家具蔵の提案する無垢材キッチン ~タイプ別・木のキッチン製作実例紹介~ その4
2023.9.26
目次
住まいの新築やリフォームを計画する際に、「リビング」や「ダイニング」のような最も人が多く集まり、長い時間を過ごす事が想定される場所と同じように、最近では「キッチン」をどのような空間にしたいか、キッチンでどのように過ごしたいか、そしてキッチンの「インテリア」までを含めて家づくり全体を考えることも多くなりました。
それは、キッチンが単なる機能ばかりを優先する「調理の場」としてだけではなく、リビングやダイニングと同じように、そこで人が心地よく過ごせる空間であることが求められるようになったからに他なりません。
キッチンにもリビングやダイニングの家具と同様に時間とともに深みを増す本物の素材を使い、 腕の良い家具職人が丁寧に作るものを。
木のキッチン・無垢材のキッチンは、しっくりと手に馴染み、空間に美しく溶け込む美しい「生活の道具」となります。家具蔵の木のキッチン製作実例紹介として「ベーシックタイプ」「オーダータイプ」という2つのタイプの概略とその応用をご紹介します。
家具蔵のキッチンは「ベーシックタイプ」「オーダータイプ」から選ぶ
私ども家具蔵では木のキッチンをプランニングする際に「ベーシックタイプ」「オーダータイプ」という2つのタイプから選択することが可能です。
お客様ごとにどちらのタイプをベースにすることが相応しいのか、どちらであればよりスムーズにプランの実現が可能であるか、を考慮しながら計画をする必要があります。
ベーシックタイプでは、横幅・奥行・引出しや扉・設備機器の並び方など、デザインに一定の決まりがある中からの選択となります。
そうすることで価格を抑える事も可能となり、また一方ではキッチンの使い勝手やデザインに普遍的な機能性、バランスの良い美しさが担保されたものとなります。
一方、オーダータイプではキッチン本体のサイズはもちろん、L型や二列型といった構成の根本的な部分から使用する機器やその配置、素材のセレクトまで全てを自由にデザインすることができます。
価格はベーシックタイプと比較すると高額となりますが、いわゆる高級オーダーキッチンメーカーと比較すれば安価であり、そのうえで本当に満足できる木のキッチンを計画したいという方には魅力的なものとなっています。
そして、上記の2つのタイプは基本的にどちらかを当てはめて計画する必要がありますが、内容によっては2つを組み合わせてプランニングをする事で、実現の可能性が拡がる場合もあります。
これからご紹介するいくつかのケースでは、どのタイプをベースにしているかも併せて表記しています。
これからキッチンを計画される方の参考になれば幸いです。
CASE 4 木のキッチンから発想する豊かな空間(N邸 / 東京都杉並区)
【ベーシック + セミオーダー】
誰もが目にしたことのあるパッケージのデザインをされているというN様の住まいは、杉並の緑豊かな住宅街にあります。
古くからデザイン会社を経営しているN様が一戸建ての新築にあたり、間取りを考える際に大切にしたポイントは「キッチンの位置」でした。
キッチンは家の中心にあり、大勢で集まって囲めるものにしたい。
木の素材を中心としたインテリアにも自然に溶け込むようなものにしたい。
そのようなイメージをもってハウスメーカーが紹介してくれる様々なシステムキッチンのショールームに足を運び、色々と検討してみたそうです。
しかし、その中で強く感じたことは、いわゆる「つくりものっぽい」ものの多さでした。
デザインや素材感に鋭い感性をもつN様は
「自分の求めるキッチンはシステムキッチンメーカーで実現するのは難しいかもしれない。それならば、本物の木のキッチンを作ってくれる会社を探そう」
と方向性を変えて、最終的に家具蔵に声を掛けるに至ったのでした。
それぞれの配慮・提案・こだわりが生んだ世界に一つのキッチン
細部までこだわりを持ち、明快なビジョンを示されたN様をサポートしたのは、家具蔵のキッチンスペシャリストでした。
理想のキッチンを実現するために、ディスポーザーの設置に必要なキッチンの設計変更、予算を抑えるためにベーシックタイプとセミオーダーを上手に融合させることなど、様々な問題を解決しなければなりませんでしたが、デザインのプロであるN様と、キッチンのプロである家具蔵スタッフ、そして建築業者であるハウスメーカーの担当者の三者が密に連絡を取り合いながら、N様のイメージする無垢材キッチンの完成を目指しました。
キッチンこそが一番の特等席という空間で
引き渡しから数日後、N様のお宅を訪問すると工事中の慌ただしさは嘘のように、穏やかで静謐な木の空間が迎えてくれました。
一方で写真には映っていませんが、階段まわりの吹抜け空間には「モダン和風のインテリア」というジャンルを超えたような、はっとするような素材使いがなされていたり、家の隅々まで楽しい発見がある住まいであったりもします。
キッチンのすぐ隣には、柱を現しにした本格的な和室が配されています。
本物の柱や鴨居とキッチンの馴染みの良さは、やはりその素材感の共鳴によるもの。
「キッチンでの作業中、流しの前に立って和室の窓から庭の木漏れ日を眺めるひとときは、忙しい仕事の毎日の中で、何よりも心が休まる時間です」
というN様の言葉のとおり、キッチンが住まいの中でこれほど特等席のような場所になっていることに、新鮮な驚きと憧れを感じる実例になりました。
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