際には表面に適切な塗装を施し、家具の寿命や耐久性を高め、日常での使い勝手が良くなるようにするのが普通です。
無垢材には仕上げ塗装が必須
無垢材をはじめとする木材には、その用途が例えば建具材などであっても塗装は行います。
自然から切り出した無垢材のようないわゆる自然素材であれば、塗装などせずに無塗装のまま使用する方が、質感も手触りも最も「自然」である、と思うかもしれません。
では、なぜ塗装を施すのでしょうか。
塗装は木材の「保護」という重要な役割を果たしています。
木材の表面は、まるでスポンジのような繊維構造になっていて、液体の吸収率は非常に高いものとなっています。
その為、液体が付着するとすぐに木材繊維の奥深くまで浸透してしまい、結果的に染み汚れになるという仕組みです。
もし、無塗装の無垢材家具の上にワインやコーヒーを零したとしたら、それがそのまま染みとなります。
また、日々の生活で生じる黒ずみや汚れも付着しやすくなるでしょう。
家具は頻繁に買い替えるものではなく、住まいを彩るエレメントでもあります。
耐久性を高めつつ、美しさを可能な限り保持するために「塗装」が大きな役割を果たします。
無垢材家具を長く使用するために必要な仕上げ塗装
無垢材家具は、特に無着色で製作することでその良さが大きく向上します。
長く使用していくうちに変わっていく色合いは、そのまま風合いを高めるものとなり、愛着を呼び起こしてくれます。
つまりある程度の期間使用することでその良さを最大限に引き出せるわけですが、そのための家具の「保護」に必要なのが仕上げ塗装なのです。
その仕上げ塗装にもいくつかの種類があります。
代表的なものを2つお話ししていきましょう。
ウレタン塗装とは
「ウレタン塗装(ウレタンクリアフィニッシュ)」は、家具以外にはフローリング材などでも使われている、木材塗装の代表格とも言える塗装です。
ウレタン塗装は、ポリウレタン樹脂という成分を吹き付けて木の家具の表面に「膜」を作ることで木材を保護します。
いわばコーティングされている状態であり、水分に強いので、水染みなどにはめっぽう強い塗装です。
後述するオイル塗装のような自身でのメンテナンス作業も不要であり、水拭き(お湯拭き含)も問題なく行うことができます。
一般のダイニングテーブルと同じように使用することができることは食べこぼしを心配したり、普段の手入れへのハードルの高さで無垢材テーブルや無垢材家具の購入について二の足を踏んでいる人には非常に安心材料も多い塗装と言えるでしょう。
オイル塗装とは
「オイル塗装(オイルフィニッシュ)」は木の「自然な風合い」を活かしたい人にお勧めの塗装であり、家具メーカーによっては(企業や工房の規模の違いもあって)オイル塗装のみ対応可能という場合もあります。
植物性のオイル(油)を木の表面に塗りこむことで内部に浸透させ、オイルが内部で固まることで塗膜の代わりになる塗装であり、いわば内部から保湿を行っている状態とするものです。
表面に塗膜を張っていないことで、木の風合いや手触りをそのまま生かしたような仕上りになります。
オイル成分というのは基本的に揮発性なので、時間が経つうちに乾いてきて表面の質感も変わり、染み・汚れだけでなく割れや反りなどの変形の原因にもなります。
それを防ぐために年に一回はオイルを塗り足す作業を行うことで、家具の美しさも寿命も大きく変わります。
ウレタン、オイル、どちらの塗装を選ぶのが良いのか?
この塗装をどちらにするのかが今回のテーマとなる「無垢材ダイニングテーブルは染みができやすいのか」という部分の分岐点となります。
非常に大きな意味で述べてしまえば、ウレタン塗装は「染みができない(できにくい)」、「オイル塗装は染みができる(できやすい)」となります。
ただし、これはどちらの塗装を選ぶのが正解で、どちらかを選んでしまったら不正解、ということではありません。
仮に染みが付いてしまっても、オイル塗装のものは自分でサンドペーパーなどを使って該当の箇所を削り、オイルをしみこませることで(多少のムラは生まれ、完璧にとまでいかないこともありますが)その染みは除去できます。
自分で手を入れることで愛着が湧く、という側面もあるでしょう。
また、ウレタン塗装も永久にその状態を保つことができるわけではありません。
長く使用していくうちに塗装の劣化が起こることもあり、また、傷などをオイル塗装のもののように自分で修復するのはかなり難易度が高いものとなります。
そのようなものは製作元などに預けて修繕を行うことでまた新品同様に生まれ変わらせて使用することができます。
つまり、どちらにも一長一短があり、そのどちらを選ぶかは何を優先するのか、という点が大きく関わってくるのです。
無垢材テーブルは塗装次第で「染みの付着しやすさ」が異なります。
私ども家具蔵でも、家具製作の際には「ウレタン」「オイル」両方をお選びいただけるようにしており、そのどちらにおいても安全性の高い塗料を使用しています。
工場直営のスタイルですので、長年使用した後にお預かりしての再塗装を含めたメンテンナンスの体制も万全です。
それをふまえて、各店でもお客様の暮らしや希望をしっかりとお伺いしながらその人や場所にとって最適な家具塗装をお勧めしています。
実際の材料・塗装例を交えながら、お客様の暮らしのスタイルに合った塗装を、詳しくご説明させていただきます。
無垢材テーブルを検討しているが普段の手入れに対して不安がある、そのような場合はお気軽にご相談ください。
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