いま注目の一枚板テーブルに使う木の種類は
2021.1.5
無垢材テーブルの中でも根強い人気があり、年々注目度が上昇しているのが一枚板テーブルです。
「一枚板=テーブルの最高峰」
とまで言われるようになって、一枚板ということがブランド化されるようになりました。
では、なぜ一枚板テーブルがテーブルの最高峰と言われるようになったのでしょうか。
一枚板テーブルとは
そもそも、一枚板テーブルとはどういうテーブルでしょうか?
当たり前と言われるかもしれませんが、継ぎも接ぎもない適切なサイズの無垢の木材で作られたテーブルのことです。
お気づきでしょうか。
ここに重要なキーワードが隠れていたのです。
そのキーワードが「適切なサイズ」という言葉です。
ダイニングテーブルとして使い勝手の良いサイズ=適切なサイズにするためには、それだけ大木が必要となります。
奥行900ミリのテーブルを製作するのであれば、幹の直径がそれ以上の大木が必要です。
樹木の中心部分は髄(樹芯)というものがあり、強度や耐久性の観点からこの部分はテーブルには使えません。
一番広く使えそうな部分が利用できないので、中心部分をずらしても900ミリを確保できる原木となると、自然界ではとても希少な存在なのです。
樹種によっては、樹齢100年を超えても、一枚板が取れる太さにまでならない。
もしくは、自然界の生存競争によって他の樹種や若い樹木に敗れてしまうことも。
一枚板になれる樹は、その素質があって競争に勝ち残れたものだけなのです。
一枚板で見かける樹種
では、一枚板テーブルはどんな樹種で作られているでしょうか。
代表的なところで、ケヤキ、クス、ナラ、トチ、ウォールナット、サペリ、モンキーポッド、ブビンガ、などでしょうか。
思いつくままに挙げてみましたが、生育地もバラバラで、バラエティに富んだ顔ぶれになっていますね。
日本を含む東アジアに生育するケヤキやナラ、クス、トチ、北米のウォールナット、アフリカのサペリやブビンガなどなど。
日本にも生育しているケヤキやナラ、クスといった樹は神社仏閣でも目にすることが出来、圧倒されるその姿に息をのんだ思い出がある人も少なくないのではないでしょうか。
ウォールナット材は、アメリカンブラックウォールナットやクラロウォールナット、ヨーロピアンウォールナットなど北米やヨーロッパの比較的寒い地域に生育します。
サペリやブビンガなどアフリカ材の多くは、アフリカ大陸の赤道付近、熱帯からやってきます。
生育する地域によって、もちろん気候も違いますし、気候が違えば土壌の性質も変わります。
日本に育つ樹は、四季を何度も何度も体験し年輪を刻みますが、熱帯地域で育つ樹は年輪ではなく生長輪としてその歴史を刻みます。
それによって生まれる表情は、十人十色、千差万別。
だからこそ、一枚板には魅力があって、天板との出会いが運命とも言えるのでしょう。
少し、代表的な樹種について、お話しましょう。
ケヤキ
ケヤキ材は、心材は黄味を帯びた紅褐色、辺材は灰白色で木目も美しく和箪笥や一枚板のテーブルなどの家具にも多く使われています。
その人気の理由のひとつは、非常に装飾性の高い木目模様が現れることがあるからです。
高樹齢のケヤキを製材すると稀に如鱗杢や玉杢・泡杢といった杢が現れて、珍重され高値で取引されることがあります。
しかし、そのような美しい杢が形成される長く生きたケヤキほど、深く根を張り、枝を長く伸ばし、風雨から身を守り、たくましく生きようとしたエネルギーが体内に蓄積されているので、伐採してすぐには使うことができないので、より長い時間をかけて乾燥を施してあげる必要があります。
そうした、長期間の乾燥を経て熟練の職人の手によって仕上げられた家具には、日本人の心を魅了する美しさが宿るのです。
クラロウォールナット
クルミの実る木の一種、クラロウォールナット。
クルミは、人類が初めて食べた木の実と言われるほど、太古の昔から食用として私たちの身近な存在でした。
そんなクルミを人類は、進化と共に品種改良という手段を使って、
「より美味しく、大きく食べ応えのある大きさに、それでいて収穫しやすいようになったら」。
と試行錯誤を繰り返す中で、生まれたのがクラロウォールナットです。
北米産のアメリカンブラックウォールナットを台木にヨーロッパ産のイングリッシュウォールナットを接ぎ木して生まれました。
残念ながら食用のクルミとしては、人気が出なかったようで、いつの間にかその存在自体が忘れられてしまうことになりました。
それから数十年、百年と経った後に、家具材としての価値が見いだされ、希少な高級材として耳付き一枚板テーブルなどに用いられるようになりました。
生長が遅いことと、収穫がしやすいようにと樹高は低めになるように品種改良がなされていたため、縦よりも横に太くなる特徴があります。
そのため、長い時間をかけて生長した高樹齢で大径木の勲章とも言える瘤が樹皮表面に出来ることがあります。
この瘤が出来る過程で、木の内部ではそれに対抗しようとする反応が起こっていて
「瘤杢」や「玉杢」
などの見ごたえのある杢が形成されます。
この瘤杢や玉杢、縮杢などは、離れて見るとまるで3次元の立体に見えるので、出会えたひとはみなさん驚かれます。
ブビンガ
ブビンガはアフリカを代表する銘木のひとつです。
世界でも類を見ないほどの大木となる樹で、高さは30メートルから50メートル、直径で1メートルから大きいもので3メートルになるものまであります。
その色合いは言葉での表現は難しく、桃褐色から赤褐色の深みのある縞模様を織りなします。
こぶ杢や玉杢など大径木の証とも言える、希少な杢が現れることがあります。
さきほどご紹介したように、このブビンガが育った故郷は、赤道近くの熱帯雨林気候です。
日本のような四季があるわけではなく、雨季と乾季と両極端な自然の中で育ちます。
しかし、そんな厳しい自然環境に生まれ育ったことで、見る人を魅了する模様が現れるのです。
年輪が、樹の一年一年生きて来た証とするならば、さしずめブビンガの生長輪は日々の努力の賜物と言えるのではないでしょうか。
そんなブビンガは、一枚板テーブルとなったり、その大きさから今までケヤキで作られていた和太鼓の胴に使われたり、私たちの身近なところで活躍しています。
このように、一枚板テーブルに使う樹は世界中から、私たちの目の前にやって来てくれています。
家具蔵各店では、こうした世界の銘木によって作られた一枚太天板を多数展示していますので、我が家にあった一枚を探してみてはいかがでしょうか。
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