「無垢材」と「化粧材」の見分け方とは?
2024.4.13
「木製の家具を使っている」あるいは「使いたいと考えている人は多くいることでしょう。
木の家具は手触りや使い心地が良く、温もりや安らぎを与えてくれます。
そのなかで沢山あるショップを見て回ったり、WEBなどで調べたりしているうちに「無垢材」という言葉を耳にしたことがあるはずです。
もしくは「○○化粧材使用」というような言葉を目にするかもしれません。
「無垢材」の家具=無垢材家具とは、そして「化粧材」とはどういうものか、その違いはなんなのか、は意外と知らないことでもあります。
例えばガラス製、金属製、木製と明らかに見た目が異なる素材であれば分かり易いのですが、木製は一見どれも同じに見えてしまうことも多くあります。
ただ、ひと口に「木の家具」といっても、素材やつくりは千差万別なのです。
木の家具と「無垢材家具」の違い
木製の家具を大きく分けると「無垢材の家具(無垢材家具)」と「木質系、化粧合板の家具」に分かれます。
「無垢」とはその名の通り、純粋無垢なもの・混じり物の無いもの。
分かり易く言えば、「木の塊」のことで、どこを切っても一つの素材から成り立っています。
つまり無垢材家具とは純粋に木そのものでつくられた家具になります。
一方、無垢材家具に対し、その他の「木製家具」=「木質系、化粧合板の家具」の素材とはどのようなものでしょうか?
芯材に合板を使い、表面に印刷加工をして処理を加えたプリント合板。
小さく切り分けた木材を乾燥させ接着剤で組み合わせた集成材。
突板(つきいた・木材を0.2ミリ~0.6ミリに薄くスライスした板材)を合板(ごうばん・薄く切った板を互い違いに重ねて熱圧接着した木質材料のこと)や繊維版(ファイバーボード)の表面に貼りつけた天然木化粧合板。
チップ状の木材を接着材で固めたエンジニアリングウッド(加工木材、工業製品)等々、これらの木質系の材料を用いたものは「木製家具」と呼ばれています。
もちろん、天然素材をそのまま使う無垢材の方が素材としては良いのですが、「無垢材」は木目や木の動きを読むなど熟練の職人技が必要なこともあって、大量生産が可能な木質系の家具が市場では圧倒的に多いのが現状です。
無垢材と木質系材料の見分け方は
無垢材以外の木質系の材料を用いたものは、仕上がった際の基材と表面材が異なります。
表面にはいわゆる化粧材を用いて作られているのです。
無垢材との違いは断面を見るとよくわかります。
無垢材は木そのもの、どこを切っても同じ一つの素材です。
木製家具やいわゆる化粧合板は基材についても接着した合板で、さらにその上に化粧材を貼り合わせて、まるで地層やミルフィーユのように何層にもなっています。
表面に傷が付いた際にも違いが出ます。
無垢材の場合、最初は傷も目立ちますが、同じ個体であることもあり、段々とそれも馴染んできます。
それに対して木製家具や化粧合板は薄い表面材の下の基材にキズが付きます。
もともと基材(合板等)を綺麗に見せる為に化粧材が上から貼られているわけですから、表面材と基材は別々の素材です。
その基材まで傷が付くと、色味も違い傷が目立ってしまいます。
表面材も剥がれて、どんどん劣化していきます。
水分を吸って膨らんでしまう事もあり、これでは使う楽しみも損なわれてしまうというものです。
あるいはサイズが小さめの収納家具の天板などは見分けがつきにくいかもしれません。
その際に最も簡単な見分け方は「木口(こぐち)」を確認してみましょう。
木口とは木材の横切りの切り口のことです。
テーブルであれば通常短手(4辺のなかで短い2辺)を見て、年輪の一部が見えていれば、まず無垢材と考えて良いでしょう。
対して4辺すべてが横に流れる木目であれば、それは突板=化粧材であると考えて間違いないといえます。
どちらの家具を選ぶべきか
木質系材料、つまり化粧材で作られた家具には「安価」という金銭面でのメリットを享受できるケースが多くあります。
工業的に作られた材料は大量生産に向いているため、低コストにしやすいためです。
また、材料に薄さを求められる場合(例えば収納家具の側板・背板・棚板といった部分)には無垢材よりも動きが起きにくい化粧材を使う方が有益であることもあります。
どちらが良い悪いということではなく、適材適所で使い分けるべきである、というのが正しく、私ども家具蔵の考え方でもあります。
一方で無垢材には化粧材では表現することのできないものが多々あります。
その特徴を理解したうえで、自身にとって納得のいく家具選びができるとよいでしょう。
無垢材家具を使う喜び・繋がる喜び
長く存在するものの美しさは特別です。
最初は新しいものが時間を経て美しく、味わい深くなっていく、そうなる為にはやはり素材や作りが何よりも大事になります。
無垢材は耐久性に優れ、非常に長い期間使用できます。
長持ちするものでなければ本当の良さを味わうことはできないのです。
無垢材の良さは、今だけでなく「その先」に続いていくのです。
また、長く使用できるということは愛着を感じながら、みんなで大事に使うことに繋がります。
子供の頃、家族みんなで食卓を囲み、食事をし、色々な話をしたこと。
大人になってもその時間は後々の人生で、何より大切な思い出になります。
そのような「小さな幸せ」を沢山重ねていけるような機会を与えてくれるのは無垢材で作られたものとなるはずです。
ものを持たない時代といわれていますが、裏を返せば良い物を少しだけ持つ、長く持つということでもあります。
「木の家具」とひと括りで語るのではなく、無垢材家具をもっと知って頂いて、より多くの方に「使う喜び」をご体感頂きたいと考えています。
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