チェリーのダイニングチェアで得ることのできるメリットは
2020.9.7
目次
家具の中で最も密接な関係にあり、日々体感し、目にするもの、それはダイニングチェアです。
そんなダイニングチェアを選ぶとき、みなさんはどこを基準に探しますか?
形状や座り心地、色、素材などなど選ぶポイントは様々です。
今回のコラムではその「素材」にスポットを当て、家具蔵でも特に人気の高い「アメリカンブラックチェリー」、いわゆる「チェリー」でつくるダイニングチェアをご紹介していきたいと思います。
アメリカンブラックチェリーとは?
アメリカンブラックチェリーは主にアメリカの東部全域に生息していて、科目はバラ科でサクラ属の広葉樹にあたります。
色調は、辺心材の区別は明瞭で、辺材は黄白色から乳白色、心材は淡い高褐色から濃い紅褐色を呈します。
また、後に説明しますが、アメリカンブラックチェリーは使い込むほどに飴色へ経年変化を遂げ、味わい深くとても温かみのある色へと移り変わります。
木質はやや軽軟で加工がしやすく、木肌は緻密で滑らかな肌触りでどこか優しさを感じさせてくれます。
このアメリカンブラックチェリーは、通常多くの場合で「チェリー」とだけ呼ばれます。
チェリーは樹液が多い為、樹脂痕による黒い斑点や筋状の模様が入り、木そのものの力強さが感じられます。
アメリカンブラックチェリーのキャラクターマーク
人間や動物にはそれぞれ、顔の形や肌の色、ほくろの大小・数や場所も違えば、体格や歳、性格も違います。
無垢材にもそれぞれ固有の特徴があり、それは個体の持つ『個性』であり同じものは二つとありません。
チェリーは過酷な環境で育つため、様々な「個性=キャラクターマーク」が現われます。
●ガムポケット、ビスフレックス
チェリーの特徴として「ガムポケット、ビスフレックス」というものが挙げられ、こちらはチェリー材特有のキャラクターマークです。
樹木の成長段階において細胞の隙間に滲み出る樹脂が固まって出来たものを「ガムポケット」、立木の時に導管に有機物が堆積して出来たものを「ビスフレックス」と呼びます。
●バークポケット
木の表面に濡れ出た樹液に集まる虫や鳥たちが樹液を吸うために付けたキズ跡を、樹木が長い成長過程の間に表皮で巻き込み、自己再生した痕を「パークポケット」と呼びます。
アメリカンブラックチェリーの代表的な杢
木材の木目・木理のうち、柾目とも板目とも違い稀に現れる複雑な模様のものを指します。
その希少価値や審美的価値から珍重され、原木の中で生ずる局部的なねじれや湾曲のある箇所、または瘤の部分などを切り出した際に現れます。
●さざなみ紋(別名:リップルマーク)
樹木の生長の過程や気候の変化による縮みや、放射組織や構成要素の配列によって生じます。
見た目は、川の流れのように緩やかで、少し光沢があり、角度によって様々な表情を浮かべます。
チェリーの他にもトチやカキなどにも見られ、さざなみ紋の現れるものは銘木と呼ばれ、家具やテーブルの天板、床の間の地板としても賞用されてきました。
チェリー材の経年変化
広葉樹の中でも特に経年変化が激しい樹種として有名です。
初めは桃色がかった色としていますが、光の影響により日を追うごとに光沢を伴う飴色に劇的変化を起こしていくのが特徴です。
チェリー材の無垢材ダイニングチェア
チェリーは様々な生き様を木目に残すので、独特の存在感を醸し出し、時を重ねじっくりと楽しむことができる木材として、世界的に高い人気を集めています。
冒頭でもお話したようにダイニングチェアは家具の中でも一番密接で切っても切り離せないパートナーとでも言うべき存在です。
それでは、そんなダイニングチェアをチェリー材、それも無垢材で作るとどんなメリットが生まれるか見てみましょう。
●肌触り
チェリー材はすべすべとした心地よい手触りの木材です。
木の触り心地は導管の太さや配列で決まります。
(導管とは樹木の中の水が通る管のこと。)
導管の太さは木によって異なり、製材された木材の表面に切断された導管は並んでいます。
導管が太いとザラついた手触りに、細いと滑らかな手触りになります。
