あらためて箪笥という家具を知る
2023.9.22
箪笥は歴史のある家具であり、岩手県奥州市の「岩谷堂箪笥」、宮城県仙台市の「仙台箪笥」、福島県二本松市の二本松箪笥などが有名です。
それぞれの地域ごとに特徴のある箪笥がありますが、普段何気なく「箪笥」「タンス」と呼んでいるこれらの家具。
そもそもどのような家具なのか。
歴史があるとはどのようなものか。
いわゆる「チェスト」とは何が違うのか
といった部分を深掘りしていくと家具選びの際にもより面白みが増してきます。
箪笥とは
「箪笥(たんす)」とは日本に昔からある家具の名称です。
日本古来の様式があるものは、現在では「和箪笥」と呼ばれます。
この背景には西洋風の収納家具が多く用いられるようになったことがあり、英語で「ワードローブ」にあたるものは「洋服箪笥」や「洋箪笥」などと呼ばれるようになりました。
尚、「クローゼット」は箪笥というよりは「押し入れ」に近いニュアンスがあり、より広い収納空間を指します。
箪笥の数え方の単位
それぞれに対して「数え方の単位」は異なります。
箪笥も同様です。
箪笥は「棹(さお)」という単位を使って数えます。
昔の和箪笥には長持などと同様に、両脇に「竿通し」と呼ばれる金物が付けられており、竿を通して持ち運びができるようになっていたことに由来します。
婚礼家具としての箪笥の役割
今ではあまりその風習も薄れてきていますが「婚礼家具」は女性が結婚する際に嫁ぎ先に持っていく家具です。
一般的には「洋服箪笥」「和(衣装)箪笥」「整理箪笥」の3点セットがいわゆる「婚礼家具=嫁入り道具」の定番であり、普段着や洋服、婚礼着などを含めたハレの日に着るもの、日用品などを分けて収納することが当たり前だったことがわかります。
箪笥と桐材の良い関係
昔は女の子が生まれると庭に桐を植える風習がありました。
これはその桐で嫁入り道具の箪笥を作って持たせるためです。
箪笥に桐材が使用される大きな理由は成長が早く軽いだけでなく、高温多湿な日本の環境でも内部の湿度を一定に保ち、火事にも強いというメリットがあるためです。
この性能を最大限発揮するためには密閉性をも考えて製作することのできる家具職人の腕があってこそ担保される性能ですが、現在でも政府の重要な書類は桐の箱に入れて保存されているほどです。
箪笥の選び方
クローゼット等が無い間取りの住まいの場合、いわゆる「洋服箪笥」は衣服を収納しておくのに大きな役割を果たします。
「洋服箪笥」は上部が開き扉で内部に丸パイプがついており、その下には引出が数杯ついているものが一般的です。
昔の着物は畳んで収納するので引出があれば十分でしたが、洋服をこの上部の丸パイプにハンガーで収納できる点が和箪笥とは異なります。
その「洋服箪笥」に対し、「整理箪笥」とは主に引出しのみで構成された箪笥を指します。
いずれにしても箪笥を選ぶ際に大切なことは、「何を収納するのか」です。
例えば、ハンカチや下着などの比較的コンパクトなものを収納する場合、一目で収納している物が見渡せる様に内寸の高さが浅い引出しの方が使いやすいでしょう。
位置も目線より上の高さに来てしまうと何が入っているかの確認も、実際の出し入れも不便なので重要な要素です。
セーターなどの嵩張る衣類、中・重衣料を収納する場合は内寸の高さが深い引出しの方が使いやすくなります。
収納したいものが決まっていて箪笥を検討する場合は、内寸も必ず確認するようにしましょう。
また買い替えの場合も同様に外寸だけでなく、内寸確認は必須です。
無垢材チェストの魅力
チェストや箪笥は昔から木材で作られ続けてきた家具です。
例えば衣装箪笥などは桐材で作ると、木が持つ防虫効果や調湿効果で中に仕舞った大事な衣服を守ってくれました。
昔から私たち日本人は大切なものを木の箪笥に入れて守ってきた歴史があります。
しかし、昔ながらの桐箪笥は現代の住空間に合わせにくいという声もあります。
更には一見すると木製の家具でも、実は表面に木目をプリントしただけの家具が多いのも事実。
無垢材をつかったチェストには、やはり防虫効果や調湿効果があり、中に収納する大切なものを守ってくれます。
また、さらには無着色の無垢材で作られた家具は使い込むほどに味わいを増し、愛着も湧いてくるでしょう。
家具蔵でも無垢材チェストを多くのパターンでラインナップしています。
内部は会津の桐材で作り上げたものでありながら、外側の本体は現在の住空間に馴染みやすいチェリー材やウォールナット材を使用した普遍的なデザインのものなども展開しており、サイズオーダー・仕様変更も可能です。
家具蔵では古くからの先人の知恵に学び、引き出しの内材にも適材適所で無垢材を用いたチェストを数多く作っているのです。
各店にも展示されている、本物の無垢材で作られたチェストに触れてご覧になってみるとその「良さ」もまた実感できるのではないでしょうか。
スタッフ一同、ご来店をお待ちしております。
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