理想のキッチンをつくるために –キッチンの種類を知る-
2022.3.30
これから家づくりを考えている方、リフォーム・リノベーションを考えている方にとって、キッチンをどのようなものにするのかという問題は、単に「設備を考える」という範疇にとどまらず、自分の趣味、趣向を反映したインテリア全体のことから住まい方、暮らし方というライフスタイル全体にまで関わる大切なポイントになってきました。
特にリビングやダイニングのインテリアを構成する家具アイテムは木という素材を様々な方法で多用するため、キッチンにも木の要素を取り込み、インテリアに統一感を持たせたい、というケースが増えています。
さらにキッチンのスタイルとして主流になりつつある「オープンキッチン」を考えると、「木のキッチンにしたい、出来れば質感のよい無垢材で・・」という希望はごく自然な発想かも知れません。
これから木のキッチン・無垢材キッチンを考える方のために、今回はキッチンの種類を整理してみたいと思います。
オープンキッチンとクローズキッチン
オープンキッチンは、現在主流になってきた「対面キッチン」がその代表的なものですが、キッチンとダイニングが一室に存在する、いわゆるダイニングキッチンスタイルも含める事ができます。
特徴としては、作業する人(つくる人)と食べる人、片づける人、が様々にコミュニケーションをとりながら同じ時間を過ごせる、というものです。
食事にまつわる行為や時間全体を「楽しむ」「共有する」という考え方は、これから益々大切にされ、様々なスタイルに派生していくと思われます。
一方、クローズキッチンとは、キッチンを純粋な作業の場、集中して料理をするスペースに特化させた、どちらかというと「従来の」スタイルとなります。
キッチンという場所の変化
これまでキッチンは、どちらかというと「バックヤード」という扱いにされる事が多く、その理由は現在のように多種多様の設備機器、デザインの良いキッチン家電なども少なく、家の中でも暗く涼しい場所である事が求められた事も関係しています。
そうすると、必然的に居室(リビングや食堂)とは別の性質をもった別空間として扱われ、そのような設計がされてきました。
ただ、先ほどオープンキッチンが主流になってきたと述べましたが、実はクローズキッチンも一定の需要があります。料理をする、という行為は多分に個人的なスタイルを伴うものであり、音や匂い、汚れ、見え方、といった暮らしと密接に、複雑に絡む問題をどのように扱うかは人それぞれであり、クローズにするメリットも数多くあるからです。
一方で、パブリックな空間としてのリビング・ダイニングとは分けたいけれども、家族で過ごす、または気の置けない仲間、友人と囲む食卓はキッチンと一体感が欲しい、と考える人にとっては、「ゆったりとしたクローズキッチン」の中に小さなカウンターやテーブルを設けるという派生スタイルもあります。
このように、これまでの決まりきったスタイルではなく、自分のライフスタイルに最もフィットさせた、きめ細かい設計、デザインを施されたキッチンが多くなってきた事は、私たちの住文化、食文化が成熟してきたと考える事ができます。
センスのよいレストランやビストロ、バールやラウンジで提供される、食と空間が心地よく融合した豊かな時間を身を以て経験してきた人であれば、それを我が家で実現したいと考えるかも知れません。
そしてそれを実現できる建築家や工務店、キッチンのデザイン・設計も得意とするインテリアショップの存在があれば、憧れのキッチン、無垢材キッチンの実現も夢ではなくなりました。
キッチンの代表的な形状と特徴
次に、キッチンの代表的な形状と特徴をあげてみましょう。
アイランドキッチン
キッチンが島のように、空間の中央に配置されたスタイルです。
多くの場合、作業する人の対面する方向に人の集まるスペースがくるように設計されるため、キッチンが孤立する事がありません。
反面、周りにある程度のスペースが必要となるため、コンパクトな住宅では設計上の制限も出てきます。
ペニンシュラキッチン
アイランドキッチンの左右の一端が壁に付いた形が、壁から突き出た半島のように見えることからこのように呼ばれています。
アイランドの特徴を持ちながら省スペースに出来るので、日本の住宅、マンションなどのオープンキッチンで最も採用されるスタイルです。
ただしアイランドと比べると、「行き止まり」が出来るため、冷蔵庫や食器棚との位置関係、動線には注意が必要です。
I型キッチン
キッチンの長辺が壁に面した、昔から最も一般的なスタイルです。
壁に向かって作業をする形にはなりますが、その壁に窓があり、朝日を浴びながら作業をする事ができたり、眺めのよい眺望を楽しむ事ができる可能性もあります。
また、キッチンの上部、レンジフードの隣に吊り棚を自然な形で設ける事ができるので収納力にも期待ができ、スペースを最も効率的に利用できる形だと言えます。
一方で、電子レンジやトースター、炊飯器などのキッチン家電を置くスペースについては、すっきりと見栄え良く配置するのに少し工夫が必要となります。
L型キッチン
壁に面したI型の一端が壁から離れ、ペニンシュラのようにL型になる場合と、壁の入隅にL型がはまり込む場合のどちらかとなります。
それによって様々なスタイルの良い部分を取り入れる事ができると考えられますが、ある程度のスペースが必要となります。
また、「L」のコーナー部分の収納については特殊な開閉をする金物を使用しても、どうしてもデッドスペースが生まれやすく使い勝手に制約が出る事もありますが、建築サイドで工夫をする事でコーナーをうまく活かす事も可能です。
一方で、カウンター天板上の作業スペースは最も確保できる形でもあります。
セパレート(二列型)キッチン
壁付けのI型に平行してアイランド(またはペニンシュラ)が設置され、その両方にシンク、加熱調理機器のどちらかが組み込まれた場合の名称となります。
アイランドやI型のような長さが取れない場合に採用されますが、キッチンの一連の作業がひとつのカウンター天板ではなくふたつに分断される事になるため、その使い勝手に違和感が出ないような丁寧なキッチンのデザインが必要となります。
いかがでしたか?
このように一言でキッチンと言っても、実に様々なスタイルがあります。
この中で、我が家に本当にマッチするものはどれなのか、さらにそれを木のキッチン、無垢材キッチンとして使い勝手よく実現するには、どんな工夫が必要なのか・・家具蔵ではその解決策をひとりひとりのお客様と一緒に考えて、本当に満足できるキッチンを設計・製作しています。
これから木のキッチンを考えたいという方はお気軽に相談ください。
皆さまと一緒に夢のキッチンを形にします。
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