街で見る木で無垢材家具をもっと身近に
2022.4.13
目次
街を歩けばたくさんの木を見かけることができる
緑が年々少なくなってきていると言われて久しいですが、街を歩けば、歩道・公園・建物の庭など、至る所で「木」を見ることができます。
都市部では明治神宮の森などを除いて、自生しているものが少ないのは事実ですが、気を付けて見てみるとじつに多くの種類の木を目にすることができます。
花や葉が季節の代名詞となり、人々の情緒を満たしてくれるものも少なくありません。
桜や梅は、その開花が春を告げる代名詞ですし、秋口にどんぐりやイチョウの葉を拾って集めたというような記憶は誰しもにあることでしょう。
木から作られるものに支えられる私たちの暮らし
私たちの暮らしは実に多くの場面で「木から作られたもの」に支えられています。
言うまでもなく、住まいは木の柱などで支えられていることも多く、普段使用する紙も元をたどればユーカリやアカシア、マツ、スギ、ヒノキといった木から生まれています。
「家具」も木から作られるもの、と聞いて思い浮かべるものの代表格と言って良いでしょう。
「無垢材家具」と「木質系加工材料」
木の家具には大きく分けて2つの種類があります。
それは「無垢材家具」と「木質系加工材料(を使用した家具)」です。
この両者、どちらも同じ「木の家具」であることに変わりはありません。
しかし、その材料の採り方はまるで異なり、結果としてその違いは質感や耐久性などになって現れます。
無垢材家具の特徴
無垢材とは、原木から切り出したままの自然な状態の木材をさしたものです。
厚みがある板材となるので、ある意味で「木そのもの」と言えます。
それを使用して製作した家具は「無垢材家具」とカテゴライズされ、いわば「本物の木の家具」と呼べるものです。
無着色で製作したものであれば、色合いも時間とともに風合いを増し、キズなども(そもそもそれも味わいとなりますが)修復することが可能です。
特に広葉樹(簡単に言うと幅広の葉が生える木)はその性質から揺れや荷重に強く、椅子やテーブル、ソファ、ベッド、収納などあらゆる家具に対して適合するものです。
耐久性なども折り紙付きで、非常に長い期間使用することができるものとなります。
私ども家具蔵でも、ケヤキ・アメリカンブラックウォールナット・アメリカンブラックチェリー・ナラ・メープル・タモ・ホワイトアッシュを基本的に選択できる樹種としてレギュラー展開しており、他にも常時30種以上の樹種を国内外から取り寄せ、無垢材家具をご案内しています。
木質系加工材料の特徴
無垢材は材料にするまでの乾燥や加工などにも時間と手間が掛かり、扱うことのできる職人も限られます。
一方「木質系加工材料」を使用した家具は安価なコストで同じものを大量に生産することが可能です。
そのようなことから、一般の家具量販店やホームセンターといった場所で見ることができる家具は圧倒的に後者が多くなります。
代表的なものにベニヤ=木材から薄く剥かれた単板を積層した「合板」があり、その表面に化粧シートや突板を圧着し加工した工業製品を総称したものは「木質系加工材料」と呼んでいます。
低価格ですぐに手に入る手軽さは魅力ですが、貼り付けている部分が剥がれてきたり、キズになった部分から中身の部分がむき出しになって見えることで、次第に「古さ」を感じてしまうことや、そもそもの耐久性という点で疑問符が付くものもあることは否めません。
無垢材家具は普段の暮らしと自然をリンクさせることができる
無垢材家具であっても、木質系加工材料のものであっても、元が地面から伸びている木から生まれたことに変わりはありません。
しかし、木質系加工材料の家具はシートや着色料の名前から「〇〇色」と呼ばれることはあっても、その部材がどんな木から生まれたのは殆ど知ることはなく、そこに「街で見かけるあの木」というシンパシーは感じにくいものです。
無垢材家具はその木の一部分をそのまま使用しますので、テーブルであれば「チェリーの無垢材テーブル」、チェアであれば「ウォールナットの無垢材チェア」というように、どのような木から生まれた家具かが一目でわかります。
そのことで、普段の暮らしで使用している家具と街で見かける木との共通点を発見し、豊かな気持ちも生まれるのではないでしょうか。
ケヤキの木と家具や暮らしの親和性
例えば、住まいの大黒柱などでもよく見かけるケヤキは街路樹や寺社仏閣の御神木としても有名です。
家具蔵表参道店の近くにもイルミネーションで有名なケヤキ並木があります。
他にも全国各地でケヤキ並木を楽しむことができます。
家具として有名なのはやはり何と言っても一枚板テーブル。
国産の木はいわゆる「白木」が多い中、赤味があり、はっきりとした木目で迫力のある表情を楽しむことができます。
またテーブル以外で有名な用途としては「和太鼓」が挙げられます。
和太鼓の場合、テーブルとは異なり、「刳りもの」といい丸太を板にせず、刳り抜いて製作されます。
最近では、和太鼓に使える様な太いケヤキがなかなか採れなくなってきているため、海外産の木を使用して和太鼓を製作している例もあり、この様な事情からも一枚板の希少性がわかります。
「ドングリの木」ナラの木は住まいの近くでも親しみを覚えやすい
公園などでよく見かける光景のひとつに、小さな子供がドングリを拾って保護者の人に見せている微笑ましい光景があります。
このドングリは、ブナやカシワ、クヌギといった木のほかに「ナラ」の木からも生まれるものです。
このナラ材を使用した家具は、「虎班(とらふ)」という著名な建築家であるフランク・ロイド・ライトも愛した独特の杢を持ち、その主張が少ない木目や色目と相まって、どんな内装やインテリアにもマッチします。
海外で採れるオークと並んで、空間に素朴ではナチュラルな雰囲気をもたらしてくれます。
家具材の他に有名な用途としてはウイスキーの熟成樽が挙げられます。
ナラ材はタンニンやポリフェノールなどの独特の香味を作るために適しており、また年輪に対して直行する「放射組織」が他の樹種よりも発達しているため、密度が高く繊維の目が細かいので漏れにくく、保存にも強い事から樽として使用されてきたのです。
街を歩き、その木が自分の使用している家具と同じものであった時、そこには親しみや、あるいはさらに色々なことを知りたくなるような気持ちもわいてきます。
普段使用している家具が、インテリア性だけでなく、どのような葉を持ち、どのような育ち方をするのかなど、その木についての知識が増えるとまた家具にも愛着が湧くものです。
公園やマンションに生えている木には一つ一つに名札が付いているものも少なくありません。
自宅の家具材と、いつも通るあの道に立っている木の共通点。
探してみると面白いかもしれません…。
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