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無垢材家具製作には広葉樹が向いている理由とは

2022.9.5

 

 

家具蔵では広葉樹による家具作りを行っている


 

 

家具蔵にご来店されるお客様から時々、「杉やヒノキの家具は作ってないのですか?」と質問されることがあります。

木の分類で言うと、杉やヒノキは針葉樹なのですが、家具蔵では広葉樹による家具作りを行っています。

一言で広葉樹と言っても20万種に及ぶなかから家具作りに適した樹種を厳選し、皆様にご紹介している訳ですが、一方で木には杉やヒノキのように針葉樹という種類もあります。

組織や構造に大きな違いがあり、材料として語るなら、広葉樹は強度がありキズが付きにくい材料となります。

このことから、靴を履いたまま暮らす文化の欧米では、広葉樹は床材に重宝されてきました。

家具材に広葉樹が多いのも、このような特徴を活かしてのことです。

一方で針葉樹は柱や梁といった建築の構造材に多用されてきました。

縦にまっすぐな材を切り出しやすく、軽くて扱いやすいのがその理由です。

建築材料として重宝されてきた訳がわかります。

 

広葉樹は木炭の材料だった


 

 

考古学研究によると、日本においては新石器時代の頃から木炭が使用されてきたとされ、木炭にはクヌギ・ナラ・カシなどの広葉樹が用いられてきました。

針葉樹の場合は内部に空気を多く含む為、炭にした場合も着火は容易で火力も強くなりますが、燃え尽きるのが早かったため多く使われなかったという理由と、そもそも亜寒帯や高山帯に自生している針葉樹はあまり身近な薪炭材ではなかったという理由があるそうです。

ちなみに有名な備長炭はカシ系の堅い木を使用した白炭と呼ばれる炭で、長時間安定した火力が持続します。

バーベキューなどで良く使う木炭は黒炭と呼ばれ、ナラ系の木材が多く使われています。

日本人は古代から樹木と身近に暮らしてきましたが、建築用材としては針葉樹を多く利用し、広葉樹(特に主要なナラ材)は食糧もしくは燃料として使用することが多かったようです。

戦後の燃料革命により新たなエネルギーが生まれ、木炭の需要が大きく減った時期には、広葉樹を伐採し、針葉樹に植え替えられていったのです。

現在では全体の森林面積の半分以下まで広葉樹林は減ってしまっています。

 

針葉樹(人工林)の急速な増加


 

昭和20年~30年代、日本では戦後の復興などのために木材需要が急増しました。

しかし、戦争中の乱伐による森林の荒廃や自然災害等の理由で供給が十分に追いつかず、木材価格は高騰していました。

このため、政府は造林を急速に行なうため「拡大造林政策」を行いました。

「拡大造林」とは「おもに広葉樹からなる天然林を伐採した跡地や原野などを、針葉樹中心の人工林(育成林)に置き換えること」です。

伐採跡地への造林をはじめ、里山の雑木林や奥山の天然林などを伐採し、代わりにスギやヒノキ、カラマツ、アカマツなど、比較的成長が早く利用価値が高いとされていた針葉樹の人工林に置き換えました。

この造林ブームは国有林・私有林ともに全国的に広がり、わずか15~20年の間に現在の人工林の総面積約1000万haのうちの約400万haが造林されました。

 

家具蔵が広葉樹を使う理由


 

 

広葉樹は針葉樹に比べ気乾比重が大きく堅い為、耐久性が高く、日常使いに適しています。

家具は人の身体を支え、暮らしに必要な作業を支えるものです。

そこに必要なのは「強度があり傷がつきにくい」ことであり「揺れに強い」ことです。

広葉樹は強度があるので重量のあるものを収める可能性のある収納家具や長期に渡って使用することになり、そのなかで傷などがつく可能性も高い(つまり傷がつきにくいものが良い)ダイニングテーブルにも向いています。

そして、中身の組織の密度の濃い広葉樹は揺れにも強いので、ソファーや椅子のフレームに最適です。

世界中の名作椅子の素材は多くが広葉樹であること、そして広葉樹である「ウォールナット」「チーク」「マホガニー」が「世界三大銘木」と呼ばれているのはその美しい色味や木目の表情、加工性や剛性も勿論ですが、そのような理由もあるのです。

また、樹種によって材の色や木目が大きく異なる為、様々な表情や質感を楽しむことができます。

体重をかけたり動かしたりすることの多いのが家具というものです。

10年20年と使い続けるからこそ、強さと美しさを併せ持った個性豊かな広葉樹を私たちは使い続けているのです。

 

家具蔵で使っている材


 

 

家具蔵で(一枚板などのワンオフ品以外で)基本的に扱う広葉樹8樹種は、全て硬くて丈夫な広葉樹です。

北米産のアメリカンブラックウォールナットやアメリカンブラックチェリー、アフリカからやってきたサペリ、国内でもみることのできるケヤキなど世界中の家具材における銘木を取り揃えています。

その基本8樹種の他にも、無垢材チェストモデルノの引出内部材には、調湿効果に優れたキリ材を使い、収納する衣類などを守る役割を果たしています。

また、ベッドフレームのスノコには40ミリの厚さを誇るシナ材を使って体重を支える強度がありながら調湿効果も発揮しています。

「家具蔵では針葉樹材はまったく使ってないのか?」

と思われた人もいるでしょう。

基本的に家具蔵の家具材は広葉樹材ですが、実は針葉樹材もあるところで活躍しているのです。

そこはどこかといいますと、タタミベットの畳の中に隠れていました。

タタミベッドモデルノに使われている畳の内部材には、ヒノキのチップが使われています。

冬の寒さが厳しい岐阜県東濃地区で育ったヒノキは、育つのに時間がかかります。

その分、丈夫で精油も多くなることで、調湿・断熱・防虫・森林浴効果を発揮して快適な睡眠をサポートしてくれます。

 

こうして、先人たちの知恵や教えを受け継ぎ、職人たちの研究と工夫によって、木の特性を最大限に発揮した家具づくりが、今も家具蔵では行っています。

そのような家具の一つひとつ、色々な樹種のものを実際に手で触れてみるのはいかがでしょうか。

 

家具蔵の扱う樹種の詳細についてはこちらから

 

 

 

 

 


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