ウォールナット材の家具は何故「高級」とされるのか
2022.5.28
目次
ウォールナット材は高級木材の代名詞
数ある「銘木」と称されるもののなかでも「ウォールナット(アメリカンブラックウォールナット)」は世界三大銘木と称される(他はチークとマホガニー)程の人気と知名度を誇ります。
このウォールナットを使用する材料、つまりウォールナット材は家具材として、または床材などの内装材としても非常に有名で人気の高い木材です。
「重厚」「落ち着きのある」「気品にあふれた」
そんな言葉で形容されることも多いウォールナット材は総じてラグジュアリーな雰囲気、つまり「高級」という印象があります。
そのとおり、ウォールナット材は高級木材の代名詞であり、それは世界三大銘木と称されることからも明らかです。
ウォールナットの特徴
ウォールナット(アメリカンブラックウォールナット)はアメリカの北東部(北名東海岸北部から五大湖周辺)で主に育ち、クルミ科の落葉広葉樹に分類されます。
日本にもクルミ材と呼ばれているものがありますが、それとは異なりウォールナットとはアメリカンブラックウォールナットを指すことがほとんどです。
名前にブラックという名が入る由来は、材も樹皮も暗色で深い溝があるためだと言われています。
特徴としては、加工性や接着性に優れており、衝撃にも強く家具材にとても適しています。
家具以外にも、工芸品や楽器、アメリカ大統領の指揮台やミラノ大聖堂などに使用されており、世界的にも有名で人気の高い木材です。
歴史から見るウォールナット材の高級性
ウォールナット材が有史において、その存在感を高めたのは17世紀後半のヨーロッパにさかのぼります。
言うまでも無く現代は21世紀。
およそ300年も前から「高級」という印象が変わらないことにも驚きますが、それもウォールナット材の持つ数々の特徴ゆえでしょう。
家具作りにおいてウォールナット材が隆盛を誇るまではオーク材を用いて家具を製作することが主流でした。
このウォールナット材はいわゆる富裕層に好まれることによって認知度が高まってきたのですが、そのきっかけはウォールナット材の持つ美しい木目や優れた加工性によるものです。
その流れるような複雑で美しい木目と、精巧な造形を可能にする優れた加工性から生まれる装飾は当時の人々にも高貴な印象を与えます。
いわゆる猫脚(カブリオールレッグ)と呼ばれるような代表的なデザインはこの頃生まれ、家具史では、この時代を「ウォールナット時代」と呼ぶほどです。
「富の象徴」とまで言われ、かのイングランド王チャールズ2世もウォールナットでつくられた家具をこよなく愛したとも言われます。
時代は移ってもその高級性は変わることなく、今も残る歴史的な建造物でウォールナット材を使用したものを目にすることができます。
著名デザイナーが愛し使用したことも高級性の理由
ウォールナット材が高級であり、人気がある理由はその歴史に基づいたものであることは確かです。
一方でその加工性の良さが多くのデザイナーに愛されてきたことも人気の理由のひとつでしょう。
世界的に有名な建築家やデザイナーが残した名作と呼ばれる家具、特にチェアは多々あります。
無垢材で製作されたものも多いのですが、そういったものは広葉樹材であることが殆どです。
チェアは人の身体と暮らしに必要な作業を支えるものであり、揺れに強く耐久性に優れることが重要です。
中身の組織の密度の濃い広葉樹材は揺れに強く、高い強度を誇ります。
チェアのフレームには最適なのです。
まして狂いが少なく、固さがありながら加工性に優れ、複雑な造形を可能にするウォールナット材であればそのデザイナーが求めるデザインを強度と両立させたうえで成立させることができます。
そして名作と呼ばれるチェアや家具はその知名度も相まって価格も上がり、それ自体が高級品となっていきます。
ウォールナット材が高級材と呼ばれる理由の一端です。
世界三大銘木のなかでは比較的目にしやすい
また、世界三大銘木と称されるもののなかでは比較的安定して供給されている点も人気の理由でしょう。
世界三大銘木のうち、チークとマホガニーは流通自体が非常に少ないものとなっています。
チークは家具材や内装材以外にも古くから豪華客船や高級列車の内装などでも使われてきました。
防水性や防虫性にも優れ、豪華客船の甲板にも使用されてきた歴史があります。
現在では多くの地域で伐採そのものが禁止されて流通が激減し、入手は容易ではありません。
またマホガニーですが、一般的にマホガニーと呼ばれている樹種は正式名称をホンジュラスマホガニーと呼びます。
その名のとおり、中米の小国ホンジュラスを中心に分布していますが、現在はワシントン条約で伐採禁止となっています。
つまり、新しいものはこちらも手に入りにくいのです。
一方、アメリカンブラックウォールナットは流通する個体数には限りがあるものの、一定量は安定的な供給が続いています。
それはアメリカ広葉樹輸出協会(AHEC)の計画的な植林と伐採、そして流通の管理によるものです。
ウッドショックと呼ばれる一連の木材価格の高騰などもありますが、そのおかげで高級材としての認識も確立されているなかでは我々の目にも比較的触れやすいものとなっているのです。
ウォールナット材に限らず、広葉樹というものは基本的にその成長が非常にゆっくりで、家具材として使用できるような大木に成長するまで数十年~百年単位の時間を要します。
加えて、全ての部分を使用できるわけではなく、一本の木から採れる材の量にも限りがあります。
これはウォールナット材に限らず、すべての広葉樹材に言えることであり、そのどれもが希少です。
ウォールナット材は重厚で高級感があり、上品なイメージを与えてくれます。
その高級感もさることながら、他の樹種にもそれぞれに素晴らしい魅力があります。
私ども家具蔵では常時8樹種、一枚板などの一点物を含めれば30以上の樹種で天板や家具を展示しています。
ウォールナット材のものも含め、その魅力を余すことなくお伝えしますので、お気軽にお問い合わせください。
家具蔵の無垢材ウォールナット家具のある暮らしの事例はこちらから
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