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「チェリー材」の特徴は

2020.9.28

 

 

チェリーは、古くから家具や建材など幅広い用途で世界中から愛されている樹種です。

私たちにもなじみの深い、いわゆる「サクラ」の一種であり、一般的に木材として使用されるのはブラックチェリーとなります。

ここでは世界中で数多ある木材の中でも特に人気が高い「チェリー材」の特徴について詳しく解説していきます。

 

 

「チェリー材」とは「アメリカンブラックチェリー」のこと


チェリーとは、家具蔵では「アメリカンブラックチェリー」のことをさします。

樹皮が黒々としていることからブラックチェリーと呼ばれるようになったとされます(諸説あり)。

アメリカンブラックチェリー材の産地は、おもに北米東部の全域ペンシルバニア、バージニア、ウエストバージニア、ニューヨークなどの各州に及びます。

バラ科サクラ属の広葉樹で、同地域には約30品種のサクラ類が存在しますが、その中でもアメリカンブラックチェリーは絶大な人気を誇ります。

アメリカンブラックチェリーはパイプ愛好家にも使い込むほどに風合いが増すと根強い人気があります。

もちろん無垢材家具でも絶大な人気の木材なのですが、なにがそこまで人々を魅了するのでしょうか。

 

なめらかな手触り


チェリー材で作られた無垢材テーブルの表面を触るとほとんどの方が、

「スベスベで気持ちイイ!」

と感じることでしょう。

様々な樹種で作られた無垢材家具を触り比べてみると、触り心地が違うことがわかります。

この樹種によって違う触り心地は、道管という地中から水を吸い上げるための管の配列などが関連しているのです。

人が木の触り心地を判断するのは、手のひらや指の皮膚感覚です。

チェリー材や、他にはハードメープル材など表面がスベスベする樹種はこの孔(道管)が散在している散孔材なので、皮膚の感覚では孔(道管)のエッジを感じにくくなり、スベスベすると感じるのです。

逆に孔(道管)が年輪(環)に沿って規則正しく配列される材を環孔材といってケヤキ材やナラ材などが代表的な樹種です。

孔(道管)が密集していると、人間の皮膚の感覚でも凹凸を感じることが出来るのです。

これが触り心地の理由です。

チェリー材は環孔材のようなハッキリと道管を感じるものとは違い、かすかな凹凸を無意識に感じることによって、癒しがもたらされているのです。

無垢材テーブルの表面や、無垢材アームチェアのアーム部分など、チェリー材で作られているとついつい撫でていたくなるのも当然の反応といえるでしょう。

 

優しい木目


チェリー材の無垢材家具の魅力のひとつに優しい木目を挙げる人も少なくないでしょう。

それも、使い込むほど時間が経つほどに木目の表情が優しくなるので、住まいにも馴染んできたな、という印象を享受しやすい樹種でもあります。

実は、この木目も先ほどの道管が影響しています。

木目とは、年輪の模様のことですので、道管の配列や特徴によってその模様は変わるのです。

年輪に沿って集中して配列する環孔材の場合、道管によって木目が際立って見えるので、力強い表情の木目になりやすいのです。

一方でこのチェリー材など散孔材は道管が散らばっていることで、年輪が強調されるというよりも柔らかい印象の優しい木目となるのです。

家具にするための素材としては、他の素材との調和ということも大切な要素です。

チェリーの優しい木目は、他の素材とも合わせやすいので、コーディネートしやすいことも人気の理由となっています。

 

杢目とキャラクターマーク


樹が成長する過程で、内的・外的の様々な影響を受けた証が材の表面に模様(杢)として現れることがあり、それを杢目と呼びます

ナラ材の虎斑杢(トラフモク)やケヤキ材の玉杢、メープル材やウォールナット材の縮杢など様々な種類の杢が現れます。

その成り立ちは、様々で時にはその杢が希少性や意匠性から珍重されることがあります。

チェリー材の代表的な杢というと、リップルマーク(さざ波紋)です。

穏やかな池の水面に風や水の流れによって生じる波のようなウネリ模様。

その模様のことがリップルマークです。

チェリー材に現れるリップルマークは、見る位置や角度(光の当たる角度)によって波模様が立体的に見えたり、色の濃淡が逆転して見えたりします。

朝食の時に朝日の自然光で見る表情と、夜仕事から帰ってきて真上から照明で照らされた表情とでは趣が変わって映るのといった面白い特徴はチェリーならではでしょう。

また、木々の表面や内部に点在する「模様」をキャラクターマークと呼びます。

キャラクターマークとは天候や生息地の条件、自生時の成長、動物や野鳥の干渉など様々な要因によって生み出される木の個性のことです。

木材の種類によってこのキャラクターマークは異なり、チェリー材においては「ガムポケット」と「ピンノット」が特に多く見られます。

ガムポケットは木の表面に見られる黒い斑点や線であり、樹齢の高い木によく出現するキャラクターマークです。

この黒い点や線は樹脂であり、樹木が成長する際に細胞の隙間に染み出て一定期間の後に固まったものです。

ピンノットはいわば小枝が生える前の痕跡。

チェリーは非常に立木の際の動きが大きく、枝葉を大きく広げます。

そのことからこういった模様が生まれ、これはチェリーを語るうえでは欠かせないものであり、まさしく個性なのです。

 

劇的な経年変化


数ある樹種のなかでも、その色合いの変化の大きさではチェリーは一、二を争います。

その変化は早く、まさに劇的。

当初チェリー材の色合いはほんのり赤い、穏やかなものです。

しばらくすると色味が濃くなり赤みを増してきます。

1年ほど経過した頃には、いわゆる皆さんがイメージする「チェリー材」の色合いです。

おおよそ3~5年で色の変化は落ち着きますが、その変化はいわば暮らしと記憶の色。

新しい暮らしを始めるようなタイミングで選ぶにはぴったりの樹種かもしれませんね。

 

北米を代表する世界的な銘木、アメリカンブラックチェリー。

手触り良く、個性的な「自分だけの」表情や劇的な色合いの変化も、愛着を掻き立ててくれます。

長く使うことで良さが増す無垢材、無着色の家具の良さをそのまま体現するチェリー材。

家具蔵各店でも数々の展示でその「良さ」を味わうことができます。

 

チェリーの無垢材家具のある暮らしの事例はこちらから

 

 

 

 


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