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木組みの椅子の魅力に迫る

2023.4.10

 

世界最古の木造建築として1300年以上の歴史で知られる法隆寺。

日本の木造技術のすばらしさを指し示すアイコンともいえる存在です。

古来より日本では木を用いた物作りが主流でありました。

寺社仏閣や城、また住居に於いても木造を基本とし、耐久性を高めるために木同士の接合に様々な工夫を施します。

それは継手や仕口などと呼ばれ、力の加わり方や木の特性を活かした畏怖を感じられる程の技法が存在します。

時にはパズルの様に複雑な組み方の技法もあったりします。

これらの技法は家具の世界でも活用され、高耐久な物作りでは欠かせないものとなります。

家具の中でも特に椅子の構造において、この木工技法の数々を見て取ることが出来ます。

紀元前3000年頃のエジプトの椅子は、今の椅子の形状と同じように背もたれや肘掛のついたものがありました。

そしてこの椅子たちも木組みによって作られていたのです。

このような事から木同士を組み合わせる考え方は古くから存在していた事が分かります。

まずは椅子作りで見かける木組みの工法についていくつかご紹介をしていきましょう。

 

 

割楔(わりくさび)ホゾ加工


 

 

ホゾ加工とは複数の木部材を組み合わせる時に、それぞれに凹凸の加工を施して差し込む加工方法です。

ビスや釘などの金物を使用しない技法として建築・建具・家具など木工の世界で良く用いられる技法です。

ホゾ加工にも様々な種類があります。

家具蔵の椅子の中でも使われている方法のひとつが「割楔ホゾ接ぎ」です。

「無垢材アームチェア アルコⅡ」などでは座面と後ろ脚の接合部に用いられています。

楕円形の形に見える部分は座面の板です。

つまりこの座板を後ろ脚に貫通させ、そこに2ヶ所の楔を打ち込みます。

楔を打つことで打った側が開き、抜けにくくなるという工法です。

この加工を施すことで上下に対しての力だけではなく横の動きにも強い構造となります。

 

フィンガージョイント


 

 

指を組み合わせた様に見えることから名前がついたフィンガージョイント。

部材同士を接合する時に、それぞれをくし型のように加工を施し組み合わせる技法です。

平らな面同士を組みあわせるよりも余分な材幅が必要にはなりますが、お互いの接地面が広がるため安定した強度を作ることが出来ます。

考え方は少し変わりますが、このフィンガージョイントは木工の世界だけではなく橋梁や高速道路などの接合部分にもくし形鋼材形状加工として用いられたりしています。

 

留め加工


 

 

それぞれの部材が角度を持って接合する際、その中間の角度で接ぎわせる加工方法。

90度に接する場合は中間の45度を以って材を加工し接ぎ合せます。

こちらも材同士の設置面が増えることから、荷重が掛かった際に縦横の受ける力の分散化をすることが出来ます。

しかしちょっとでも角度にズレが生じてしまうと隙間が生まれてしまうため、細心の作業が求められる加工方法です。

留め加工のメリットは材同士の木口が見えなくなりすっきりと美しいシルエットになります。

 

何故木組みの椅子が良いのか


 

 

上に述べた加工方法もほんの一部の種類ですが、総じて木組み加工のメリットは

「釘など木と異なる部材が混ざらないため、木の繊維が傷みにくく且つ金属の経年劣化や腐食の影響も受ける事が無い」

「ホゾ加工などをする事で木同士の設置面積が増え、力の分散化が図れる事からより強固な構造となる」

というものがあります。

しかし、ただ木組みであれば良いというものでもありません。

先に述べた法隆寺の専属宮大工でもあった故西岡常一氏は、木のクセを見抜いて適材適所に使うと話をしていました。

木は自然界の中で自身で移動することが出来ない生き物です。

風向きや日あたりなど外部からの影響を様々に受ける中で、まわりの環境に自分の体を適応させていく必要があります。

同じ種類の木があっても、育つ環境の違いによってこのクセも変わってくるのです。

その為、木がどういう風に育ってきたのかを見極めること、すなわちその木にしっかりと向き合い、木の特性を理解した上で作られる木組みの椅子は、長い年月の使用にも耐えうる強い椅子となるのです。

また木同士を合わせる場合に、寸分の狂いもなく合わせることが求められます。

仮に凸側の大きさが凹側の大きさよりも小さかったら、緩すぎてしまいしっかりと組み込むことは出来ません。

このお互いの大きさをしっかりと定めることできつく木同士が締めあってくれるのです。

そのため木組みの椅子を作ることは職人の技量が大きく影響してきます。

 

長く使うことのできる椅子を選ぶ


 

 

釘やビスを使わない木組みの椅子は壊れにくい構造となって長く使える椅子になります。

椅子は体を支える大切な道具ですから、耐久性がある事はとても大切なポイントとなります。

勿論座る人の体にフィットする形状である事は第一ですが、椅子は暮らしのパートナーとも呼べる家具です。

これから椅子を検討する際には、その椅子の構造にも目を向けてみると一生を共に過ごせるような椅子に出会える確率も高まります。

 

家具蔵の無垢材チェアのラインナップはこちらから

 

 

 

 

 


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