無垢材テーブルができるまで
2020.9.17
無垢材テーブル、木質テーブル、木目のあるテーブル、木の色に塗装したテーブル、
これらは一般的に総称して「木のテーブル」と呼ばれています。
こういった「木のテーブルの違い」はご存知でしょうか?
総称は同じでも素材、作りは全く違うものです。
木のテーブル、すなわち木目のあるテーブルの材料を簡単に分けると、「無垢材、天然木」と 「木質系の加工材料」の2種類があります。
無垢材は乾燥・加工に時間と手間がかかります。
木を知り尽くし、木を扱える熟練の職人でなければ、木の動きを読むことができません。
従って、扱いが非常に難しく、かつ現存する保有数からも極めて希少性の高い材料です。
一方、木質系加工材の代表である合板は、大量生産が可能で扱い易く、同じものを安価に作ることを目的としています。
合板とはベニヤ(木材から薄く剥かれた「単板」のこと)を何枚か積層して接着したもののことです。
今回は、そのなかで無垢材テーブルができるまでの過程を見ていきたいと思います。
伐採
厳しい自然環境の中で、何十年何百年と生き抜き、大きく育った木をテーブルに使用します。
伐採は主に秋から冬にかけて行います。
樹木の活動が落ち着き、幹の中の水分や樹液が少ない状態になるのを待って伐り出されます。
これは虫食いや腐れ、木材になった時の狂いを防ぐためです。
伐り出す瞬間はまるで厳かな儀式のようです。
こうして山からおろされた原木の中から、厳しい職人の目にかなったわずかな良材だけがテーブルになることができます。
原木買い付け
最高のテーブルを作るには、最高の原木と出会わなければなりません。
山からおろされた原木は、目利きの職人が現地まで赴き、太さや節の有無、年輪の幅、曲がりの大きさ等を丸太の状態から見極めます。
地面と接している部分もしっかり確認するため、大きな原木を動かします。
長い年月をかけて成長してきた木は外からはなかなか分からない内部の割れや腐れがあることが多いので、慎重に隅々までチェックしていきます。
そのような厳しい目利きの中で、職人の目にかなうような状態の良い材と出会えることはごくわずかです。
そうしてようやく出会った原木を見つめ、どのようなテーブルになるかと思いを巡らせながら買い付けをおこなっています。
製材
製材前に、丸太の皮部分についた土や小石をよく掃き落とします。
製材時に、刃の切れ味によって材の良し悪しが決まってしまうため、小石などが刃に当たってダメにしてしまわないようにするためです。
ウォールナットには散弾銃の弾丸が埋め込まれていることもあるといいます。
そのまま製材機の刃に散弾銃の弾丸が当たってしまったら、刃が欠けて一瞬で使い物にならなくなってしまいますから、細心の注意を払う必要があります。
丸太のコブ、ナリの状態で木の性質を見極めることも大切です。
木目を予測しながら板の厚み・角度を決め、慎重に挽き方を決定します。
丸太の向きが変わるだけで板の表情が大きく変わってしまいますし、その後の乾燥工程による反り等にも影響を及ぼす為、家具になるのかただの木屑となるかは製材次第と言えます。
熟年の職人でさえ手に汗を握り現場には緊張感が漂います。
職人の経験と勘が、その木の運命を左右するのです。
乾燥
製材された板は光や風にさらされながら、自らに蓄えた水分を発散します。
含水率が12~13%になるまでゆっくりと自然乾燥させるのですが、この期間は、板と板との間に桟棒を入れ積み重ねて保管します。
これは板同士が重なっていると残った水分で腐ったり、乾燥度合いにばらつきが出たりしないようにするためです。
この自然乾燥を行うことで、ほとんどの板は割れが入ります。
割れた部分を除き、幅広に耐え抜いた強い部分を使用する事で、安心して長年愛用できるテーブルになります。
さらに、木が現代人の気密性の高い室内で、エアコンや床暖房などにさらされることを考慮し、含水率が6~7%になるまで機械乾燥と養生をおこないます。
木取り
乾燥を終えた木材は、木目の流れや節の状態を読みながら、天板にふさわしい箇所や脚にふさわしい箇所を選び抜いていきます。
その際にテーブルだけでなく、チェアやボード等他の家具を製作する部材も考慮しなければならないので、木目を考慮しながら、材料を無駄にしないように木取ることはとても難しく、それはまさに熟練の職人だからできる技です。
この工程でテーブルの表情が決定します。
仕上げ
素材の持ち味を十二分に活かすのが職人の誇り。
木の材質や自然形状に合わせていくつもの道具を自在に使いこなします。
例えばカンナ掛け一つにしても、削る場所や木材に合わせて大小数種類を駆使。
生産性を重視して機械化が進む中、あえて手仕事でこの工程をおこなう理由は、実際にテーブルを触れることで知ることができます。
また、カンナ掛けで滑らかにすることで、木の種類による質感の違いを損なうことなく、表現することができます。
どこを触っても滑らかで、思わず両手いっぱいに撫でまわしたくなる触り心地。
天板の表面からは木のごつごつとした強さより、すべてを包み込む温かさを感じることができます。
立木の状態からいくつもの工程を経て、無垢材テーブルが作られています。
「100年生きてきた木を使わせてもらうのだから、少なくとも100年以上愛用できるテーブルを作らなくてはならない。」
と家具蔵では考えています。
家族や友人が集まるお住まいの中心的場所に無垢材テーブルがあることで、温かく居心地の良い空間になる、そうも考えています。
楽しい思い出を刻んでいけるような無垢材テーブル。
ご興味があれば、家具蔵の各店でお気軽にその良さを体感してみてください。
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