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「チェリーの秘密」

2016.5.22

皆さん、こんにちは。

ふと見上げると、桜の木がすっかりと新緑へと姿を変えて、街の景色をまた違った表情で彩ります。

鮮やかに咲いた花の色がまるで嘘だったかのようで、そうした景色を見るたびに「ああ、夏が来るなあ」と感じる毎年です。

 

今回はその桜に関連して、家具蔵でも大いに人気のある樹種「アメリカンブラックチェリー」についてお話しします。

 

アメリカンブラックチェリー(以下「チェリー」)は、北米産のサクラの中では最も有名で、属するバラ科は約100属3000種を超える樹種が含まれています。

サクラ属に含まれるウメ、サクランボ、モモ、プラム、アンズなどの果物はさまざまな品種があり、これだけでもかなりの数に上がります。

 

チェリーの木は高さ15?30mほどにもなるので、森の中でも実に堂々とした雰囲気を漂わせています。

もともとチェリーは、ネイティヴ・アメリカンたちにとって家具などの加工用というよりは、食料としての実を重要視したり、樹皮を薬として活用したりと、生活に密着した樹であったようです。

その後は、その加工性の良さにより工芸細工に使用され、中でもその手触り感・艶の美しさからパイプ材として世界各国の愛好家から絶賛されている時代もありました。

 

製材したての心材は淡い桃色をしていますが、年月の経過の中で紫外線などの影響により最終的には濃い赤褐色になり、その劇的な変化から「使い込むほどに風合いを増す」という無垢材ならではの特性を実感することができます。

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右が製作後すぐ、左が約5年を経過して表情が変化したチェリー材

 

また、緻密で手触りの良い木肌は、気品さを感じさせる一方で、自分自身の樹液を詰まらせてしまうといったような多少「おてんば」ともいえる一面もあり、大人っぽさと子供っぽさの両面を持つ女の子としての好感度が人気の要因かもしれません。

そのおてんばな一面の証として、よく小さな褐色の斑点や筋が見られますが、それは一般的に「ガムポケット」や「ビスフレックス」と呼ばれる樹液が硬質化して木の性質の一部になった現象です。

他にも、木の表面に濡れ出た樹液に集まった虫や鳥(特にチェリーの樹液は好まれるようです)が樹液を吸うために付けたキズ跡を、樹木自身の長い成長過程の間に表皮で巻き込み、自己再生した跡である「バークポケット」と呼ばれる箇所もよく見受けられます。

これら全ては、木の表情であり自然素材の証しなので、流通上は欠点とならないのがチェリーならではのことです。

有名な「さざなみ紋(リップルマーク)」と呼ばれる湖の湖面の漣を見ているような、立体的で大変美しい表情はまさしく独特で、世界中の多くの人々を魅了し続けています。

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世界の樹の中でも、華やかな色気・艶やかさを醸し出す樹は稀で、チェリーはそのなかでも頂点に君臨するといっても過言ではありません。

空間に華やかな色彩を与え、触感や視覚に官能性を与えるチェリー材。

今や世界最高の家具材の仲間入りを堂々と果たしたその名樹の魅力に皆様も是非、家具蔵の各店で触れてみてください。

スタッフ一同、お待ちしております。

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艶やかな上品な表情と、どことなく暖かみのある佇まいはどのような空間でもマッチします

 


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