「アフリカ材」を知る
2018.2.1
皆さんは「銘木」というとどんな木を思い浮かべますか?
ウォールナット?マホガニー?チーク?ローズウッド?
どれも世界的に有名且つ非常に希少なものであり、その価値はダイヤモンドにも例えられるほど。
そんななかで今、静かな盛り上がりを見せている「アフリカ大陸」から来た木たち。
サペリ、アフロモシア、ウェンジ、ゼブラウッド、パープルハート…。
どれも日本ではいわゆる名の知れた銘木たちに比べ、知名度は劣りますがその質・材としての確かさは折り紙つき。
今回はそんな通称「アフリカ材」がどのようなストーリーを経て私たちの前に現れるのかをお話しします。
アフリカ材の地理的背景
アフリカ材は、アフリカからやって来た木といえば簡単に聞こえますが、アフリカ大陸の面積は日本の約80倍もあり、これはアメリカ・中国・ヨーロッパ・インド・日本がすっぽり収まってしまうほどの大きさがあります。
当然のことではありますが、アフリカで採れる木がなんでもかんでも家具材になるわけではなく、その産地も限られたものになります。
地理的にアフリカ材は、ギニア湾沿いの西アフリカおよび中央アフリカの熱帯降雨林がその中心となります。
ギニア湾には、数多くの国が集中していますが、これは豊富な資源とその搬出港としてヨーロッパ列強に注目されてしまったことに由来するようです。
この辺りは胡椒海岸(リベリア)・象牙海岸(コートジボワール)・黄金海岸(ガーナ)・奴隷海岸(トーゴ、ベナン、ナイジェリア)などの別名が付けられ、その名前から歴史を紐解くことも出来ます。
現在、主な材木の産出国は、コートジボワール、ガボン、カメルーン、コンゴ、リベリアなど。
特にコートジボワールは、マレーシア、インドネシアに続いて、熱帯材輸出国第3位で、アフリカで1位となっています。
ところが、近年ではどの国も森林は後退してサバンナ化が進んでいるのが現状です。
アフリカ随一の産出を誇るコートジボワールの場合もかつては国土の60%以上の森林面積がありましたが、12%にまで減少しています。
その個体数が激減している理由としては焼畑農業による森林の開拓さや違法伐採なども原因しています。
そのため、ウェンジやゼブラウッドは国際自然保護連合(IUCN)によってレッドリストに指定されています。
林業に従事する人の減少や民族間の関係の複雑さ、インフラなども十分には整備されていない場合もあり、日本でこれらのアフリカ材を目にすることができること自体がとても貴重なのです。
日本との距離
この広大なアフリカの大地から日本にやってくるまでの道のりも平坦ではありません。
「サぺリ」の例では、この材の多くは現在中央アフリカ共和国で生産され、同国内を流れるウバンギ河からコンゴ河を運ばれ、コンゴの首都ブラザビルに集荷され鉄道で港町ボアントノアールに到着します。
その距離はなんと約1,800キロメートル。
日本列島で例えると青森から鹿児島までの距離に相当します。
そしてさらに船積みされて1,4000キロメートルの距離を数か月かけて日本にやってきます。
中央アフリカ共和国のような内陸国でなくても、近年では主要積出港から100キロメートル以内に伐採地を見つけることは困難になってきています。
日本にやって来るまでの間には、自然の驚異や海賊の出没や様々な困難が待ち受けていますが、それを乗り越えて来ていることを思うと、目の前の天板にもひとつのロマンを感じますね。
アフリカ材の歴史的背景
いわゆるアフリカ材を理解するためには、その歴史的な背景を無視することができません。
アフリカ材が日本に紹介されるようになって、まだ50年程度にすぎません。
はじめは東アフリカのタンザニア、西アフリカのガーナなど旧宗主国がイギリスであった地域に限られていました。
しかし現在では、木材輸出国はフランス語圏に多くあります。
フランスは他のヨーロッパ諸国の植民地政策とは大きく異なり、同化政策をとっていました。
現在の政府高官の多くがフランスで教育を受け、フランス人と結婚しているケースさえあります。
そのような背景を持つ人物が政府高官および指導者になったことで、その育成と再生に何十年もかかわる天然資源を扱う資質が備わったと考えられます。
日本のナラやケヤキといった有名な樹種にも様々なストーリーがあるように、そして各大陸や国ごとにその木にまつわる逸話があるように、アフリカ材にもこれだけではない、数々の逸話やアフリカという土地ならではの伝承的な話も数多く存在しています。
いまはまだある意味マニアックな印象もあるアフリカ材。
しかし、その表情や材としての性能は他のどんな銘木にも負けない魅力を放ちます。
家具蔵では、常時多数の樹種・サイズのアフリカ材を揃え、そして、その板を魅力的に輝かせる逸話をたくさんご用意して皆様をお待ちしています。
日本に、そして都会にいながらにしてアフリカの息吹に触れる。
そんな体験を是非、お近くの家具蔵で。
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