「板目」に表れる一枚板天板の魅力とは
2019.8.6
「木のテーブル」の違い
毎日の食事や団らんの場となるダイニングテーブル。
様々な材質やデザインのもののなかでもいわゆる「木のテーブル」を使っているという方が一番多いでしょう。
その「木のテーブル」にも色々な種類があります。
世に多く出回っているのが「木質系の加工材料」のもの。
例えばその代表格である「合板」はベニヤ(木材から薄く剥かれた「単板」のこと)を何枚か積層して接着したもので、その表面に化粧シートや突板を圧着し加工した工業製品を総称して「木質系の…」と呼称します。
一方、家具蔵で扱う「無垢材」は原木(丸太)から切り出したままの自然な状態の木材をさしたもの。
木の生きてきた表情をそのまますべて、ダイレクトに感じることが出来る一枚板もこれに属します。
木は本来、その木の育った環境や性格から1つ1つ木目の表情が違います。
それが木の魅力である温もりや優しさをさらに豊かにし、人の心を安心させてくれます。
「木質系材料」は均一の表情を生み、すべて同じものができあがる代わりにその部分が損なわれる点は否めません。
一方、無垢材の数ある魅力のひとつにその表情から生まれるものをおおいに享受できる点があります。
特に一枚板天板で感じることのできるダイナミックな木目や表情は、無垢材家具の醍醐味に溢れているといって良いでしょう。
今回は一枚板天板を通じてどのような表情の木目があるのか、その魅力について見ていきます。
木目とは
家具蔵では原木(丸太)の状態から材料を買い付け、テーブルやチェア、ソファ・ベッド・収納家具・キッチン・アクセサリーなどの家具を製作しています。
原木の状態から家具に生まれ変わる過程において、木を挽き、板の状態にする工程を「製材」と呼びます。
その際に表れる、年輪・繊維・導管などによる模様を「木目」と呼びます。
木目にはその樹種ごとの特徴やその木特有の表情が表れ、世界に一つだけの「顔」を見せてくれます。
木目を表現する言葉は豊富にあります
「はっきりとしている」「整っている」「落ち着きがある」「ぬくもりがある」「目が詰まっている」「さっぱりしている」「荒々しい」…。
まるで人の顔を評しているかのような表現です。
その様々な表情は、均一的な見た目が特徴の工業製品とは違う、「天然素材ならではの」楽しみです。
挽き方によっても表情の違いが生まれたり、心材と辺材によるグラデーション、部位ごとの色の変化や深みも楽しむことができます。
全てがその木が生きてきた証であり、自然が生み出したアートといっても過言ではありません。
木目の種類
木目には大きく分けて「板目」と「柾目」の2つの種類があります。
この2つの木目の違いについて見てみましょう。
●板目
丸太を上から見た状態で水平に挽くと、年輪が平行ではなく山形の木目が現れ、これを板目といいます。
板の木目が、平行に通らず、山形や不規則な波形をしているものもあり、それぞれに特徴的な表情が出ます。
●柾目
丸太の中心に向かって挽いたときに現れる、平行な木目を柾目といいます。
板目と比べて、まっすぐですっきりとした印象を与えてくれます。
板目と柾目の印象の違い
板目と柾目はその印象が大きく変わります。
木工職人は木目をその木の「生き様」と考え、何かを製作する際には木目を活かすことができるように「木取り」をしていきます。
「木取り」とは木目をデザインとして考え、家具のどこにどの木目を使うか考えながら部材を出していく作業のことです。
デザイン以外にもいわゆる「歩留まり」や繊維の向きによって強度も変わるので、非常に大切な作業です。
板目と柾目の板を切り分け、適材適所に部材にしていきます。
板目の表情は1つ1つの違いがはっきりしていて、「1点もの」といった感が強くなります。
その表情は力強く、ダイナミックで空間にエネルギーが満ち溢れるようで、その木の育ち方や性格が表れるともいわれます。
柾目は直線状の木目が整然と並ぶので全体にすっきりした印象です。
真っ直ぐに流れる木目は空間をすっきりと、「凛とした雰囲気」の空間にまとめてくれるのに一役買います。
一枚板天板における板目の魅力
そこで一枚板天板です。
この木目に注目すると、そこには板目と柾目が共存しています。
中央に板目があり、その両端に柾目が配置されるのですが、板目の力強さと柾目の凛々しさを一枚の中で感じることができ、その木のすべてを味わうことができるといえるでしょう。
特に板目の部分は1枚1枚の個性が非常に強く表れます。
板の中央にあることからその板の「顔」として、一枚板を選ぶ際の大きな要素となりえます。
真っ直ぐ育った顔、少し横に向かった顔、鋭く上を向いた顔、ふっくらと優しそうな顔…。
その表情はじつに様々。
空間との相性、自身の感性との適性、そこから見てとれる生き様と自分自身の性格との共通点。
まさしく「出会い」のように板を探していきます。
私たち家具蔵スタッフがお客様から一枚板をお選び頂いた際によくお客様から
「良い出会いがあった」「一目ぼれでした」「やっぱりこれだと思いました」
などの声を頂戴いたします。
そのように単なる「モノを買う」ことに留まらず、「パートナーともいうべき存在を家に迎え入れる」という感覚で一枚板を選ぶなかで、1つの基準となる「板目」は大きな力を持っているのです。
家具蔵では無垢材テーブルに限らず、その他の家具でも適材適所に「板目」「柾目」を使い分け、家具を製作します。
そのなかで板目の持つ大きな魅力を存分に感じることのできる一枚板天板。
このコラムを通じて木目の魅力、特に板目の持つ魅力に興味を持つきっかけになれば幸いです。
また、家具だけではなく家の中の床やドアや階段などがどのような木目で作られているか見てみると面白いかもしれませんね。
家具蔵各店でも、選りすぐりの一枚板天板をはじめ、様々な展示から木の持つ豊かな表情を見てとれます。
お近くの店舗で実際に体感してみてください。
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