「ノックダウン方式」のメリットとは
2020.10.16
自宅への家具の搬入という問題
家具を選ぶ際のポイントとして、皆さんはどこをポイントとしますか?
素材や形、色や使い勝手…、様々あるでしょう。
しかし、それがどんなに素敵な家具だとしても、もし目的の空間に搬入ができなかったらどうでしょうか。
実は「自宅に搬入できるかどうか」これは家具選びにはとても重要なポイントなのです。
現代では、昔と比べて高層建築物も多くなりました。
そのなかには「ペンシルマンション」といわれる細長い建築もあり、また、いわゆる「狭小」と呼ばれるような戸建住宅で2階・3階が生活の空間になるケースも増えています。
そうした空間は総じて室内の廊下・階段の幅が狭いことも多く、家具の寸法だけではなく搬入方法にも気を配らなくてなりません。
マンションなどの集合住宅であれば、まずはエレベーターに搬入できるかどうか、戸建てであれば階段からお部屋に搬入できるかどうかを確認すべきです。
もし搬入出来ないとなると外から吊り上げなくてはなりません。
そこで皆さん、家具を購入した際に完成された状態ではなく、パーツが分けられて運ばれていた記憶はありませんか?
これは「ノックダウン方式」と呼ばれ、家具メーカーはこの方式により難しい条件の物件への搬入、そしてコストダウンを可能としたのです。
今回のコラムでは、そのノックダウン方式についてご紹介していきたいと思います。
ノックダウン方式の歴史
「ノックダウン」という言葉は、ボクシングなど格闘技で良く聞く言葉です。
元々の意味は「モノを壊す、人を打ち倒す」という意味で使われるもの。
そこから転じて
「機械や家具が容易に分解・組み立てができる状態になっていること」
または
「部品を輸送し現地で組み立てる事」
などを指す言葉へと変化してきました。
この「ノックダウン方式」を最初に取り入れたのは自動車業界だと言われています。
日本では1925年からノックダウン式での自動車の生産がはじまりました。
当時の日本の技術水準では、精度の高い部品を製造することができず、部品は海外から運びこみ、組み立て作業のみを日本で行っていたと言われています。
これが後に「ノックダウン方式」と呼ばれるようになりました。
また、ノックダウン方式を取り入れたのは、自動車業界だけなく建築物も同様です。
完成された住居や商業施設がそのまま運ばれてくることはありません。
長い年月を掛けて無数の資材から組み立てていくのです。
このノックダウン方式が確立したおかげで、今では様々な大きさの建造物が建てられるようになりました。
電車や船舶、飛行機などの大型の輸送機にも同様に採用されています。
ノックダウン方式の家具の特徴は?
一番のメリットとはして、搬入が容易にできるようになったことです。
ソファやベッドなど大型の家具はもちろんのこと、テーブル一つとっても同じことが言えます。
例えば、テーブルと脚が固め込まれて一体になっていたら、エレベーターに入らない・階段でつっかえてしまう、など多くの問題が発生しかねません。
そしてコストを抑えられることも大きなメリットの一つだと思います。
完成された家具と比べるとコンパクトな状態での配送・搬入が可能で、配送費用の負担が軽減されます。
分解できず、もしクレーンでの吊り上げが発生してしまったら、高額な費用が発生してくるでしょう。
一方で、安価な家具には自身が組み立てるものも多いため、職人が工場で仕上げた完成品や、造り付け(システムキッチンなど)のものよりも強度が劣り、完成度にも差が出ます。
また、組立てには当然時間がかかり、複雑なもの、別途工具の必要なノックダウン家具も存在します。
慣れていない方には意外とハードルが高く、また、不具合が生じた結果、事故に繋がる場合もあるので注意が必要です。
家具蔵のノックダウン方式(無垢材テーブルの場合)
家具蔵の無垢材テーブルでは、ノックダウン方式を採用しています。
ノックダウンといっても、搬入から設置まで全て配送担当が行うため、お客様自身で組み立てるわけではありません。
作りは天板と脚が独立しており、そこをジョイント出来るよう設計されています(固定式もあります)。
メリットとしては、まず、搬入が容易で配送費用も固定式と比べると安く済む点が挙げられます
さらに脚の付け替えが可能になります。
ダイニングテーブル用の長い脚と座卓用の短い脚を揃えておくことで、シチュエーションに応じて付け替える事が可能です。
ここで重要なのは、その接合部分の作りです。
家具蔵では、一般的なねじ込み式のジョイントとは全く異なる、六角レンチを使用するレッグジョイントを採用しています。
土台が丈夫でも、接合部が弱ければ長年使い続けることは出来ません。
ノックダウン方式の仕様ひとつをとっても、メーカーにより様々です。
接合の仕方や接合部の材料など、細部までしっかりと見ることをお薦めします。
家具は一度購入すると、数十年使う場合がほとんどです。
それが無垢材家具であれば、その耐久性も折り紙つきですから尚更です。
家具とは私たちの生活に常に密接に関わっており、家具がなければ日常生活を送ることはできません。
だからこそ、しっかりと時間を掛けて吟味する事が大切です。
また、それが家具選びの醍醐味ともいえるでしょう。
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