また、導管の並び方は環孔材(導管が環状に並んでいるもの)と散孔材(導管がランダムに点在するもの)の2通りに分かれます。
前者は導管が太く後者は細くなり、チェリー材は導管の細い散孔材であることから、木肌はすべすべと、とても滑らかな木肌を持ちます。
アームチェアなどでは特にその優しい木肌を感じられるはずです。
●色合いと経年変化
チェリーの木目や色調は主張しすぎることなく、どんな空間にも美しく調和します。
光を程よく抑え、人とモノの間に見えない架け橋を渡し、安らぎに満ちた温かい空間を作り上げます。
また、年月を経た木の家具は、成熟するにつれて「時間の色」とでも言うべき独特の味わいを醸し出します。
艶やかさを帯びていくその木肌は、手に触れ、腰を掛けるごとに、使う人の心と身体にしっくりと馴染んでいきます。
●耐久性
チェリーはバラ科サクラ属の広葉樹に分類されます。
広葉樹は組織構造が複雑で、密度が高く、重さがあるため衝撃にとても強い木材です。
中でも心材は水に強く、腐食しにくいのでウィスキーやワインの樽に使われていることも有名です。
何を重視すべきか
ダイニングチェアはほぼ毎日のように使用するものです。
何よりも大事なのが利用者の体型にあったサイズのものであることです。
これは座りやすさと言い換えても良いでしょう。
人の身体は丸みを帯びています。
その身体に直接触れるものであるため、その造形が曲線を活かしたものであるほうが座りやすいことは明白です。
例えば家具蔵の無垢材チェアの座面は非常に深く削り込まれています。
これが臀部から太股にかけて着座時の体圧を分散し、板の座面とは思えないほどの優しい座り心地を生み出しています。
チェアのサイズは、横幅・奥行・全高・座面高の4つの長さで表されることが一般的です。
このなかで最も重要となるのは、座り心地にもっとも影響する座面高です。
ポイントは、実際に座ってみて足の裏がしっかり床につくかどうかを確認することです。
足が宙に浮いてしまうようだと、荷重のバランスが偏り疲れやすくなってしまいます。
そのうえで大事なのはテーブルの天板高殿とのバランス=差尺です。
足の裏がぴったりつき、同時にこの差尺が適正であると居心地良く、作業性の良いダイニングとなります。
なお、国内の標準的なチェアの座面高はだいたい42センチメートルから43センチメートルのものが主流です。
このバランスが合っていないと作業性が良くないだけでなく、姿勢が乱れて腰痛の原因となることもあります。
デザインが気に入ったからといって自分に合わない、もしくは手持ちのテーブルと高さの合わないチェアを購入することは禁物です。
ダイニングは近年、その用途が多様化しています。
食事だけではなくそこでゆっくり過ごしたい、という人はアーム=ひじ掛けが付いているかどうかもポイントの一つです。
アーム付きのもの、アーム無しのもの、どちらもそれぞれ良さがありますので、まずはダイニングでどのように過ごしたいかをイメージして、もしくは販売スタッフに聞いてみて選ぶとよいでしょう。
そして無垢材でつくるものなら「無着色」で仕上げるものを選ぶべきです。
無着色、つまり素材の色そのままでつくられるチェアは傷が目立ちません。
いわゆる「着色もの」は傷がつくと下地が露出し、その風合いを損ないます。
木目の美しさを活かし、傷も目立たなくすることでインテリアとしても道具としても長く愛してもらうことのできる無垢材チェアとなるのです。
数ある銘木の中でもチェリーは、とても表情が豊かで手触りも良く、劇的な経年変化を起こすことから、家具を育てる喜びと一緒に年を重ねていく楽しさが感じられると思います。
家具蔵各店でも、そんなチェリー材で作られたチェアを数多く展示していますので、お近くの店舗にて実際に目で見て手で触り体感してみて下さい。
きっと、チェリーの持つ温もりや風合いを肌で感じ取っていただけるはずです。
家具蔵のチェリー材でつくる無垢材家具のある暮らしの事例はこちらから
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