住まいを広く見せるコーディネートとは
2022.9.25
広々した住まい、というものには誰もが一度は憧れを持つものです。
とはいえ、ここ日本の住まい事情ではなかなか広々とした間取りの住宅を手にするのは難しいのも事実です。
限られた空間だとしても少しでも部屋を広々と見せたい…。
そんな人におすすめなのが家具の置き方や選び方など、インテリアを工夫して配置することです。
例えば部屋のどの部分に視線を集中させるかで、同じ部屋だとしても、空間を広々と感じさせることもできます。
そこで今回は部屋を広く見せる家具の選び方やコーディネートの方法をご紹介していきます。
「視線が抜ける」ように意識する
限られた空間をできる限り広く見せるには、そこにいる人の「視線」を意識することが大切です。
窓は当然ながら壁に付いています。
壁はつまるところ空間にとっての「行き止まり」ですが、その行き止まり部分に窓があるだけで壁の外が見えることで空間の奥行き感が広がります。
部屋に入った際に窓まで一気に視線が向く=障害物がない、あるいは目立たないとことを「視線が抜ける」と表現します。
そのことで、限られた空間でも解放感を感じることができるのです。
視線が抜けることを確保するためには、入口から入った際に視線の先に物をできる限り置かないことが理想であり、さすがにそれは難しいという場合には後述するように「高さを抑えた家具やインテリアをバランスよく配置する」ということがポイントになります。
また、窓方向に視線を向けるよう工夫をすることもひとつです。
「フォーカルポイント」をつくる
窓に視線が向けば空間を広く感じることができるのであれば、そのように誘導することもひとつのテクニックとなります。
建築・インテリア業界では部屋の中で視線が集中し、目を惹く場所を「フォーカルポイント」と呼んでおり、この場合窓の近くに背の高い観葉植物や間接照明などを置くことで高さを抑えた家具とのギャップも相まって、窓側に視線が抜ける=空間を広く感じることができるようになるのです。
あるいは窓でなくても、空間のコーナー部などにレイアウトされているような薪ストーブや飾り棚、和室であれば床の間などもフォーカルポイントとして利用できます。
目立たせたいものを部屋の入り口から一番遠い場所に置くことで、自然と部屋の奥に視線がいき、広さを感じることができるのです。
すぐに取り入れられるインテリア小物としては壁に絵や写真を飾ったりするなども効果的です。
ミラーを利用して空間を広く見せる
窓がない空間というものもあります。
あるいはガラスの材質やあくまで採光用にため外が見えない窓もあるでしょう。
窓がない空間は、いわゆる閉塞感を感じやすくなります。
そのような場合はミラー、つまり鏡を配置することで鏡の反対側の空間や外の景色が映りこみ、奥行感が出て空間を広く見せることができます。
姿見のような大きなものから、壁掛けや棚の上に置くようなそこまでサイズが大きくないものまであるので、邪魔にならないような場所にレイアウトするだけで勝手が違います。
天井や照明など光が映るように大きめサイズの鏡を置くことで部屋の奥行きが出るだけでなく明るい空間へと誘ってくれます。
寝室であれば身支度の用途も兼ねてデスクやチェストの上に配置するとバランスも良いでしょう。
ミラーだけでなく壁に絵画や写真、ファブリックなどをフレームに入れて飾ることも窓を増やすのと同じ効果があると言われています。
収納家具の奥行寸法を統一する
限られた間取りの中ではどうしても壁際に家具を配置せざるを得ない場合がほとんどです。
また、大抵の収納家具は基本的に壁に沿って配置することとなります。
住まいを広く見せるためには統一感も重要で、この場合はサイズの統一感、特に収納家具の「奥行」となります。
例えばテレビボードと横並びでチェストと本棚を置きたい場合。
それぞれ5㎝でも奥行が違うと凸凹感が目立ち、そこに視線がいきがちです。
視線が窓側やフォーカルポイントまで抜けずに足元に向くため、広く見えづらくなります。
収納家具を2台、3台と横並びにする配置を検討する場合は奥行を統一することで、より広々と住まいを感じることができます。
3台以上の収納であれば、天井までの高さがあるような「壁面収納」として1台にまとめてしまうのもひとつです。
高さを抑えた家具を揃えることは空間を広く見せるための王道であり、高さが出ることで圧迫感がでてしまうのでは、
と懸念するかもしれません。
ですが、奥行違いの収納を点在させるよりもこちらの方がすっきりと見せることができます。
背板を抜いたり、ガラス扉を多用するなどで「軽さ」を出す方法は多々あります。
実際に私ども家具蔵でも、納品後にお客様から家具自体はサイズが大きくなったはずなのに不思議と部屋が広く感じる、
という感想をいただくことも多く、特に収納不足が指摘されることの多いマンション住まいの人にはおすすめです。
高さを抑えた家具を選ぶ
そのうえで、やはり空間を広く見せ、視線を抜けさせるためには家具の高さを抑えておくことは重要です。
高さのある壁面収納を置くとしても、そのギャップで空間を広く見せることができます。
目線より上の高さの構造物には圧迫感を感じやすいものです。
ダイニングの入り口に立って空間を見渡した際に、肩甲骨の上あたりまであるような背もたれが高いダイニングチェアが並んでいるのと、ダイニングテーブルとさほど高さが変わらないような低い背もたれのダイニングチェアが並んでいるのとでは圧迫感がまるで変わってきます。
テーブルよりも極端に背もたれが高いチェアでは存在感がある意味で強すぎて、視線を奥へと誘導できません。
例えばラウンドバックチェアと言われるようなものであれば、背もたれもテーブルとほぼ同等の高さであることで圧迫感は感じにくいものとなるでしょう。
食事をしている際にも窓から外が見えれば部屋を広く感じることができます。
そのことから、ソファも背面部の高さを抑えたものがお勧めです。
例えば、身長170cmの人の視線の高さは、立った場合150cmくらい、椅子に座ると120cmくらいになります。
実際に背の低い家具を選ぶ場合はまず自分と家族の視線の高さを確認しておくと良いでしょう。
床に置くものを減らす
床や壁、天井の面積が多く見える程、空間を広々と感じる効果があります。
例えばソファの前に置くリビングテーブル。
ソファに合わせて購入したものの、意外と持て余してしまっているような人も多いものでもあります。
床に座って食事を行うようなわけではない、という場合、コーヒーや携帯電話など小さなものが置ければ十分な大きさのはずです。
コの字型のソファテーブルであれば、コップやリモコンなど最低限のものを置きつつ、ソファに差し込むようにレイアウトすることができるので更にコンパクトにすっきりと納まります。
また、空間全体で見てもリビングテーブルをなくすことで床面積が多く見え、その場を広々と感じることができます。
限られた空間でも工夫次第で広さを感じることは可能です。
今回ご案内した内容を活用して、開放感のある空間を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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