「マイチェア」はこの方法と順番で決める
2022.12.5
目次
間取りと暮らしの変遷
ダイニングスペースがもはや食事をするだけの場所ではなく、様々なことを行いながら長い時間を過ごす場所へと変化してきたことは周知のとおりです。
それはキッチンとダイニングスペース(食堂的な役割)、それとリビングスペース(居間的な役割)がそれぞれ独立した空間、あるいはダイニングキッチンとしてキッチンに狭小な食事スペースが付随していた時代から間取りの変遷があり、キッチン・ダイニング・リビングが「LDK」として一つながりの空間となったものが主流になったことに起因します。
例えばダイニングキッチンで食事をとる、その後にリビング(居間)に移動し、思い思いの時間を過ごすというのはひとつの定番的なスタイルでした。
そこ(ダイニングキッチン)に置かれる「ダイニングセット」はテーブルと椅子4脚の「5点セット」ともいわれました。
そもそもスペースに限りがあることが多かったことも原因ですがサイズは総じてそこまで大きなものではありません。
食事をとる、という目的を果たせればよいので空間に合っている家具を選べばよかったということです。
「自分仕様の椅子選び」は心地よく過ごすための必須事項
時代は変わり、キッチンは多くの家庭で対面式のものが主流となっています。
キッチンからダイニングスペースと一緒に繋がるリビングスペースまでも見渡せるような、逆に言えばダイニングやリビングからもキッチンで作業している様子が見えるようなコミュニケーション性の高い間取り、つまり「LDK」スタイルが多く見られるようになりました。
そこでは食事の後にソファがあればソファで寛ぐことも、そのままダイニングスペースで過ごすことも自由です。
最近ではあえてソファを置かずにテーブルを最大限に大きくして、座り心地の良い椅子で長く過ごすということも一般的になってきました。
リモートワークの定番化も椅子への着座時間が長くなったことに拍車をかけています。
「自分仕様の椅子選び」はもはや住まいで心地よく過ごすための必須事項にもなっているとさえ言えます。
「自分仕様の椅子選び」の基準は?
「自分仕様の椅子選び」とはどのようなものでしょうか。
端的に言えば「見た目を気に入っていて座り心地が良いと感じることができる」そして「長い時間着座していても疲れにくいもの」となります。
もちろん「自分仕様」ですから、その基準はまちまちです。
そのうえで重要なのは着座していて「快適か」という点になります。
「快適さ」は「楽な姿勢」があってこそ
屋内、屋外いずれにしても人が求めるのは「快適さ」です。
快適と感じる時間が長いほど、日々の満足感は高くなります。
家の中で過ごす時間が長くなるならその時間をどうやって快適に過ごすかは、日々を豊かにするためにはたいへん重要な要素となります。
家の中での暮らしを快適にする方法は様々です。
「快適」と感じることも人それぞれ異なります。
動画や映画をゆっくり観ること?
音楽を流し、コーヒーをゆっくりと嗜むこと?
こういった「快適で幸せに感じること」の満足感をさらに高めるのは、その時の「姿勢」ではないでしょうか。
例えば、好きな映画を観ていても直立して観ていては快適ではないでしょう。
立ちながらコーヒーを飲んでいても、どこかリラックスできずに逆に疲れを感じてしまうかもしれません。
「快適なこと」は「楽な姿勢」で過ごすことで、その意味を増すのです。
ダイニングチェアの種類と選び方
ダイニングチェアは大きく分けると「肘掛付き(アームチェア)」と「肘掛無し(アームレス)」に分けることができます。
デザインの好みを加味せず、どちらを選ぶかとなった場合は「その場所で長く過ごすか否か」を基準にしましょう。
アームチェアには肘掛けがありますから、そこに腕を置くことができます。
つまり、肘掛け無しのチェアより身体を預けるところが増えるわけです。
それによって、よりバランスの良い体圧の分散が可能になり、身体全体の負担も減少します。
つまり「疲れにくく」なることで、ゆったり長時間座って過ごすことができるようになります。
肘掛無しのイスはコンパクトで軽く、後方に大きくチェアを引かなくてもテーブルから出入りもよりスムーズに行うことが可能です。
立ったり座ったりが多い、ダイニングテーブルでは食事のみ、といった人はアームレスチェアの方が有益でしょう。
前述のようにダイニングで長く過ごすという傾向が強くなってきているので、肘掛が付いているアームチェアが選ばれるケースが増えています。
特にご年配の方は肘掛けがあることで立ち上がりも楽になります。
優先順位は座り心地→丈夫さ→デザイン
ダイニングチェアを選ぶときは、自分の体によりフィットするものを選べるよう、まずは様々な種類に座って選ぶのが定石です。
座面、腰、背中、肘掛けの高さなどを意識しながら自分の身体とのフィット感と過ごし方、過ごす時間も考えながら選んでいきます。
当然インテリアなので、デザインも重要なポイント。
ですが、チェアは究極的には「身体を預けるための道具」です。
優先順位は①座り心地→②丈夫さ→③デザインという順序が基本になってきます。
どんなにデザインが好みに合ったチェアでも、自身に合わなければ眺めるだけでオブジェのようになってしまいます。
また、チェアに座った際には踵が地面に着くかも確認しましょう。
踵が着かないと=足が床から離れていると、体圧分散のバランスが悪くなり疲れやすくなります。
もし、気に入ったチェアに座って踵が地面に着かない場合はチェアの脚をカットし、足裏が床にしっかり着くように調整します。
その際にはテーブルの高さとのバランスを測るのも忘れてはいけません。
私たち家具蔵でも、ご注文の際にはまずチェアの高さを決め、そこからテーブルの高さを逆算します。
仮にチェアのみのご注文の場合には既存のテーブルの高さを、テーブルのみのご注文の場合はお持ちのチェアの高さを、それぞれ必ず確認し、より良い作業性を確保するお手伝いを行っています。
チェアは毎日の暮らしを支える道具であり、チェア選びで日々の快適さ、充実度が大きく変わります。
家具選びに順番はありませんが、チェア選び・椅子選びはたいへん重要で、そこに優先順位を持ってくることは決して間違ったことではありません。
家具蔵では専門のスタッフが、一人ひとりに日常の過ごし方を伺いながら、適切なチェア選びをご提案します。
熟練の職人が人間工学に基づいて手仕事で製作するチェアは、長くあなたの暮らしを支えてくれることでしょう。
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