環境破壊の現状を知る その2
2018.2.20
世の中のモノはすべからく何か「資源」に依存してできています。
私たち家具蔵にとっても、木という「資源」はとても大切なもの。
この資源には限りがあり、また、そこには「環境破壊」という言葉がついてまわります。
この環境破壊は、私たち企業や日本のみならず、全世界で考えていく事柄であることは言うまでもありません。
ともすれば一人歩きしてしまいそうなこの「環境破壊」そして「エコ」という言葉を考えるこのコラム、「その2」
は「接着剤」「ダイオキシン」「家具リサイクル」の観点でお話を進めます。
接着材使用量(有害要素のあるもの)
タンスや食器棚には、安価な合板やMDF(中密度繊維板)が使用されることが多いですが、これらからホルムアルデヒドなどの有害物質が放散されることがあります。
都内の消費生活相談窓口には、収納家具が原因で喉や目が刺激を受けた等の相談が平成12年度から21年度の10年間で149件寄せられ、現在も上昇傾向にあります。
ホルムアルデヒドについての規制は、建材や造り付け家具に対しては建築基準法により行われていますが、家具については存在していません。
また、JAS(日本農林規格)や JIS(日本工業規格)に対応した合板・MDF等を使用することで低ホルムアルデヒド等の表示を行っている製品もありますが、消費者には統一的な目安がないのが現状です。
日本で使用されている木材・接着剤には、概ねホルムアルデヒドを含んでいません。
しかしながら、日本の塗料工業会から、すべての自然塗料は乾燥中にF☆☆☆☆(フォースター)基準以上のホルムアルデヒド放散の可能性があることを指摘がされています。
使用している否かではなく、結局どれだけ使用されているかが大きな問題になってくるのです。
人がホルムアルデヒドの臭気を感じる濃度は0.08ppmあたりといわれています。
濃度が高くなると、目、鼻、喉などに対する刺激を感じるようになります。
さらに高くなると症状としては、不快感、流涙、くしゃみ、咳、吐き気などを起こすことがあります。
ダイオキシン問題
ダイオキシンは、モノの焼却の過程等で、自然に発生してしまう非常に毒性の強い物質です。
環境中には広く存在していますが、その量は非常にわずかです。
しかしながら、ダイオキシン類の排出量の約9割が家庭ごみや産業廃棄物を焼却する時に出ると推定されるため、平成9年12月以降、「大気汚染防止法」、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」、「ダイオキシン類対策特別措置法」などによって、焼却施設などから排出されるダイオキシン類やばい煙の規制、焼却施設の改善等の対策が進められています。
ダイオキシンは、「ダイオキシン類2つ」と同様の毒性を示す「ダイオキシン類似化合物1つ」に大きく構造が分けられます。
ダイオキシン類対策特別措置法では、この3つをあわせて「ダイオキシン類」と定義していますが、これらを細かく分類すると毒性をもつものだけで9種類があります。
この種類によって毒性の強さが異なっています。そこで、最も毒性の強いものに換算した量や濃度を足し合わせた値(通常、毒性等量=TEQという単位で表現)が用いられています。
燃焼時にダイオキシン類がどのようにして出来るのか、生成のメカニズムが全て解明されているわけではありませんが、ダイオキシン類は、
●不完全燃焼により生成するもの
●排ガスが300℃前後で集じん器に流入した場合に生成するもの
以上の2つが考えられています。
ダイオキシン類は、構造中に必ず塩素を含んでいますが、塩素は燃焼物そのものだけでなく、大気中、雨水、土壌等あらゆるところに極微量含まれているため、何を燃やしてもダイオキシン類が発生する可能性があります。
家具リサイクルの現状
「家具の長寿命化に向けて?商品の長寿命化等に関する懇談会報告書」という文書があります。
ここには家具を修理する際の問題点として以下の6つ が挙げられています。
● 複合素材や塗装の問題で修理がかなり困難な製品が多く、コストもかかること。
● 製造元に修理を出すと遠隔地のため、輸送コストが高くなること。
● 修理は高度な技術が必要で、販売店では専門の修理スタッフや設備が整えられていないこと。
●部品等の保存期間が短いことや製品の規格化が困難なこと。
●新たに修理工場を建設することは環境問題等から難しいこと。
●廉価な輸入家具や通販による家具は修理せずに殆ど使い捨てとして扱われていること。
「家具の長寿命化に向けて」では家具を修理する際の問題点を提起した上で、その解決の手段として以上のことをあげ、リサイクルシステムの構築が急務であるとしています。
しかし現在の状況でリサイクルシステムを構築するのは困難であり、また大幅な廃棄家具の減量につながるとは考えにくいのが現状です。
この解決策として、そもそもの家具の買い替えサイクルを低くし、長く使用できるものを普及させていくことがこの問題のひとつの答えになっていくと家具蔵は考えます。
無垢材・無着色の家具であり、工場直営であるからこそできること。
長く使うことができ、使い込むごとに味がでてくる家具を購入して、長く、世代を超えて使い続ける。
それ自体がエコロジーに繋がっていく。
長くいいものを、時間を掛けて使うことが求められている時代です。
家具蔵ではエコや健康という側面も重要視して家具作りに励んでおります。
関連リンク
https://www.kagura.co.jp/kagu/concept-2/
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