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なぜチェリー材の一枚板は数が少ないのか?

2022.7.29

 

ほとんど目にすることのないチェリー材の一枚板天板


 

人気の一枚板天板には数多の樹種があり、そのどれも素晴らしい魅力を持っています。

そのなかでも特に引き合いの高い樹種、あるいは専門店に問い合わせの多い樹種というものも存在します。

チェリー材はそのような樹種の一つなのですが、数量そのものが圧倒的に少なく、特にダイニングテーブルに使用できるような幅150センチ以上のものというのはほとんど目にすることがありません。

 

一枚板天板とは


 

 

一枚板(天板)とは分かりやすく説明すると、原木を縦方向にスライスすることで一枚の板になったものの総称です。

この状態ではまだ天板として使用することはできず、これを乾燥させ、養生を行い、仕上げ塗装を行うこと主にテーブル、あるいはカウンターなどとして使われるものです。

同じものは2枚となく、それぞれが唯一無二の表情と個性を持ったものであり、例えば一枚板テーブルは「世界に一つだけ」のものとなります。

木の成長過程で生まれた表情は「杢」として装飾性と希少性をもって語られ、人の手では再現することが難しい独特の波打つような形状は空間に独自の存在感を生み出します。

何十年、何百年と自然の中で育まれてきたデザインこそが一枚板天板の価値といえます、

通常、原木の太さがそのまま天板の「奥行」となります。

原木の太さはそのまま木の樹齢ともなり、高樹齢のものでないと奥行きが広い天板にはなりません。

そして、そのようなものほど価値が上がり稀少となります。

 

チェリー材の特徴


 

 

チェリーとはあくまでも呼称で、正式名称は「アメリカンブラックチェリー」といいます。

諸説ありますが、名が表すとおり、樹皮が黒々としていることからブラックチェリーと呼ばれるようになったと言われています。

産地は主に北米東部の全域、いわゆるサクラの木ですが、同地域には存在する約30品種のサクラ類があるなかでアメリカンブラックチェリーは、特に圧倒的な人気を誇ります。

アメリカンブラックチェリーから採れるいわゆる「チェリー材」が高級家具の材料としてよく使われる理由は、見た目の美しさとなめらかな手触りという特徴にあります。

またその大きな魅力に経年変化による色合いの変化があります。

時間が経つにつれてだんだん深みを帯びた濃い飴色に変化していくその様はまさに劇的で、それは人工的な塗料では出せない味わい深い色です。

 

チェリー材の一枚板天板が少ない理由


 

チェリー材の一枚板が全く世に出ない、というわけではありません。

しかし成長の速度が穏やかなチェリーという木では、ダイニングテーブルに丁度良いとされる奥行85センチから90センチの一枚板天板をなかなか確保できない現実があります。

つまり、幅広の板材が極めて確保しにくいのです。

さらに同じく高樹齢が必要となる長尺、つまり長さがあるものの確保も難しく、そのような要因がチェリー材の一枚板が非常に貴重と言われる所以でもあります。

 

共木(ともぎ)テーブルという選択肢


 

 

もちろん、一枚板だけが無垢材テーブルという訳ではありません。

無垢材テーブルの製作方法には様々なアプローチがあり、例えば私たちがよく目にする数cm~10cm程度の幅の板材を均等に接いでいったものもそのひとつです。

このようなテーブルは基本的に同じ樹種の板材を接ぎ合せていきますが、同じ木からパーツを採っていくわけではありません。

そのため、無着色で製作した際には色合いや木目には多少なりともギャップが出ます。

一方で「同じ木からパーツを採りテーブルを製作する」という手法も存在します。

それが「共木(ともぎ)」のテーブルです。

 

共木(ともぎ)テーブルの特徴と魅力


 

 

「共木(ともぎ)」とはどのようなものを指すのでしょうか。

共木とは、つまるところ「同じ木」という意味で、同じ木から採り出した材を接ぎ合せて製作するテーブルのことです。

共木のテーブルは同じ木からパーツを採るので同じような木目や色調、表情で揃えることができ、接ぎ合せの跡もほとんどわかりません。

そのうえで一枚板天板と同じように木の側面の自然形状を残したものとすれば、一見一枚板と見間違うようなものともなりえます。

共木づくりの無垢材テーブルで、もっとも有名な接ぎ合わせ手法が「ブックマッチ」という二枚合わせで製作するものです。

これは、一本の原木から製材された隣り合う上下二枚の板を表と裏、互い違いに接ぎ合せた天板のことを指します。

その名のごとく、本を開いたようなイメージで木目と樹形が美しい左右対称のデザインとなります。

それ以外にも接ぎ合せの枚数にはバリエーションがありますが、一枚板天板と同じく基本的には一本の木から一枚製作できるかできないかという希少な天板であり、そのうえで純粋な一枚板天板よりは確実に探しやすいものとなります。

私ども家具蔵でも「テーブルヴィンテージ」の名前でこうした共木テーブルを数多く展開しており、チェリー材の共木テーブルも多くのお客様に愛用頂いています。

一枚板を自然が生んだ奇跡の「芸術品」と呼ぶなら、こちらは木を良く知る職人が作り上げた驚異の「工芸品」とも言えるでしょう。

 

ボセ材という選択肢


 

 

また、あえて違う樹種に狙いを定めるという選択肢もあります。

その方法を採るなら現在、チェリーに勝るとも劣らない人気の樹種としてアフリカ大陸産の「ボセ」がおすすめです。

その魅力は何といっても美しく赤味を強く帯びた色あいで、別名「アフリカンチェリー」とも呼ばれます。

樹高が30~50メートルと非常に高く、太く成長することから、チェリーに比べ一枚板を比較的に取りやすいもの魅力のひとつです。

元来、ボセとはフランス語で「瘤(こぶ)」を意味する言葉で、材面には「瘤杢」と呼ばれる稀有な杢が見られることでも有名です。

ちなみにこの瘤杢があるボセ材は特に希少な材として、非常に人気の高いものとなるのです。

またこの「瘤杢」以外にも波状杢理も出るので、光の当たり具合で、立体的に見えるその模様は、多くの人を魅了する要因ともなっています。

高級家具として使われるだけでなく、楽器の材料として、または、船の内装材にも使われています。

アフリカの貿易網も拡大し、これまで入手困難であった材が、チェリー同様の価値付けをされ、人気の高まりを見せています。

 

チェリー材やボセ材の持つ「赤」という色は、ビタミンカラーとも呼ばれ、人々に活力を与えてくれる色調です。

その色合いや木目、表情に実際に見て、触れて、想像すると、テーブルへの見方がまたひとつ変わるかもしれません。

家具蔵各店でも、様々なチェリー材の無垢材テーブルを取り揃えております。

ぜひ一度ご覧ください。

 

チェリー材のさらに詳しい解説はこちらから

 

 

 

 


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