奥行きが細いダイニングテーブルを「選んではいけない」理由とは?
2023.10.21
目次
テーブルの奥行きは軽視してはいけない
ダイニングテーブルを選ぶために必要な基準は様々で、その優先順位も人それぞれと言って良いかもしれません。
デザインを優先したい人、素材や製法にはこだわりたい人、価格も欠かせない要素でしょう。
しかし、どのようなものを選ぶとしてもテーブルは必要な人数がきちんと着座できることが必須であり、同時に空間をある程度占めるものである以上「サイズをどのようなものにするか」は絶対に外せない点となります
どれだけ見た目が良くても小さすぎては必要な人数で使用ができず、あるいは狭くて使いづらいということもありえます。
反対に空間に対して大きすぎてしまうと、周囲の余白が確保できずに椅子の出し引きや回遊に困難をきたす可能性も出てきます。
そのようなことにならないようにダイニングテーブルのサイズ選定は非常に重要です。
テーブルのサイズは主にW=総幅、D=奥行き、H=総高で表されます。
Wについてはまさしく「何人掛けか」という部分の基準になることも多いので、ある程度明確な希望や想定がある人が多い印象です。
一方、DやHについてはその重要度はWほど認知されていない感があります。
しかしD、つまり奥行きは快適に食事や作業を行う上では軽視してはいけない部分なのです。
細い奥行きのテーブルで起こること
このコラムのタイトルが「奥行きが細いダイニングテーブルを“選んではいけない”」とやや過激な見出しとなっていますが、厳密に言うと奥行きの細いものを選ぶことが絶対にダメ、ということではありません。
ですが、その際には「その結果起こりえること」を知っておくことで家具の選定に後悔を覚える要素が少なくなるはずです。
その「起こりえること」とは「見た目のバランスが悪くなるおそれがあること」と「対面距離が近くなる」ことです。
見た目に美しいのは適正な奥行を持ったダイニングテーブル
まずわかりやすいのが「見た目のバランス」です。
ダイニングテーブルに限らず、すべてのものには「美しく見えるバランス」というものがあります。
それがシンプルな形状であればあるほど、そのバランスは分かりやすく、また好みもはっきり分かれると言ってよいでしょう。
長方形のダイニングテーブルを例にとると、そのかたちは長辺と短辺が合わさってその形状を作りあげています。
長方形として一番美しく見える両者のバランスは「黄金比」を指標として導き出すことが可能です。
黄金比とは「人間が最も美しいと感じる比率」のことであり、具体的な数値は約1.61という値で表されます。
長方形の短辺(奥行き)をaとし、長辺(幅)をbとした場合でも、b/a=約1.61という関係になれば「美しいバランスの長方形」となるわけです。
例えば、総幅が1500㎜であれば奥行き850~860㎜程度、1800㎜であれば奥行きは900㎜強となります。
事実、世のダイニングテーブルは多少の数字の差異はあってもこれと同じか、あるいは近いサイズで作られています。
例えば片側に3人が常に着座できるダイニングテーブルが欲しいとして、その総幅は2100mmとします。
そこで奥行きが700mm程度のものだと、妙に細長く見えてしまうこともあるでしょう。
この場合、美しく見える奥行きは950~1000mm、あるいはそれに近い数値となります。
そしてそれが実際に「適度な対面距離を確保できるテーブルサイズ」でもあるのです。
適切な対面距離の確保は快適性を左右する
適度な対面距離とは、つまるところ自身がそこで必要なスペースが確保できている状態で、対面する人がいる場合に「互いが近すぎず遠すぎない」距離を指します。
食事や作業を行う際に絶対に確保しておきたいスペースとして、その奥行きは400mmといわれます。
ダイニングテーブルに着座して対面に必ず人がいる場合、互いに400mmのスペースを必要とするわけですから、その奥行きについては800mmを確保しておきたいわけです。
互いに400mmが確保されているとして、両方の間隔があまり離れすぎていても遠く感じてしまい、それはそれで不便を感じます。
そこで黄金比によって導き出される美しいバランスの形状を持ったダイニングテーブルは対面距離をも適切なものとしてくれるのです。
例えば850mmの奥行きなら必要なスペース+50mm、900mmなら100mmのプラスで、食事の際などに両者の間に大皿などを置くことを可能にします。
実際にダイニングテーブルで過ごす時間が長いほど、隣や対面の人との距離感は気になるものです。
適切な対面距離の確保を可能とする奥行きを持ったダイニングテーブルを選ぶことは、その場の快適性を左右します。
細い奥行きを選ばざるを得ない場合は?
ダイニングテーブルで互いが対面で向かい合うケースが大いに想定されるのであれば、テーブルの奥行きは最低800mmを確保しておきたいところであり、この数値を維持しておけば、総幅がある程度のサイズとなっても極端にアンバランスに映ることはありません(細長く見えることは否定できず、そこに好き嫌いこそありますが)。
しかし、スペースの関係上、800mmの奥行きを確保できないケースもありえます。
例えば、細長い間取りで800mm~900mmの奥行きのダイニングテーブルを配置すると椅子の出し引きに十分なスペースが確保できないといった場合です。
その場合は椅子の出し引きに十分なスペース確保を優先します。
そうでないと椅子に座る、あるいは立ち上がるといった動作そのものが難しくなり、使用において著しい不便を強いられるためです。
その結果、納得の上であればテーブル奥行きは細いものを選ぶことは「有り」でしょう。
あるいは椅子の選択をより大きな出し引き幅を要するアームチェアよりも最小スペースで使用できるアームレスチェアを選択することで問題解決に繋がるかもしれません。
特に高樹齢のものでないと製作そのものができない一枚板テーブルなどは木の幹の大きさ=樹齢がそのままテーブルの奥行きとなるので奥行きが細いものも多く、注意が必要です。
実際の使用において不便が無く、スペースの余白も考慮したサイズのダイニングテーブルを選びたいものです。
私ども家具蔵の無垢材ダイニングテーブルも各種シミュレーションによる空間における適正サイズの確認も行いながら細かなサイズオーダーによる受注製作を行っています。
お客様一人ひとりの事情に寄り添うベストなテーブルサイズをプロのスタッフが丁寧にご案内します。
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