一枚板天板の「白太(しらた)」とは?
2020.4.15
みなさん、「白太(しらた)」という言葉をご存知ですか?
実は、木材を扱う人たちの業界用語ともいえる言葉なのですが、自然形状の一枚板天板を探していると必ず耳にする言葉なので知っておくとよい言葉でもあります。
白太とは?
では、実際に白太とはどのようなものなのでしょうか?
切り株など、木を輪切りにした断面図を思い描いてみてください。
バウムクーヘンのような「年輪」が思い描くのではないでしょうか。
さて、「色」はどうでしょう?
よく見ると実は多くの木では中心部分は色が濃く、周辺部分になると色が淡くなっています。
この中心部分の色の濃い部分を「心材」または「赤身」と呼びます。
そして、周辺部分の色が淡い部分のことを「辺材」または「白太(しらた)」と呼ぶのです。
この赤身と白太の特徴の違いは平たく言うと、「成長している部分かどうか」ということにあります。
赤身の部分は、生理活動の減った細胞の集まりです。
主に幹を支える役目を担っています。
一方、今回の主役である白太は赤身の外側を取り巻きながら、樹皮との間にある成長する生理活動中の細胞が集合した組織です。
赤身の部分を樹の「骨」とするなら、白太は血管に相当する部分で、そのなかは樹液が多く、水分や栄養分を運んでいます。
赤身と白太の色味の違いは、樹種によって明瞭なものもあれば不明瞭なものもあり、一様ではありません。
また大木(老木)になればなるほど、成長が緩やかになり白太の部分は少なくなっていくものなのです。
白太は家具蔵の無垢材家具のどこに使われている?
では、このような特徴を持つ白太は、家具蔵の無垢材家具のどこに使われているでしょうか?
家具蔵では「無垢材テーブルヴィンテージ」「無垢材テーブルネイチャーII」「無垢材コーヒーテーブルヴィンテージ」「無垢材コンソールテーブルヴィンテージ」にこの白太が使われています。
これらの商品に共通するポイントは、「耳付きのテーブル」ということ。
ここでいう「耳」とは何でしょうか?
人の耳、ウサギの耳、ロバの耳…。
これらは辞書でいうところの「聴覚」をつかさどる器官となります。
辞書で調べると耳にはもっと違う意味もあって、織物・紙類または食パンなどの「縁(フチ)」というもの。
無垢材テーブルで用いられる耳とは、この紙類やテーブルの耳と同じでテーブルの縁のことで、特に長方形の長い方の縁を指します。
したがって、テーブルの縁に白太(辺材)をあえて使ったのが耳付きテーブルとなるのです。
適材適所の白太
無垢材テーブルの耳に白太が使われているのですが、それがなぜ適材適所なのでしょうか。
前述のように赤身と樹皮の間ということですので、白太を使う場合は樹皮を剥ぎ落とします。
樹皮を残したままにしておくと、この樹皮を食べ散らかす輩(=虫など)が入り込んでしまう可能性があります。
ただ、自然形状を残すためには、手作業で樹皮を剥かなければならないので、とても重労働です。
なぜ、わざわざ手作業で樹皮を剥いているかと言えば、機械で樹皮を剥がすと耳にしたい白太まで削ってしまうことになるので、なるべく自然形状に近い形状を残したいという想いからです。
完成品の無垢材テーブルヴィンテージを触っていただければ実感していただけるのですが、この耳の触り心地が一番の癒しポイントになるのです。
白太の入った耳付きテーブルをお届けしたお客様とお話しすると、
「家に遊びに来た人は、みんなココを触っていくんだよね」
「私もついつい、気が付いたら撫でているね」
とニコニコの笑顔でお話しくださる方がたくさんいらっしゃいます。
自然形状だからこその「ゆらぎ」が耳(白太)にはあって、ゆらぎを直に手で触れることで癒し効果が得られるのでしょう。
白太でコーディネート
無垢材テーブルに限らず、自宅や新居で家具をレイアウトする際に、フローリングなどの建具の色と合うかどうか、は大きな悩みのポイントです。
白太(耳)付きテーブルは、自然形状の醸し出す存在感の他にも「コーディネートがしやすい」という利点もあります。
例えば、テーブルと床が同樹種の場合です。
フローリング材はウォールナット材と決まっている空間に、ウォールナット材の無垢材テーブルを取り入れたいというケース。
「床材とテーブルが同樹種だと、メリハリが出なくてぼやけてしまわないだろうか?」
と心配するかもしれません。
そこで、ウォールナット材の白太(耳)付き無垢材テーブルの場合、赤身の部分は青紫から赤紫といった濃い色素ですが、辺材にあたる白太は、灰紫色から乳白色へのグラデーションになっています。
同系色から明るくなる色のグラデーションが、同樹種の組合せの中にアクセントを与えメリハリが出て無垢材家具が美しく浮かび上がります。
また、逆にナラ材などの明るめの素材にウォールナット材を合わせる場合にメリハリが効き過ぎてしまうのでは?
という心配も無用です。
乳白色へのグラデーションがそのまま、フローリング材のナラ材に移り変わっていくので、濃い色素のウォールナット材がとてもナチュラルに空間に馴染むことができるのです。
家具蔵では、ベストな状態で残すことが難しい白太でも、この白太が活かせる樹種であれば可能な限り活かしたい、
樹の自然な形状を身近な家具で楽しんで触れていただきたい、このような想いから、原木仕入れにこだわっています。
家具蔵の各店にお越しの際は、白太(耳)付きのテーブルの耳を撫でてみてください。
きっと、心地よい癒しの時間を過ごしていただけると思います。
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