無垢材家具のコーディネート術 その2
2019.6.11
無垢材の魅力は、どんな素材とも相性が良いところです。
それが、過酷な自然の中で生き抜いてきた樹の懐の深さです。
例えば、森を想像してみてください。
自然の森には、様々な樹々が生育しています。
ナラやブナ、クヌキなどたくさんの樹々や植物で構成されています。
樹は、調和する力に優れており、すべてを包み込む優しさを含んでいます。
無着色の無垢材家具は、人工的に着色された色合いではなく、樹が生きてきた歴史が刻まれます。
単色ではなく、そこには多くの色素を持った色を有しています。
だからこそ、他の素材や他の樹種との相性もよく、時には調和という潤滑油にもなってくれます。
どこかほっとする雰囲気が生まれるのは、自然がそこにあるからだと思います。
樹って不思議です。
今回は前回の続き。
無垢材家具のコーディネート術として、いろいろな組み合わせをみていきましょう。
世界最高峰・ウォールナットのコーディネート
実際の納品事例をもとに考察していきましょう。
ウォールナットは、経年変化で色素が明るくなっていく樹種ではありますが、他の樹種に比べ、やはり「濃い色合い」が特徴的です。
落ち着いたトーンは、荘厳な雰囲気を作り出し、“高級感”や“モダン”のキーワードがもっとも合います。
ウォールナットには、紫色の色素が含まれており、青や紫と相性が良いものの中にグレーと緑系が含まれます。
この場合は、それぞれのバランスにもよりますがインテリアコーディネートの視点でみると、グレーはベースカラーで、緑がアクセントカラーというのが理想です。
その観点でコーディネートされた空間(上の画像)から見ていきましょう。
自然光が降り注ぐリビングには、乳白色のタイルを貼った壁を設け、その向かいをきれいな色味のグレーで塗装。
そこにゆったりとしたソファが置かれ、インテリアが整い、好みの本が並べられればその絶妙なニュアンスをもった背景が家主のライフスタイルを品よく表してくれます。
そしてグリーンを集中的に配することなく分散させ、同色のクッションを入れることで立体感を演出できます。
また照明ひとつでも、そこにどんな暮らしがあるかで変わってきます。
個性的でマテリアル感のあるアーム式のペンダントライトは、柔らかな光で落ち着いた空間を作ります。
本を読むときには、簡単に移動できるようなフレキシビリティも併せ持っています。
すべて木のインテリアではなく、先鋭的なデザインのインテリアを入れることで、双方を引き立たせてくれます。
白木の女王・ホワイトアッシュのコーディネート
ホワイトアッシュ材は、オーク、マホガニーと並んでヨーロッパ家具を代表する木材のひとつです。
中世ヨーロッパでは「健康の木」、古代スカンジナビアの神学の中では「天国と地上の結びの木」と言われていました。
強度や粘りがあり、衝撃に強いことから野球のバットにも使用され、ベーブ・ルースのバットにもアッシュが使われました。
野球好きの方ならおなじみの樹かもしれません。
このホワイトアッシュは、全体的に清潔感が漂う白色系の色合いです。
木目は明瞭ですので、樹としての存在感もしっかり持った良材です。
「色調の淡い木でありながら、暮らしのアクセントになる樹」という表現がぴったりかもしれません。
床の色合いが濃い目の色合いでも、立体感が出て存在感があります。
ただこの存在感は、重厚感とは違い、軽快な印象を与えてくれます。
フローリングの色合いは、若干濃い色調のもので合わせていくと、より凛とした木目の美しさが映えます。
ただ空間を広く見せたいという考えで進めていく場合は、フローリングを明るい色調にすることで広く見せることができます。
この場合、アクセントとして、ウィンドウトリートメントやアクセントラグなどで、ビビットな色味を付けることが好ましいでしょう。
春夏であれば、寒色系の青系で、秋冬は暖色系のオレンジ・赤系でコーディネートするとワンランクの上の空間を作ることが出来ます。
このように、ファブリックや観葉植物でインテリアを楽しむことが出来ます。
アフリカの雄・サペリのコーディネート
サペリという木は、ご存知ですか。
ウォールナットやチェリーは知っているけど、サペリは知らないという方は多いのではないでしょうか。
このサペリ、実は今、無垢材家具の中での大注目の樹種なのです!
サペリは、アフリカの主に赤道付近のコンゴ、ウガンダ、コートジボアール、ガーナ、ナイジェリア、カメルーンなどの熱帯雨林地域などに分布しています。
樹高が50~60m、胸高直径が1.2mほどの木で樹幹も20m以上にもなる非常に大きな樹木です。
アフリカには雨季と乾季があり、雨季に多くの水分を身体にため込むので、これまで水分を抜く作業、つまり乾燥が難しいとされてきました。
近年は、原木の乾燥の技術もあがり、国内でも家具材として使われることが多くなりました。
サペリは表面に独特の美しい縞目模様があり、リボン杢や縮杢といった独特な雰囲気をもった杢もまた、魅力のひとつです。
この杢を楽しめるのも無垢材ならではです。
使い始めの色味は、赤褐色ですが、使い込むほどに、色味は濃くなり、茶褐色へと変化をしていきます。
ただ、毎日使うものなので、意外とこの変化については、知らず知らずのうちに変化していく感覚となります。
落ち着いたトーンの色調を持った樹ですので、食事の時のランチョンマットなどで色彩を入れることで、バランスが良くなります。
アフリカ系の観葉植物を入れても、統一美を楽しめるのではないでしょうか。
サペリそのものがインテリア性の高い樹ですので、季節に合わせて、ファブリックや小物など季節感を演出することで、インテリアをより楽しめることでしょう。
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