木材がもたらす調湿作用を知る
2018.4.10
無垢の木材はその内部に、たくさんの小さな空洞(細胞)がある多孔質という構造を持っています。
この空洞が、空気中の湿度が高い時は湿度を吸い、空気が乾燥してくると水分を吐き出す働きを行います。
木材が「呼吸している」といわれるのは、こうした調湿のメカニズムのためで、今ではわりと知られていることでもありますが、今回はその点をもう少し掘り下げてお話していきましょう。
木の調湿作用
室内の湿度は、快適性、結露やカビ、ダニなどの微生物発生の防止、家財道具や書籍などの保存の観点から、「40?70%」の範囲に保たれることが望ましいとされています。
じつは近年、快適性を狙った住宅の気密化が進むに伴って、この湿度に起因する結露やカビの発生が問題となってきています。
湿度は、調湿用設備や換気によって制御することができますが、住宅内の内装に木材などの吸放湿性に優れた材料が多く使われているとさらに室内の湿度の変動は緩和されます。
つまり、天然のエアコンというわけです。
この湿度を調節するはたらきを「材料の調湿作用」と呼んでいます。
エネルギーの節減の視点、いわゆるエコロジーの観点からも住宅は内装材料によって自然に行われる湿度制御の性能を備えていることが重要であることも多くの場で語られるようになってきました。
空気中に水蒸気として存在できる最大の水分量(飽和絶対湿度)は、温度の上昇とともに増加します。
空気中の水蒸気の量(絶対湿度)が変化しなくても、温度が変化すると、飽和絶対湿度に対する絶対湿度の比である相対湿度(湿度)は変化します。
したがって、室内の湿度が変動する原因としては
「水蒸気の発生や流入による絶対湿度の変化と温度変化」
が考えられるわけです。
例えば、6畳間全体を木材およびビニール壁紙で内装した場合の温度、湿度の変化を比較する実験では、
雨の日に窓を開けて水蒸気を流入させ、窓を閉めたあとの温度と湿度の経時変化を計測しました。
木材内装では、窓開放時に部屋の湿度は89%に達しますが、窓閉鎖後に急激に減って、約1日後に55%?60%になります。
しかし、ビニール壁紙内装では、窓開放時の湿度91%からの窓を閉めたあとの変動があまり無いことがわかりました。このことからも、木材の吸放湿性によって湿度変動が著しく緩和され得ることが理解できます。
調湿性能の評価
現在、内装に用いられる材料の種類は、膨大な数があります。
また、内装は、一般的には複数の材料の組み合わせで行われるので、種々の内装について、調湿性能を簡便に評価する方法があれば便利だ、ということで次のような方法がとられています。
それは(調査結果をもとに)「居住空間における各種材料の使用量を空間容積(気積)に対する面積の比率で表す」
というやりかたです。
スチール製の規格の箱の内面に、調質性を調べたい材料を張ります。
そして、温度、湿度センサーを内蔵して密閉し、箱の外周温度を変化させて、箱内部の温度、湿度の変化を測定する、という方法です。
この方法を用いれば、湿度の対数と温度の関係を直線で近似して、その勾配によって調湿性能が評価できる、というわけです。
0に近づくほど性能は向上します。
木材、木質ボード類、珪酸カルシウム板、畳表は調湿性能に優れた材料であり、ビニール壁紙、ポリエステル化粧合板、プラスチックタイルは、調湿性能に劣る材料であるという結果がこうした実験から出ています。
木材の場合でも、着色されると性能は低下することがこの実験から明らかになりました。
ただ、だからといってとりあえず木材や自然素材を使っていれば、空間の調質問題は解決するのかというとそうではありません。
料理時や天候などによる急激な湿度の上下動についてはやはり換気などを十分に行うことも同時に忘れてはいけないポイントです。
大切なことは適材適所という考え方と、マメで丁寧な暮らしの意識。
お気に入りの空間や終の棲家をカビやダニなどから守り快適に生活を続けるために、たいへん重要なポイントです。
室内にできる限り無垢の木材を取り入れ、その力を最大限活用できるような意識を持てば、高温多湿の夏や乾燥する冬に無垢材はその力を発揮し、快適な住環境をサポートしてくれるでしょう。
関連リンク
https://www.kagura.co.jp/point/03.html
http://kagura.sakura.ne.jp/kagura/old_img/column/other/180306100358.html
http://kagura.sakura.ne.jp/kagura/old_img/column/table/170318074937.html
参考資料
彰国社刊 小原二朗・加藤力・安藤正雄編「インテリアの計画と設計・第二版」
彰国社刊 壁装材料協会発行「インテリア学辞典」
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