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「節」の違いを知る

2020.1.24

 

 

節について


四字熟語に主要でないことの例えである「枝葉末節(しようまっせつ)」というものがあります。

「枝葉」とは幹が主要なものであることに対して、主要でない部分であること。

また、末節とは、木の末のほうの節のことで同じく主要でない部分であることの例えといわれています。

このように木材の節というとひと昔前は「欠点」とされ、できるだけ節のないところを使う傾向がありました。

近年、自然志向の方にとっては、「節ありの方が自然の木を感じることが出来る」と考えられるようになってきています。

そもそも、木材における「節」とは、どのようなものかを考えていきましょう。

木材には節が存在するのは、当然のことです。

原木から板や柱を切り出したときに現れる枝の断面が節となって現れるのですが、木材はもともと樹木として長い年月を生きていたもの。

樹木は生きていくために光合成を行い、これを効果的に行うためにあらゆる方向に枝を伸ばし、葉を茂らせ、十分な日照を確保しようとします。

つまり、節の存在は木材にとってごく自然な特徴といえます。

木の枝は、はじめは細く、だんだん太くなりますが、幹も同時に太っていきますから、この枝を元の方から包み込んでいきます。

枝は生きたままの状態で幹に包み込まれるので、これを生節(いきぶし)と呼びます。

この場合には、枝の細胞と幹の細胞とは、枝の元の方だけでなく、周りでも繋がりあっているわけですから、柱や板にした場合、節が抜けて落っこちてしまうというようなことはありません。

ところが、枝が何かの理由で枯れてしまい、そのまま幹の中に包み込まれてしまうと枝の細胞と周りの幹の細胞とは繋がっていないので、節は周りが黒く幹の材と区切られています。

このような節を死節(しにぶし)と呼びますが、死節が抜けて穴になっていると抜け節(ぬけぶし)つまり節穴(ふしあな)になります。

節に腐れが入っていると腐れ節(くされぶし)と呼ばれます。

日本では従来、節のない木材が好まれる傾向にあり、節の数や大きさは材木の美観の判定項目にもなっていて、一般に節の少ないものの方が高額で取り引きされています。

見かけの上からは、もちろん節のないものが無節(むぶし)で最高級品、少しだけ節のあるものが上小節(じょうこぶし)でこれにつぎ、もうちょっと大きい節になると小節(こぶし)になり、後は一般材です。

この銘柄は、製材品の上に印刷してあり、大工の人が材を選ぶときの目安になっています。

しかし、最近では「木に節があるのは当たり前」と割り切って、地元産のスギ等をフローリングなどの内装材に使用した住宅も多く見受けられるようになりました。

「安物」という固定観念が徐々になくなり、節の持つ自然さを積極的に活かそうという動きが活発化してきているように思われます。

そのせいか、節をデザイン的に好まれる方も増えてきて、ログハウスや子ども部屋等によく利用されているようです。

 

「節」の色々


●生節

読みは、「いきぶし」。

成長し続けていた枝が幹に包まれているものが生節です。

非常に堅く金属でできた工具や機械の刃でも欠けることがあるほどです。

このような堅い部分を切断するときは負荷がかかるのでゆっくり進めます。

削ったりする場合に材料が跳ねることもあるので、節の有無の確認を癖付け、送るスピードや刃の出しすぎにも注意しながら切削や製材を行います。

●死節

読みは、「しにぶし」

生節と逆で、枝が枯れたりして成長が止まった状態で幹に包まれていた部分です。

痩せていたり、身がスカスカの状態になっているので、叩けばすぐに抜けます。

●抜け節

読みは、「ぬけふし」

死節が抜けて穴のあいている節の跡を抜け節といいます。

生節は殆ど抜けません。

●無節

読みは、「むぶし」

木材には等級があり、節が無い材料は「無節」などといい非常に高価になります。

節の大小で価格も変わりますが、節があるからといって強度がおちるわけではありません。

●葉節

読みは、「はぶし」

3mm以下の小さな節で、且つ抜け落ちたり節の中身が動いたりしないもの。

 

 

自然の木だからこその「節」


本来、木材は工業製品ではありません。

様々な環境で生育する自然の植物です。

だから節があって当たり前、ともいえます。

節があるものとないものとを適材適所で使えばいいだけです。

家具材ならばなおのこと。

建材に使われるのが針葉樹であるのに対し、家具の多くは広葉樹を使います。

樹種によって木目や色の違いを楽しめるのが広葉樹の特徴です。

ならば節もデザインのひとつとして捉えることはできるのではないでしょうか。

真っ直ぐなキュウリだけがスーパーに並ぶ現状に、世間が少し疑問を持つようになったこのご時世に、節がある家具があってもいいのではないか。

節を自然が織りなす木のデザインとして楽しむような発想があってもいいのではないか。

節がある家具を置くことで、部屋の雰囲気が変わることを喜ぶ感性があってもいいのではないか。

もっといえば、製品だけでなく、これまでにないものをつくれば、これまでにない変化が社会全体に起こるのではないかという期待があったのかもしれません。

節の姿は、木によっても異なりますし、生きてきた環境によっても異なります。

ひとつ確実に言えることは、「生きる為、木がなしうる最大の手段」といえます。

その「生き様」のような表情を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

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