フローリングを知る
2018.3.6
家具蔵にご来店されるお客様のなかには、住空間への思いや木に対してのこだわりを強くお持ちの方が多くいらっしゃいます。
お客様のお部屋の写真などを拝見した際には、フローリングからそのお住まいへのこだわりが垣間見えることも。
ご新築やリフォームなどのタイミングでのお話も多く、その際によく話題にあがるのがフローリングの樹種の話です。
広葉樹、針葉樹、素材感と様々なフローリングの選び方がありますが、空間の大きな要素をつくる部分だけにこの選び方が見え方・暮らし方に大きく影響してくることもまた事実。
今回は、空間づくりに大きな影響を及ぼすフローリングについてお話をしていきます。
一般的なフローリングの種類
フローリングには、主に「合板」「無垢材」の二種類があります。
どちらも「木」でつくられたフローリングではありますが、合板はその名のとおり、ベニヤ板(単板)を何枚か接着剤で貼り合わせて厚みを出した上に、薄い「突板」を貼って形成したものをいいます。
突板とは厚さ0.2ミリと薄くスライスした「木のシート」です。
メリットとしてはホワイト系からブラック系、やさしい木目から強い木目まで様々なバリエーションがあり、無垢フローリングより安価なのが特徴です。
キッチンなどの水回りで使用できるものもありますが、デメリットとして無垢材フローリングに比べると踏み心地が硬く、自然の風合いが出にくい点があげられます。
着色や塗装を厚く塗って統一感を出す合板フローリングは、最初は綺麗ですが、長く使用するうちに表面が剥がれて下地が出てきてしまったり、キズや汚れが目立ちやすい点も見逃してはいけないポイントです。
それに対して無垢材フローリングは、貼り合わせをしていない天然木100%の板を使ったものになります。
メリットは家具蔵の家具と同様に木の柔らかい肌触りを感じることができる点。
当コラムでも何度かご紹介しているように、無垢材のような自然素材は空間の湿気を保つ調湿機能を持つことも特徴的です。
そして、年を重ねるごとに味わいが増していくことは、使用感に大きく影響してきます。
合板フローリングよりも高価という点は否めませんが、無垢材フローリングを選ばれる方も最近特に多くなってきています。
なんといってもその風合い・質感の違いは比べれば歴然であり、経年での表情の変化が味になることは、長く過ごす住まい空間を快適なものとするには大きなアドバンテージがあるからです。
さらには、無垢材フローリングはキズがついても削りなおして修復することができる、という点もエコという観点では大きなプラスでしょう。
また、住まい選びでも重要な要素になってきている「健康志向」にも大きく関わっていることをお話しておきます。
合板は上でもお話ししたように薄い木のシートを何層にも接着させたものであり、また、木質系ボードといって、例えば細かい木の繊維を圧縮させたもの(=MDF)も含め、そこでは多量の接着剤が使われます。
これは、木材チップや木材片を貼り合わせて合板や集成材を製造するためです。
それらの接着剤の多くは、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂といった、近年問題になって久しい「シックハウス症候群」の主な原因とされているVOC(揮発性有機化合物)の一つ、いわゆるホルムアルデヒドという化学物質が含まれています。
人体に影響のあるものである以上、大量に使えばどのようなことになるかは容易に想像ができます。
無垢材や無垢材フローリングを選ばれる方が増えているのはそうした背景もあるのです。
フローリング幅を知る
フローリングの幅は75から90mm幅が一般的なサイズといわれています。
ただ、狭いものでは57mmから広いものは200mmと様々です。
この幅は価格に関係してきます。
より幅の広いフローリングは一本の丸太から限られた量しか生産できないため、フローリングの価値が上がる、すなわち価格が上がるということになります。
実際は幅だけで価格のすべてが決まるわけではありませんが、同樹種・同グレードで比較した場合、幅が広くなると価格が上がることがいえます。
広葉樹と針葉樹による違い
幅広のフローリングにおいては広葉樹と針葉樹でコストの差が生じます。
そもそも、広葉樹の幹は太く曲がっていることが多く、枝分かれしているので、幅が広く長さがある材はとりづらくコストが上がる傾向があります。
一方、針葉樹は成長が早く幹が比較的まっすぐ伸びるので、幅が広く長さがあるものがとりやすく、同じ幅広フローリングの中でも広葉樹に比べるとコスト面でのメリットが期待できます。
さらに、針葉樹は一般的に柔らかい材が多く、空気をたくさん含んでいるので、足触りのよさや木の温もりを感じられるのが魅力です。
しかし、ある程度の堅さがある広葉樹に比べると傷がつきやすい一面があります。
広葉樹ではナラ、オーク、メープル、ウォールナット、チェリーなど家具蔵でもおなじみの素材が人気。
針葉樹ではカントリーテイストの部屋と相性が良く、優しい歩行感が特徴的なパイン(松)や幅広いデザインが可能な杉、強度・耐久性に秀でるヒノキなどが人気です。
フローリングの張り方
フローリングの張り方にもさまざまな呼称があります。
これを知っていると住まいづくりで新しい目線でのアイディアが生まれてくるかもしれません。
1.定尺張り(りゃんこ張り・レンガ張り)
定尺のフローリングの材料を用いて半分ずつずらして繰り返し張ることを「りゃんこ(両個)張り」と呼びます。
フローリングのつなぎ目が長さの半分ずつ互い違いになっている様から「レンガ張り」とも呼ばれます。
2.乱尺張り
長さが一定ではない乱尺(ランダムな長さ)のフローリングの材料を用いた場合、必然的に乱尺張りになります。
規則的な定尺張りだと人工的で合板の様な印象になってしまうため、無垢フローリングを使用する場合は乱尺張りも無垢らしさが出て相性が良く、人気があります。
3.斜め張り
その名の通り壁に対して斜めに張っていく方法で、フローリング自体の主張が強くなりデザイン性が高い張り方。
また2つの空間の区切り感を出すためにも有効で、空間のデザイン次第でとてもお洒落に仕上がります。
4.寄木張り(ヘリンボーン張り)
ヘリンボーン(herringbone)は「ニシン(herring)の骨(bone)」の意味を持ち、見た目がニシンの骨に似ていることから名付けられたと言われている寄木張りの1つです。
ヴェルサイユ宮殿にも採用されているフローリングの張り方のデザインのひとつでクラシカルな印象をあたえますが、最近の流行もあって、モダンでおしゃれな印象も与えます。
日本でも明治・大正時代に建てられた洋館に多く採用されています。
5.寄木張り(市松張り)
市松張りとは、市松模様のようにフローリング材の向きを交互に変える張り方をする寄木張りの1つです。
明治・大正時代に建てられた洋館にも多く採用されたことから、こちらもクラシカルな印象がありつつも、ヘリンボーン張り同様のトレンドを感じさせます。
6.すだれ張り
同じ長さのフローリング材の繋ぎ目を「すだれ」の様にそろえるシンプルな張り方。
すだれ張りは天井によく張られる方法でこの手法を床にも応用した張り方です。
写真などで見た憧れの内装。
それを自分の住まいに取り入れる際には「知っておきたいこと」は多々あります。
フローリングもそのひとつ。
エレメントのひとつひとつが空間をよりよくするための大事な要素です。
家具蔵では家具の他にもこうした「住まいづくり」全般に関わることから、皆様の快適な暮らしをお手伝いします。
お気軽にお声掛け下さい。
参考資料
住まいの科学情報センター「接着剤やメラミン樹脂とホルムアルデヒド」
http://www.kcn.ne.jp/~azuma/QA/IAQ/I025.htm
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