「銘木」と「名木」の違いとは?
2024.4.25
「銘木」という言葉は一枚板天板を検討しているとしばしば耳にする言葉です。
そうではなくてもどこかで目にしている言葉であるでしょう。
「銘」という字は「名のある上等のもの」という意味を持ち「銘菓」などは有名な名産の甘味などを指します。
そのこともあって、その響きだけでもなんとなく「有名で立派な木だろう」という印象を持つ人もいるでしょう。
和室に使う床の間や柱などに使われるような表情豊かな木材をこの言葉で表すこともあり、そこから和風な印象があるかもしれません。
銘木からとれる木材、つまり銘木材は現代建築においてもよく使用されています。
銘木材が注目を浴び、人気を高めている理由、そこには日本独自の「木の文化」も大きく関わっています。
「名木」と「銘木」の違い
一方で同じ呼び方でも「名木」という表記があるものを見かける事があります。
「名木」と「銘木」、同じ読み方のこの両者は一見その意味も同じに見えます。
実はそれぞれが表すその「中身」は若干異なるものです。
「名木」はいわゆる「高樹齢の大木」のことを指します。
「ご神木」などの言葉で表現されることもある、神社やお寺などで長年育っている由緒ある木もそれにあたります。
「地面から生えている状態における何らかの価値を持った木」は「名木」です。
対して「銘木」とは「立ち木そのもの」というより、木材となった後のものを指して表現するものです。
高樹齢の木から採れたもの、且つ木材となった際の材質としての優位性、その色合いや杢目やキャラクターマークを含めた個性が美的感覚をもって尊重されるものを指しています。
一般的な木材よりも希少であることからその価値は総じて高く、そのなかでも樹齢や形状、杢目の出方などの装飾性を持ってその評価も上下します。
その使われ方もまた多様です。
家具や楽器といった実際に手に取って使用するものから建材・内装材など住まいを形作るものまでさまざまな使われ方をしています。
そして、これら「銘木」は装飾的・芸術的・文化的にも高い価値を持つものも多くそれらは「○○3大銘木」などと呼ばれることもあります。
唐木3大銘木とは
そのなかの代表的なものとして「唐木3大銘木」があります。
唐木(からき・とうぼく)とは遣唐使によって中国=唐を経由して日本にもたらされた、インド・タイなど東南アジア原産の木材です。
仏教の伝来とともに伝わったことから仏像や仏壇などにも多く使用されています。
中でも、「紫檀(したん)」「黒檀(こくたん)」「鉄刀木(たがやさん)」が「唐木三大銘木」として知られています。
目が細かく、丈夫であり、加工性も良いことから、建築や家具・楽器などにも用いられてきました。
現在では程度の良い大木は入手が難しく、まれに一枚板テーブルなどでも目にしますが非常に高価で羨望の的となっています。
日常で目にするのは高級箸の木地として使用されているものが多いかもしれません。
世界3大銘木は何か
一方、「世界3大銘木」というものも存在します。
これらは「Precious wood」とも表現されるように、まさに「貴重なもの」という認識があるということです。
具体的にはマホガニー・チーク・そしてローズウッドがこれにあたり、この辺りは家具や木材にそこまで詳しくない人でも耳にしたことはあるということも多いでしょう。
それぞれに原産も科目も異なりますが、その材料としての優秀さや色合いや表情の美しさで不動の評価を得ています。
世界3大銘木は手に入らない?
もっとも、マホガニーやチーク、ローズウッドは自生している高樹齢の木から採ったものはもはやほとんど見ることができなくなっています。
高級家具材や楽器、また建具や床材など様々な分野で使用されてきましたが、乱獲や違法伐採により個体数が激減し、現在ではワシントン条約によって天然木の取引に厳しい制限がかけられています。
特に美しいとされているキューバ産やホンジュラス産のマホガニーはもはやほぼ市場にも出ていません。
ローズウッドも同様で東南アジアから中南米にいくつかの亜種も含めて分布していたものはほぼ市場には出なくなってしまいました。
東南アジアが産地のチークもかつては国内の住宅の内装材などでよく見かけたものであり、家具材としてもヴィンテージ家具・アンティーク家具の類にはチーク材がよく使われているのを目にします。
現在は自生しているものから採ることのできる本チーク材の入手も困難になり、主に植林されたチーク材しか見かけることができなくなっています。
これら世界3大銘木は絶対に手に入らないということではありません。
年代物のヴィンテージ家具などはこれらの銘木を使用しているものも多く見られるので、もしこの3つの樹種にこだわった家具選びを行うのであれば、そこが糸口となるかもしれません。
日本人の価値観と銘木の魅力のシンクロ性
私たち日本人にはもともと備わっている美意識として自然のありのままを愛でる、という文化があります。
例えば「侘び・寂び」という言葉があるように、華美ではないものや自然美に風情や魅力を感じることができる価値観です。
そのような観点から、大木から切り出された材面から生み出される様々な紋様に私たちは魅力を感じ、自然素材を使う喜びを味わう価値を得ることができています。
そして、鑑賞価値と実用度が高い銘木を愛でてきた歴史があり、今に息づいているのです。
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