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日本の森林事情を知る

2018.8.18

普段、我々が街で何気なく見ている木々。

こうした緑が少なくなっていることは世界規模で危ぶまれていることであり、皆さんもご存知かと思います。

また、私たち家具蔵が扱う無垢材家具をはじめ、世の中には木を素材としたものがたくさんあり、現代の暮らしではそれが無いと成り立たないものも多くあります。

今回はそんな私たちが普段触れている木が多く集まり、それらで成り立っている「森林」の事情を見ていきましょう。

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日本は森の国

 

日本の国土面積3779万ha(ヘクタール)のうち森林は2512万ha。

つまり、日本の国土の7割は森ということになります。

先進国の中ではフィンランドに次いで2番目に森林率が高く、世界でも有数の森林国と言えるのです。

国土も決して大きくはなく、総人口も1億2000万人を超える日本。

国土の7割が森林となるといかに人口が密集した状態かがわかりますね。

ただ、一言で「森林」と言っても、成立過程や樹種、所有者によっていくつかに区分されます。

 

天然林と人工林

 

さきの「2512万ha」という森林面積のうちのほぼ半分(約1300万ha)はいわゆる「天然林」です。

天然林とは自然の力で生まれ育った森林のことで、自然林とも呼ばれます。

日本の天然林の多くは家具蔵の無垢材家具でも使用する広葉樹でできたもの(広葉樹林)で、日本人の暮らしと共にあった里山や鎮守の森、あまり人が入らない奥山まで、天然林は幅広く分布しています。

尚、人の手が全く入らず一度も伐採されたことのない原生林は、日本でもごく僅かしか残っていません。

木と共存し、その資源を大いに享受してきた歴史があっての現在の暮らしでもあるため、これについては仕方ないことでしょう。

天然林、特に原生林は「一次林」とも呼ばれ、これらが伐採や火災などにより消失した後、自然の力もしくは人為的に再生したものを二次林と言います。

一方、総面積の約4割にあたる1000万haが「人工林」となっています。

その他が無立木地(「むりゅうぼくち」・・・樹木が生立していない林地)や竹林などです。

人の手で植え育てられた人工林の約9割は、スギ、ヒノキに代表される針葉樹林です。

生長が早く建築資材等に利用できるため、高度成長期に大量に植林されました。

産業が急激に栄え、人口も増えてきたことで急激に木材の需要が高まり、植えられた流れが今も強く残っているのです。

 

国有林と民有林

 

森林も日本の土地の一部なので、誰かの所有・管理が発生します。

これを「所有者区分」というのですが、それで見ると林野庁をはじめとする国の機関が所有する「国有林」が約3割、国有林以外の「民有林」が約7割となっています。

民有林は、個人、企業、社寺等が所有する私有林と、都道府県、市町村等が所有する公有林に区分されています。

民有林の中でも、近年は社有林、つまり企業が森林を所有して整備・保全・活用する動きが活発になっているそうです。

また、水源のかん養、土砂流出防備など、特定の公共目的のために伐採や開発に制限を加えた「保安林」も全国各地に分布しています。

国有林は東日本・民有林は西日本に多い分布になっており、これは歴史的な背景から未開発の土地が東日本に多かった事情もあるようです。

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増える森の「蓄積」

 

日本の森林面積の約4割を占める人工林は、年々増えています。

この「増える」というのが面積ではなく体積のことで、いわゆる「森林蓄積量」が増えているのです。

人工林というのは、本来、生長した樹木を伐採して利用することを目的につくられたもの。

伐採後はその跡地に再び植栽して育成し、継続的な再生産を可能にする循環型資源というのが本来の在り方です。

これらの人工林の多くは、昭和25年から昭和45年位の間に木造の家を建てる目的で植林されたスギ、ヒノキなどが中心でした。

特に昭和30年代には「拡大造林」という方針のもと、大量のこれらの針葉樹が全国に植えられ、当時植林された針葉樹は、40年〜60年を経た今、ちょうど使い頃の収穫期を迎えています。

ところが、現在は高度成長期ほど建材としての需要はなく、輸入材も多いことなどから、国産木材の利用量は大きく減少。

平成7年から17年の10年間でみても約3割減っています。

つまり、利用されるべき森林資源が使われずにどんどん蓄積されていることから、この「森林蓄積量」が増えているのです。

 

林業の衰退による人工林の荒廃と森林保全活動

 

森林の保育や整備を行うべき林業の衰退が進むなか、利用されずに放置された人工林は、必要な間伐などの手入れが行われないために森としての健全性が失われ、荒れた森と化してしまいます。

放置され荒廃した森では、木々の根元から土壌が流れやすく山崩れを起こしやすくなります。

また、CO2の吸収源としても、成長期の若い樹木が二酸化炭素をどんどん吸い込み大きくなるのに対し、成熟した森や手入れされない荒れた人工林では吸収能力が低下します。

森の手入れをすることは、CO2吸収源の確保や住環境の保全という点からも重要なことです。

 

こうしたことから、現在は、下刈り、間伐など人工林の適正な維持管理を目的とした様々な取り組みが全国的に行われています。

とりわけ森林ボランティアによる活動が盛んになっており、間伐や枝打ちで林床に光をいれる作業、針葉樹ばかりの一斉林に広葉樹を植え混交林として天然二次林化する植林など、森林再生のための活動が全国各地のボランティアによって推進されています。

 

私たちが普段何気なく接し、当たり前のようにある自然も当然のことながら限りある資源です。

それらはどのように成り立ち、どのような状況にあるのか。

いま、食や衣服でも「フェアトレード」という言葉が一般的になってきて、お互いが利益を得ることのできるものづくりが世界的な動きになってきています。

木も生き物であり、その恩恵にあずかって生きる私たちは限りある自然資源のことももっと知ることで、さらにより良い関係が築けるのかもしれません。

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