なぜ今「インテリアにこだわりたい」人が増えているのか
2022.9.24
目次
様々なかたちの「住まいへのこだわり」
住まいというものは基本的には日々の暮らしの中で一番長く過ごす場所であり、それぞれが世界でもっとも心が落ち着く私的な空間です。
そのような場所を自身の好みのテイストで整えることがいわゆる「住まいへのこだわり」でもあります。
注文住宅のように住まい全体を自分好みで誂えることは少々ハードルが高いとも言えますが、リノベーションなどで間取りや内装を整える、あるいは家具の配置や調度品を入れ替えて気分を変える…。
いわゆる「模様替え」といわれる行動だけでも、あるいはいつもの空間に何か一つ新しいものが加わるだけでも心が浮き立つような、そのような感覚を覚えた記憶がある人も多いことでしょう。
「自身が心地よい」が今のインテリアづくりの主流
行動の大小やコストの掛け方の違いはありますが、それらはすべて「インテリアにこだわる」ということでもあります。
こだわりの戸建住宅、趣味や嗜好が反映されたリノベーション住宅、あるいは一貫性をもって家具や雑貨を揃えた空間。そのように住空間そのものや、あるいはもっと気軽なレベルでインテリアに対してこだわる、こだわりたい、という人は確実に増えています
インテリアには様々なスタイルや流行があり、時代とともに変化し続けています。
そのなかでインテリアというものは今まではどちらかというと「他の人からどう見えるか」が、その選択の重要なポイントだったことは(皆が皆そうでないとしても)事実です。
例えば、知人を家に招いた際に「素敵」「センスがある」などと言われることに重きを置くような価値観が主流でした。
他者からの自分への評価という点では「SNS映え」などと同じような充実感を得るような感覚に近いかもしれません。
近年では他者の目線を意識するようなインテリアの作り方は主流ではありません。
家の中にいる時間が確実に長くなった昨今では、人の目がどうかよりも自身がいかに快適に暮らすことができるか、という点がインテリアづくりにおいて重要なポイントとなっており、そこには「自分が使って心地よい」「自身がそれを見ていて気持ちいい」つまり「居心地が良く快適」なインテリアづくりが支持を得ており、それがひいては他者の憧れを引き出すことにもなっています。
「そこに住む人の心を豊かにする」という本質的な部分を大事にする気持ちや実際の行動が増え、それが他の人にも影響を与えているのです。
「ヒュッゲ」に学ぶ暮らし方へのこだわりと取り入れ方
「ヒュッゲ」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。
「ヒュッゲ」とはデンマーク語ですが、適切な日本語に訳せる言葉はありません。
人それぞれで解釈のニュアンスは異なるようです。
「家族や友人が集まり、ゆっくりと時間を過ごすこと」
「空間のインテリアを整えて、心地良く、くつろげる場所にすること」
スローな時間を楽しんだり、そのための環境を整えたりすることも「ヒュッゲ」の一部です。
心地の良い空間でゆっくりと過ごすということに価値が見出されている今、例えば一杯のコーヒーなど、毎日のなにげない暮らしの中にも小さな幸福を見つけることに価値がある、という考え方は住まいづくりにも広がってきています。
そのような暮らし方への第一歩として、インテリアの見直しや家具の入れ替えや新規の購入を検討する人も増えています。
住まいの時間や家族の時間をより豊かに楽しみたい、という思いがインテリアへのこだわりをさらに高める要因になっています。
価値観やライフスタイルの変化
いわゆる高度成長期以降、日本人は長時間労働に代表される、仕事などへの拘束から、日々の暮らしに精神的なゆとりがない時代が長く続きました。
(それはある意味で正しい側面はあるにせよ)家族の時間よりも仕事を優先させることが家族を幸せにするというような価値観も強く広く一般的でした。
一方で、仕事以外に自己実現を求める人は年々増えています。
ワークライフバランスという言葉がごく当たり前のように聞かれるようになり、暮らしの充実の優先がこれからのライフスタイルのキーワードとなってきます。
働き方改革などで私たちを取り巻く環境も大きく変わってきています。
長きに渡り美徳とされた長時間労働や頻繁な休日出勤など、今では生活が仕事一辺倒になる弊害も声高に叫ばれるようになりました。
仕事とプライベートをバランスよく両立し「人間らしく生きる」こと。
人生においてかけがえのない「時間」をどう過ごすか。
自分や家族などの「自分暮らしの充実を重視する」という個人志向の高まりは顕著であります。
そのような価値観・ライフスタイルの変化も要因となりながら、住まいづくりやインテリアへの関心は高まっているのです。
「居心地の良さ」をどのように求めていくのか
現在のインテリアへのこだわりの高まりのキーワード。
それはずばり「居心地のよさ」です。
コロナウィルスの影響による、在宅勤務での外出自粛をはじめとした自宅にいる時間の増加は確実にその背景の一端ですが、そこで天然素材を使った家具や小物、観葉植物などで自然を身近に感じることのできる空間づくりを行う人は増えてきています。
家具に関しては「無垢材」を選ぶ人が増えています。
「無垢材」とは原木(丸太)から切り出したままの自然な状態の木材をさしたものです。
それを使用して製作した家具は「無垢材家具」とカテゴライズされます。
強度があり、使い込むことで味わいやぬくもりが増していきます。
最初は綺麗でも使い込むうちに劣化が進んでいくものとは異なり、長い期間、気持ちよく使い続けることができます。
また、このような素材だけではなく、モノの「つくり」にもこだわる人が増えています。
良質な素材、丁寧な手仕事で作られる家具には人を安心させるような力が宿ります。
住まいの空間の中でも、特にリビングダイニングは、一日の大半を過ごす空間として大きな役割を持っています。
このリビングダイニングは落ち着いて過ごせる空間であり、家族がゆっくりと過ごすことのできる空間にしたいものです。
いま「インテリアにこだわる」人たちが求めているものもまさにそれであり、それこそが家で過ごすことの本質でもあります。
私ども家具蔵各店では数多くの無垢材家具を展示しています。
ご来店されるお客様も、年々インテリアへのこだわりが非常に強くなってきていると感じます。
ただし、傾向としてはデザインを重視することは当然のことでありながら、使い勝手や普遍性に重きを置くような選び方をしている人も多い印象です。
例えば、椅子であれば第一に座り心地や長く座っていて疲れないかという部分を重視し、長く使用できるものか、という視点も重視されます。
いかに自分の暮らしを心地よく支えてくれ、気持ちよく過ごすことができるか。
ご自身や家族の望む過ごし方を叶えてくれる家具を選ぶこと、それが現代のインテリアづくりの答えのひとつです。
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