日本伝統の収納家具の良さとは
2019.11.17
桐箪笥は日本の暮らしに則したもの
日本が古来より誇る伝統的な家具たち。
そもそも「ノーファニチャー」の文化が色濃かった中世までは家具といっても膳などがせいぜいで、後は収納家具などもつづらなどがある程度でした。
それらが「家具」としてかたちを成してきたのは江戸時代以降。
主に収納家具がそれに当たり、以降は時代とともに様々な種類が増えてきました。
その良さとして挙げられているのが「日本の暮らしや風土に則したものである」点です。
日本は昔から湿気が多い気候として知られており、特に梅雨などの時期は湿気だけではなく熱もこもりやすくなります。このため日本伝統の家屋は、このような湿気や熱のこもりやすい気候や風土に対処するために通気性を重視してきました(襖や障子の文化はまさにそれに当たります)。
そして収納家具も湿気対策なしで利用していると、湿気や熱によって発生する様々な事象によって衣類がダメージを受けてしまうことが少なくありません。
このような日本の気候や風土に合わせた収納家具として知られているのが、桐箪笥です。
桐箪笥は優れた保存性が最大の特徴と言われており、湿度が高くなると桐材が膨張して気密性が高くなります。
これによって箪笥内に湿気だけではなく虫が侵入することを防ぐことができ、乾燥している時には逆に材自体が収縮して通気性を良くしてくれます。
まるで呼吸をしているかのように日本独特の季節によって変化する湿気や熱に対応してくれるところが、桐箪笥の良さなのです。
さらに桐箪笥の良さは、長く使い続けることができるという点も挙げられています。
桐は湿気の吸収を防いでくれる点や防虫効果によって桐材の腐食を予防する効能があり、結果、長く使い続けることができます。
また、特に江戸時代に多かった火災に対しても熱伝導率が低く着火点が高いことから、火災が起きても桐箪笥とその中に収納されているものは燃えにくくなっているのです。
このように日本の気候だけではなくその時代や文化ならではの問題点も踏まえて作られている点こそが、桐箪笥の良いところだと言われています。
「つづら」という選択肢
ほかにも日本伝統工芸品の一つとして知られている先述の「つづら」も、実は現代で注目を集めている収納家具の一つとされています。
つづらと聞くと伝統工芸品としてのイメージが強いため、あまり家具として用いる人もいないと考えられています。
ただ外国人観光客を中心として人気を集めるようになり、徐々に家具兼インテリアとして飾る人も増えてきている傾向があるようです。
そんなつづらの良いところは、桐箪笥と同じく通気性の良いところと虫などの被害を防いでくれるところにあります。これも日本の風土や気候、そして日本家屋の特徴をもとに考えられた家具ならではの良さです。
さらにつづらの良いところは、竹細工なので軽く持ち運びがしやすい点やサイズが幅広い点です。
桐箪笥も色々なサイズがありますが、桐材で作られていることからそれなりの重さがあります。
それに対してつづらであれば竹製なので桐材よりも軽く、サイズが小さいものであれば子供でも手軽に持ち運びをすることが可能です。
またつづらは表面を塗装されているのでサイズだけではなくカラーバリエーションも豊富であることから、インテリアとして飾りやすいというメリットもあります。
これは和テイストのインテリアとして活用できるだけではなく、洋風のテイストの中に取り込むアクセントとしても人気を集めているようです。
このように桐箪笥やつづらのような日本伝統の収納家具は、日本ならではの湿気の多い気候や火事などの高熱が発生しやすい風土を踏まえた造りとなっています。
さらに当時のちょっとした遊び心やアイデアも詰まっていることから、歴史的にも家具としての機能的にも非常に良いものとして考えられているのです。
特に都心から離れた田舎や山奥の方面では今でも昔ながらの気候や風土が根付いているところも多く、そのような地域には日本伝統の家屋が残されていることも少なくありません。
そのような家屋で衣類などの収納されているものを守ることができるという点では、日本伝統の収納家具は非常に大きな意味を持っているのです。
伝統を活かした現代家具と家具蔵のモデルノシリーズ
ただこれは日本伝統の家屋だけではなく、現代にも通じる部分が数多くあります。
例えば気候に関しては以前よりも湿気が増えてきている傾向があるほか、冬などの乾燥する季節になると火事になる家屋も少なくありません。
そのような日本の気候や風土に適した造りではない海外でつくられる西洋式の収納家具だと、収納されているものを守ることが難しくなります。
以前ほど着物などの高価な衣類を収納することはなくなったものの、焼失してしまったりカビや虫食いなどのトラブルに遭ってしまうと困る収納物は少なくありません。
このような点から、日本伝統の収納家具の特性である通気性や防虫性を取り入れて現代風にアレンジされた収納家具も増えてきています。
家具蔵でも「モデルノ」シリーズではチェストなどの引出内材に桐を使用しています。
それを「インセット仕様」という、引き出しの前板をピタッと収める精巧なつくりでまとめます。
木の動きなど考えて微調整する高度な職人技を楽しむことができる定番の人気商品です。
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